あいうえおあお、あめんぼあかいなかきくけこ
「はい、フロイデ、さ·し·す·せ·そ·さ·そ」
「さししゅ…ふぇえぇ」
「うん、大丈夫、ゆっくりお口を動かして。」
「しゃ…ふみゅぅう!!」
発音出来るように練習をマテウスさんとしてますが、どうにも上手くできなくてイライラ。悔しいやら情けないやらで、涙が出てきます。
「よしよし。焦らないで、フロイデ。慣れれば直ぐ出来るようになるから、大丈夫。」
「うぇ、ひっくひっく…ふぇえぇ…」
「どうする?今日はやめる?俺は時間もたくさんあるから、すぐにこの練習しなくてもいいと思うけど…」
「ひっく…やる…はやくちゃんとまてうしゅさんのなまえもよびたいの…じぶんのなまえもきちんとしょうかいしたいの…」
もちろん、魔力のこともありましたが、私の名前も、マテウスさんの名前も私には発音が難しいサ行とラ行が入ってます。自分の名前は言えて当たり前、保護者で婚約者のマテウスさんの名前も何度も呼ぶことになるのできちんと発音したい、という思いで練習をし始めたのです。
そう言うと、マテウスさんは嬉しそうに私の頭を撫でて抱きしめてくれます。
「嬉しいよ、フロイデ。でもね、君はまだ生まれて間もないんだ。ここの空気にも、世界にもまだ慣れていないハズ。出来ない事があって当然、でも、その出来ない事を頑張ろうとする姿勢は素晴らしいよ。」
「まてうすしゃん…」
「さ、今日は色々あって俺も疲れたなー」
「!!まてうすしゃん、やすむの!やしゅまないと!」
大変!私は自分の事ばかりでマテウスさんの体調を考えていなかったのです!そうです、軽いとはいえ私を運び、私の練習に付き合ってくれたのです、疲れていないハズはないのです!
「うんうん、休まないとね。」
「べっと!」
「そうだね、一緒に行こうか。」
「ねる!」
私はクスクス笑うマテウスさんに抱き上げられて、寝室へと行き、何故か一定のリズムでぽんぽんと撫でられ、いつの間にかマテウスさんより早く眠りについていたのでした。
あれぇ?