こんなですけれど私 サンタクロースなんです
クリスマスイブの空は
雲も無く晴れ渡っています。
都会の空は明るすぎて
見える星は少ししかありません
本当はもっといっぱいの
星たちが輝いているはずなのに
風は冷たいけれど我慢しなくちゃ
よい子たちが待っているから
サンタクロースと言えば
白いお髭のおじいさん
大きなお腹に赤い服
トナカイの引くソリに乗り
肩に担いだ袋の中には
よい子のためのプレゼント
だけどあんなに太っていたら
煙突からは入れないでしょう
こんなですけれど私 サンタクロースなんです
歳のころは永遠の二十二歳
十七歳じゃお酒が飲めないからね
本当の歳? それは ナ・イ・ショ
正しい制服はズボンなのだけれど
私はミニスカ&ハイヒール
だってその方が可愛いでしょう?
毎年イブは大忙し
よい子のためにプレゼント配り
デートしている暇なんか無いの
私の憧れはクリスマスデート
やさしい彼が予約してくれた
素敵なお店でお洒落なディナー
お酒もちょっと飲んじゃったりして
ほんのり赤味を帯びた頬を
あなたの肩にピッタリつけて
やさしい温もりを感じながら
イルミネーションの美しい
都会の街を散歩したいの
考えただけで幸せなとき
でも私には無理なこと
さてと、妄想はこのくらい
よい子たちが待っているから
屋根付バイクにまたがって
後ろのボックスにはプレゼント
まるでピザ屋のお兄さんみたい
だけれどこれが私のスタイル
もちろん煙突からなんて入らない
だってマンションに煙突は無いでしょう?
サンタクロースは妖精だから
どこからだって入れるのよ
窓からだって入れるし
壁だってすり抜けられるの
だから安心してね
あなたの家にも入れるから
煙突が無くても心配しないでね
さてさてこれで最後よね
よい子のみんなのプレゼント
役得って言うのかしら
最後の一つはあの人へ
もうすぐ朝になる時間
あなたは眠っているかしら
今すぐ届けに行くからね
たどり着いたあなたのマンション
眠っているとは思うけれど
玄関前で化粧を直す
だってあなたに会うのですもの
一番綺麗な私でいたい
鏡で全身をチェックしてから
そっとドアをすり抜ける
リビングルームに飾られた
ふたりで買った小さなツリー
寝室からはあなたの寝息
そっと近付きあなたを見詰める
寝顔も素敵な私の彼氏
このままずっと見ていたいけれど
もうすぐ朝が来てしまうのね
枕元にそっと置く
愛を込めたプレゼント
あなたの寝顔にキスしたいけれど
そんなことをしちゃダメよね
あなたを起こしてしまうから
後ろ髪を引かれる思いで
あなたの部屋を後にするの
目覚めたあなたはどう思うかしら
私からのプレゼント
明日からは普通の女の子
必ず連絡ちょうだいね
寝不足だけれど大丈夫
目の下に出来たクマだって
化粧でなんとかごまかすから
お読みいただきありがとうございます。
楽しんでいただけたなら幸いです。
ログイン無しでも感想を記入いただける設定にして有ります。
よろしければ一言だけでも記していただけるとありがたいです。