コラボ依頼
「ほんじゃーまた明日! 乙ガミ〜!!」
《おつがみー!》《乙ガミ〜乙ガミ〜》《今日も楽しかったよ! 明日の配信も楽しみにしています! 乙ガミ〜》
俺は配信停止ボタンを押す。
「ふぅ〜終わりー! 今日も楽しかった!!」
俺の名前は向井雄馬。見ての通り配信者だ。けどただの配信者ではなく、狡噛レンになって配信をしている。
要するに“Vtuber”だ。
現在チャンネル登録者数は20万人だ!
Vtuber……バーチャルユーチューバーの略で、仮想のキャラクターを利用して動画投稿を行なっている人を指す。
なぜVtuberをやっているか? 単純にスカウトされたからだ。
現在所属している“ぐらぶるダクション”からVtuberやらない? ってきて、特にやりたいことなかったからなった。
別に大手の企業でもないし、気楽にやっていこうと思っていたんだがな……Vtuberやってみたら案外楽しく思えたんだ。
毎度コメントしてくれるリスナーとの対話。好きなゲームをしてる俺への反応。
これがかなり俺には刺さった。ゲームをずっと一人でコツコツやっていたからか分からんが、俺はかなりの承認欲求が高いことを配信していくうちに知った。
だから、今は思える。Vtuber最高! と。
「ふぅ〜。んじゃー今日のアーカイブ残して寝ますか!」
今回の配信をチャンネルに残すためにパソコンに手をかけると、横に置いていたスマホがバイブレーションする。
「小平さんか。なんのようだろ?」
小平さんとは俺のマネージャーだ。事務所のVtuberともなると会社からマネージャーがついてくる。(特典みたい)
「もしもし? 小平さん? 何かようですか?」
『あぁ〜もしもし〜小平でぇす〜今日すごいことあってねぇ〜』
毎回思うけど本当にこの人の声寝れるな。あの間の伸ばし方……プロだわ。
「ほーすごいこととは?」
『あの“ラピスベリー”所属の“最爽エリー(さいそう えりー)さんからぁコラボ配信しないかぁ〜? ってきたんですよぉ〜』
「ラピスベリー!?」
俺が驚くのも無理は無い。
ラピスベリーはVtuber界でもトップを走る大手企業。
そんな猛者が大手とは決して言い難い中規模企業のライバーとコラボしてくれと言ってきたのだ。驚く要素は十分すぎるだろう。
『どうしますぅ〜? 一応頼まれてる側なので断る権利……あるのかなぁ〜? 相手が相手ですからぁ〜』
「や、やります! やります! こんな機会滅多に無いだろうし、人気のライバーにあやかられるなんて喜んで受けさせてください!」
めっちゃVtuber界に詳しいわけでは無いけど、大手企業というだけで最高すぎる!
もっといろんな人に俺の配信見てほしいし! ここは絶対あやかろう!
『そうですかぁ〜それではOK返事しておきますねぇ〜また詳しいことは連絡しまーすぅ〜あっ……けどこのVtub「はい!お願いします!」
ピッ
「なんかあまり良く無い噂ですよぉ〜あれぇ〜切れちゃいましたぁ〜?」
俺は後悔することになる。
最爽エリー
こいつに全部ぶち壊されたのち。
カクヨムで載せているものを載せています。
今日は5話投稿します。
最後まで読んでくださりありがとうございます! 次回も読んでくれると嬉しいです!
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