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蒼空の鉄騎兵―斜陽の戦線にて―  作者: Karabiner
ジークフリート戦線
38/68

Falcon hunt 3


 機体の背面に背負ったミッションパックに二つの大きな筒状の物が取り付けられ機体の厚みと重量は増していた。

 この筒状の物体は、今回の作戦のために用意された代物で要といってもいいほどに重要なものだった。


 「機体の速度は20キロほど低下する。そのことを考えて戦闘しろ」


 出撃地点はキールの軍港だ。

 もはや有力な艦艇は帝国国防海軍にはなく、26年前に連合王国と制海権を巡って生起したユトランド沖海戦において戦艦をはじめとして99隻の艦艇が出撃していった軍港とは思えない有様だ。

 軍港は、機雷によって封鎖されており外海へ出撃しようにも出撃することは敵わない。

 そして敵の爆撃機も稀に襲来するためにもはや艦艇を遊弋させておくのに安全な港とは言えない。


 「それにしても敵航空母艦発見の報告は、まだですの?」

 

 アナリーゼは、遠く北の海上を眺めた。

 他のパイロットたちも同じような仕草を見せている。


 「戦意は十分そうだな」


 二日前――――――俺がシュタウヘン少将に提案した作戦は、即座に実施段階に移された。

 このミッションパックに追加された二つの筒状の物、というのは発煙装置だ。

 

 「作戦の概要について昨日のブリーフィングで伝えたが、もう一度確認しておく」


 何しろ今回の作戦は前代未聞の作戦だからな―――――――何度確認したって足りることは無いかもしれない。


 「現在、偵察機が索敵中だが友軍を脅威にさらす敵航空機の水上基地となっている航空母艦を発見次第、俺達は、出撃する」


 敵航空母艦がなぜ投入されたのかについて動揺を避けるため本当のところを俺は部下に話していない。

 事情を知るのは、この部隊では俺一人だけだ。

 あくまでも友軍の脅威、ということにしておいた。


 「タイミングを計って味方の第3航空艦隊、帝都防空艦隊も出撃する手はずとなっている。先行する我々、第701試験戦闘団は、敵水上部隊上空に到着後、高度20と100の二層において発煙装置を作動、煙幕を焚き敵の対空火器の命中精度を下げる。このとき高度20の部隊から順に発煙装置を作動しろ」


 味方航空機部隊の損害を減らし攻撃を容易ならしめるために、第701試験戦闘団が敵部隊の目を潰すのだ。

 発煙装置は煙幕と同時に電波欺瞞紙チャフを散布する仕掛けとなっているために敵のレーダーの使用を不可能にすることが可能だ。

 そして低高度の部隊が先んじて煙幕を焚くことによって高高度の部隊が煙幕を焚くために侵入する頃には、敵の艦船の機銃があるであろう高さには煙が充満し射撃の精度が落ちるだろうという考えだ。


 「敵の空母護衛部隊はダイドー級防空巡洋艦、ベローナ級軽巡洋艦に加えフレッチャー級駆逐艦で、数は20隻は超える。駆逐艦部隊は無視するとして軽巡だけは絶対に煙幕を焚いておきたい」


 一番の脅威は最も対空戦闘能力の高い敵軽巡洋艦だ。

 次に両舷に目一杯機銃を乗せた航空母艦だ。

 駆逐艦は船体の大きさ、排水量的に限度があってそこまでの脅威には、なり得ない。

 ま

もっとも帝国国防海軍のどの駆逐艦よりも対空兵装は充実しているが……。


 「煙幕を焚いた後は、直進し敵から距離を置いてから上昇、離脱する」


 一通り簡潔に手順を説明し確認し終えたころ、タイミングを見計らったようにヘッドセットに通信が入った。


 『敵水上部隊発見セリ――――――』



 

 


 


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