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無味

私は生きていた証拠として


手紙を書いてここに残します。


これを読んでいるということは、私はこの世にいないでしょう。


君たちになにも言わず云ってしまうことを本当に

ごめんなさい。


許してくださいとはいいません。ですが、身勝手なお願いですが

私は君たちのことをずっと友達と思っていてもいいですか?


私にできた最初で最後の友達…最高の友です。


後、君達にだけ伝えます。

真実を…


三年の最後の冬休み


私は、君(姉)と最後の冬休みの記念ということで海に行こうと約束していましたね。


私が小さい頃、初めて家族で行った海に

寒い日になんで海なのと呆れた君の顔が今でも忘れられません。


でも、そんなわがままに付き合うと言ってくれたのに当日に行けなくてごめん


あの日、私は君との待ち合わせの公園に居ました。約束時間の十分前に着いていました。


私は君を待っている間に体が冷えてきたので近くにあった、自動販売機で暖かいコーヒーを買い

ベンチで飲みながら待っていると…


知らない女が5~6人ぐらい私を囲み公園の女子トイレに連れていかれました。


そこには私をいじめていた首謀者達が不気味な笑みを浮かべ出迎えてくれました。


最近、いじめが無くってきたので、もう大丈夫と安心していたところに思わぬ罠に掛かりました。


そして、その人達から暴行を受けました。殴る蹴るや水を掛けられる等、散々でした。


すると、突如携帯が鳴り表示画面を見ると君からの着信だとわかり、私は無我夢中で助けを求めるように


電話を出ようとしましたが…


携帯は取られ地面に叩きつけられて思いっきりに足で踏まれて見事に壊されました。


殴られて蹴られるぐらいならまだ、耐えることができたと思います。


でも、でも…


願掛けをしていた長い髪を引っ張られハサミで無残に切られてしまいました。


しかも、切った髪をパラパラと地面に落す光景を私に見せつけた。


首謀者達は、私の顔を見るなり満足して帰っていきました。


私は生きる気力を一瞬で失い、歩くこともまともに出来なくなる始末


すると、私を安心させてくれるような聞き覚えのある優しい声が聞こえ振り向くと


君がいましたね。君は待ち合わせの時間に来ず、電話に出ない私を心配して


探し回っていたことを聞きました。


それを聞いて私はとても嬉しかったです。君は私を見るなり犯人をボコってくると言って


腕をぐるぐると回す君を見て私は咄嗟に嘘をつきました。髪は自分で切ったと


君は私に怒鳴りつけます。「嘘つかないで」とでも、君にまで私と同じ目に遭ってほしくなかったので


この嘘を貫き通しました。嘘をついて本当にごめんなさい。


君は、渋々私の嘘に乗っかってくれました。すると、君は携帯を取り出し誰かに電話し通話が終わると私にこう告げました。


「一回、家に帰ってお風呂に入って着替えて準備が出来たら学校に行き○○教室で待っていて

 多分、あなたは私に心配させたくなくて本当のことを言わないと思うけどあいつならきっと」


「あいつって?」


と聞くと「いいから」と言って君は私の手を掴むと家まで送ってくれました。


今だからわかるけど、あの時の電話は君の弟に電話していたんだね。


私はあなたの言いつけ通りに○○教室で待っていると


君(弟)が入ってきた。


優しく包みこんでくれる君に我慢の限界を超えて

君の目の前で大泣きしてしまった。君には本当にかっこ悪いところしか見せてなくて

先輩としてはとても恥ずかしかったです。


そして、君にこうなった経緯を、話をすることになったけど


あれは、嘘です。


君にも嘘をつきました。君は私がいじめを受けていることも知らなかったはず


だから、これまでの出来事を話したら君は怒り私をいじめてきた人たちに仕返しするに決まっています。


そういう人です。君は…


だから、君には自宅の帰り道で当然犬に追いかけられたり、髪に鳥の糞を落とされて仕方なく

持っていたハサミで髪を切ったということにしました。


君も私の嘘を最初は信じようとしなかったけど、最後には折れてくれて


信じるっていってくれましたね。本当にありがとうね


そして、ごめんね。二人とも


本当に好きだったよ、ありがとう。私の友達になってくれて


私の分まで幸せに生きてくださいね。約束だよ。


こんな形で別れるのはつらいけど 


さようなら



おじさんごめんなさい

私は結局、幸せになることはできませんでした。

今から、私もそっちにいくね…




何枚もある手紙を読み終わるとポタポタと紙の上に零れて字が滲む

力を入れて持っているせいか、紙はくしゃくしゃになっている

僕は…


「先輩…」


先輩の名を何度も呼ぶのだった。







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