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僕とバブみが強い後輩  作者: ウパ戌
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僕とバブみが強い後輩

 僕の高校には、バブみの強い後輩と呼ばれている女生徒がいる。

 彼女の名前は旭川(あさひかわ)(まり)

 彼女は身長が低く、クリクリとした目がチャームポイントでとても可愛い見た目をしている。そんな彼女は、誰にでも優しく、誰のどんな悩みでも真剣に聞いてくれる。それは学校にいた素行の悪かった生徒が軒並み更生したほどだ。なのでみんなからはバブみの強い後輩と呼ばれている。


 そんな彼女と僕は隣の家同士で家族ぐるみで昔から親交があった。昔の彼女はというと今の彼女の性格とは真逆で、とても甘えん坊だった。

 幼稚園の時も、


「ねぇ!おままごとでいっしょにあそぼ!」

「ねぇ!すなばであそぼ!」

「ねぇ!いっしょにおかしたべよ!」


 小学校の時も、


「ねぇ!いっしょにお風呂入ろ!」

「ねぇ…。いっしょに寝よ?」


こんな様子で家の外でも中でも彼女はよく甘えてきた。

 変わり始めたのは、中学校の時からだったと思う。

ある日をきっかけにまずは身近な友達から甘やかし始めて、


「少し、目の下にクマがあるけど大丈夫?」

「なんか辛そうだけど、私でよければ話聞くよ?」

「菓子パンだけだと、栄養偏っちゃうよ!これも食べて!」


 次々と学校の生徒に対して甘やかし、世話を焼き始めた。そこからは早かった。最初のうちはみんな少し戸惑った様子だったがどんどん受け入れていき、終いにはみんな骨抜きにされていた。彼女が新入生として、僕の通っている高校に入学してきた時も彼女はすぐにそのポジションに定着した。


 そして現在、そんな彼女は僕の部屋にいた。


「そうセンパ〜イ、この漫画の次の刊とってください」


 彼女は僕のベットで寝っ転がりながら漫画を読んでいる。

そう先輩というのは、僕の名前が鶴見(つるみ) 宗一郎(そういちろう)だから宗一郎のそうの部分をとって、そう先輩だそうだ。


「僕は先輩であって奴隷じゃないぞ、後輩」

「まぁまぁ、そう言わずに〜」

「ほれっ」


そう言って続きの刊を渡すと、


「ありがとうございます。そう先輩大好き〜」


漫画を読みながら適当な様子でそう言ってくる。


「はいはい、ありがとな。心を込めて言ってくれたらもっと嬉しかったよ」

「え〜、いつも心を込めて言ってますよ〜」


そういう彼女は足をバタつかせて漫画を読み続けている。

この様に彼女は学校の時に比べて、僕にだけ対応が違うのだ。僕だけ特別というよりもどちらかと言うと、なめられている感じである。彼女曰く甘えているらしいのだが…。


「なぁ、そういえばさ」

「ん?なんでしょう」


 彼女は少し改まった僕の様子に漫画を閉じてこちらを向く。


「また告白されたんだってな」

「…なんで知ってるんですか?」


彼女はそう言ってジト目を向けてくる。


「匿名希望の友人Aから風の噂だと」

「またあの人ですか…。何者なんですか?」

「僕にも分らんが、お前が告白されると毎回その情報をニヤニヤしながら僕に持ってくるんだ」

「はぁ…」


彼女はため息をつくと漫画に視線を戻す。


「…まぁ断りましたよ」


漫画を読みながら彼女は言う。


「え?」

「だから〜、断りましたって言ってるんです」

「そうか、鞠はなんでモテるのに誰とも付き合わないんだ?」

「…別に今に始まったことじゃないでしょう」


そう。彼女が告白されるのはそう珍しい事じゃない。みんなが色づいてきた中学生の頃からだったか、鞠が変わり始めた頃だったか、正確には覚えていないが、そこら辺からどんどん告白され始めて今に至る。その間彼女は誰とも付き合っていない。


「まぁそんなことは置いといて、ゲームしましょ?まだあれクリアしてないんですよー」

「別に良いが、花の高校生がそれで良いのか?」

「良いんですよー。…それにもう告白されることも少なくなるだろうし」


そう呟く彼女は慣れた手つきで二つのコントローラーを取り出す。


「はい、早くやりましょ?それにどうせ私がなんで誰とも付き合っていないかなんて分からないんだから」

「…?いまいち納得いかないが、まぁいいか」


 そうしてコントローラーを受け取ると、僕はゲームクリアまで付き合わされるのでだった。

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