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青春の性質 女目線

作者: 舞倉流奈

もう何が悪かったのか分からない。

後悔しか残らない。

どうしたら正解だったの・・・



高校生になった私は静かに生活していた。

友達もそれなりにいたし、地味なタイプでもなく、普通。

なにが普通かなんて分からないけれど、人並みに生活していた。

割と早く友達もできた。

同じクラスの男の子は結構うるさくてまだまだガキ・・・。

その中でとても笑顔が素敵だけれど少しだけ無理して笑っているように見える男の子が気になった。その男の子は女子の中で入学早々人気者になった。


その男の子はふとした時に表情が暗くなる。

友達と話している時や女の子と話している時はいつも笑顔なのに。

それが気になっていつの間にか目で追ってしまっていた。

ただの興味本位で気になっていただけだと自分でも思っていたけれど、ある日友達に、あの子の事好きなの?と聞かれた。


ーーーーえっ・・・好き・・・?


人を好きになったことが無い私は、好きという気持ちがどのような気持ちなのか全くもってわからない。自分には縁がないものだと思っていた。

そうか・・・何故か目で追っていて、どうしても気になってしまうこの気持ちを、好き・・・?というのかな……。


「え~なになに~??アイツの事好きなの〜?あ〜やめたほうがいいよ」


ちょ・・・声でかいよ・・・

男の子の視線を感じる。

やめたほうがいい・・・か・・・

まぁ、釣り合わないしね。それに話したことだってないし。

そりゃそう言われても仕方ないよね。


「アイツと中学同じだったけどね〜アイツ一年の時好きだった女の子が突然死んじゃってさ〜それが原因で多分、恋愛とか出来ないと思うよ〜」


え、そんな事があったんだ。辛かっただろうな。

だからあんな暗い表情になるのかな・・・

特に夏に暗いのは何か理由があるのかな・・・


とにかく今はどんな事があっても私は男の子を支えて行こうと誓った。

話したことが無くてもいつかはきっと話せる時が来る。

この気持ちを伝えられる時がきっと来る。

中学の時の辛い事を少しでも和らげてあげられる人になりたい。

いつでも幸せを与えられる存在になれるといいな。

暗い表情なんてもう見たくないから。


そう・・・思っていたのに・・・

次の日男の子は学校に来なかった。

その次の日も、またその次の日も。

次第に生徒の間で自殺したのではないかと嫌な噂が流れはじめた。


支えていこうと誓った日が遅かったのが悪かったの?

早く話かければ良かった?

もう何が悪かったのか分からない。

後悔しか残らない。

どうしたら正解だったの。

どうしたら君が悩まないで済んだの。

自分を責める日々が続く。

その後、担任の先生の口からはっきりと自殺したという報告があった。


自分は見守っているだけだと思っていたのに、こんな気持ちになるなんて思いもしなかった。

悲しみに暮れている時男の子の引き出しの中に紙切れが入っているのを見つけた。


『これから辛い事があっても僕みたいに負けないで。試練なき人生はないけれど、君には必ず幸せが待っているはずだ。』



作り笑顔を思い出して涙が止まらなかった。

何も出来なかった。

辛い人ほどよく笑うのかな。

周りに心配されたくないから無理して笑うのかな。

そんなの辛いよ。君に本当の笑顔で笑ってほしかったのに。

君の分まで幸せになんてなれないし、幸せになってはいけない気がする。絶対君の事忘れない。大好き。大好き。ごめんね。


今更、届きもしない胸の想いを何度も何度もつぶやいた。


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― 新着の感想 ―
[良い点]  コンプレックスはなかなか落ちません。 [一言]  人に苦しみを打ち明けられるような社会なら、彼に別の色の人生が待ち受けていたのでしょうか。
2016/02/21 11:47 退会済み
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