旅立ちの日に
本当に短いのでさらっと読めると思います。
さあビンを掲げて!
乾杯したら一気に中身を飲み干そう!
拍手喝采、テンション高く。だって今日は僕の旅立ちの日。
澄んだ青空、鳥のさえずり、大きい太陽。
みんなが僕の旅立ちを祝福してくれている。
「僕はなんて幸せなんだ」
「ねえ?」と隣に降りたったハトに言う。
ハトは「そんなの知りませんよ」みたいな顔で、ホロッホーと一声。
「あはは。君は自由だなぁ」
そう言って触ろうと手を伸ばした瞬間、バサバサっとハトは降下していってしまった。
「本当に自由だなぁ」
一人苦笑する。
これから僕は旅立つ。その先が自由なのか、どうなのかは何もわからない。
けれど、精一杯の『希望』を持って、精一杯の『幸せ』を掴みに行くんだ。
ぎゅっと、胸の前で両手を握り、ぱっと開く。
「よしっ」
今日は僕の旅立ちの日。目指すは幸せ。
開いた両手で精一杯、腰掛けていたコンクリートを押す。さっきのハトを追いかけるつもりで。
「待ってろ、幸せ」
最後まで読んでくださりありがとうございました。