蘇生の儀水鏡
少年、エドワードは修行の旅の末、無の境地と術式をかける儀水鏡を手にすることに成功する。集落の祠に向かうエドワード。エドワードの願いは亡き幼なじみの少女アイリスを蘇生させることだった。
エドワードは祠に到着する。一族の皆から蘇生は反対されていた。が、それを振り切ってエドワードは旅の末にここまでたどり着いたのだ。まずは自分の前に集落から盗み出した一族伝統の儀水鏡を置く。その後、これまでの旅の末に会得した無の境地の状態に入る。
蘇生の術式を唱える間一切の思いは捨てなければならない。様々な欲望の化物を相手にしたエドワードは一切の思いを捨てることに成功し、無とは水面であることを悟る。蘇生の準備が完了し術式を唱えるエドワード。ここから半日無の状態で術を唱えなければならない。
1時間、エドワードの思念の水面は一切の曇りがない。儀水鏡に光が灯される。鏡が語りかける「エドワードよくここまでの境地にたどり着いた。お前には先祖末代まで尊敬される術者になれるように手配してやるぞ。」鏡の問いかけにエドワードは無視をした。
3時間後、再び鏡が光り出す。「エドワードよ、ここまでの術式見事であった、ここでやめれば一生金に困らぬ生活をお前に与える。」エドワードなおも動じない。
6時間、そこには亡くなった際の衣服を着たアイリスが立っていた。「エドもう大丈夫よ、術式をやめて、あなたとこれから一生2人でいましょう。」蘇生したアイリスが声を掛ける。だがエドワードはこの声に無視して術式を唱え続ける。
儀水鏡の研究を進めるうちにこの現象が起こることは既に知っていたのだ。6時間術式を唱え続けることで術者と蘇生者は精霊となり永遠に2人で過ごすことができる。
アイリスを一目見た時から想っていたエドワードにはそれは至上の喜びであった。しかし、エドワードは知っていたのだ。アイリスにはジャックという別の想い人がいることを何より集落の皆んなを愛してたということを。
術を12時間唱えることができれば術者の命と引き換えに死者は復活をする。エドワードはなおも無の状態で術式を唱え続ける。
10時間後、エドワードの水面に一筋の名前が写る-アイリス-その瞬間鏡の前から消え去るアイリス、苦しみ出すエドワード。エドワードは鏡の中に吸い込まれてしまった。3年の旅と研究と10時間をかけた術式は失敗に終わった。
その後、集落の麓に1匹の龍が住み着くこととなった。エドワードとアイリスは1匹の龍になった。