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幸せの味

平日の昼下がり


誰もが仕事して忙しそうにしている時間に一人で墓地を歩く僕


僕は左手に手桶を持ち右手には花束を持っている。


「先輩、久しぶりです」


僕は先輩が埋まっているお墓の前に止まり持っていた

手桶から水を汲みお墓に掛ける。


僕は手に持っていた花を飾り、お供え物としてポケットから先輩の好物だった

リンゴアメを置いて


両手を合わせて拝礼する。


すると、後ろから女性の声が聞こえる。


「久しぶりね」


「おねぇ…」


後ろに居たのは、姉であった。三年ぶりに久しぶり会いお互いに懐かしがる。


姉は少し下腹部がふくらんでいるようなに見える。


「今、何か月目?」


「3か月ぐらいかな」


そう言いながら姉は腹に負担かけないようにお墓の前に立ち、両手を合わせ拝礼する。

僕もまた、拝礼する。


五分後、二人は目を開け姉が口を開いた。


「あれから、十年経つのね。あの子がいなくなって」


姉の問いかけに頷く。


「あの日が人生で一番楽しくて、一番つらい時だったと思う」


僕がそう語ると「そうねぇ」と姉も言う。


「あんたは、今幸せ?」


姉の問いに僕は昔を振り返る。


あの頃は、僕は高校一年生の一六歳、夢もなくただ平凡に暮らしていた。


普通の男子高校生だった僕に


あの日、先輩に出会い、恋をした。でも、先輩はもうこの世にいなくなり…


僕は先輩がいなくなったことが辛く、救えなかったことを悔い何度も死にたい

と考えた日々があった。


でも、女性が残した言葉「私の分まで幸せになって」


そのおかげで何度も立ち直ることが出来た。それがせめてもの恩返しだと思ったから


「幸せだよ。仕事だって順調だし、三年間付き合っていた彼女にプロポーズしたら

 オッケーしてくれて、仕事も恋愛もとてもいい感じ」


「そう、よかったわね」


「おねぇは?旦那さんとうまくいっている?」


「ええ、なんとかやっているわ。あの人妊娠した時、すごく喜んでくれたの

 しかも、あの人ね…」


クスクス笑いながら話す姉を見ているだけで幸せそうなことが伝わってくる。


「よかったね」


「ええ、そろそろ帰るわ」


「僕も帰るよ。一緒に行こうよ」


二人が帰ろうとした瞬間、風が吹き近くで咲いていた桜の花びらが舞う。


二人を祝福してくれているみたいに…


「あの子が私達を祝福してくれているみたい」


「そうだね。ありがとう、先輩。また、来るよ」



幸せの定義は人それぞれで


その人が幸せと思えば幸せになり、不幸と思えば不幸だと思う。


だから、僕はこれから辛い思いをしても前向きに捉えて


生きていこうと思う。先輩の分も、幸せになっていこうと


誓うのだった。




以上で完結です。

読んでいただきありがとうございました。

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