保護者の話2
血で汚れた床を見つつ、人間だったものを土に埋める。まったく、仕事を増やさないで欲しいものだ。
「さて、と。これでよし。土に還れよ人間。」
パンパンと土を払い、俺はさっきの女の子の所まで戻る。
「うーん、どうするか。」
こういう場合、俺が引き取るか、引き取り先を探すかになる。正直、引き取り先はあまりない。
「…」
もう一度、彼女を見る。優しい、魔力の波長が彼女を包んでおり、時折むにゃむにゃと口を動かす姿はとても愛らしい。
(…うん、おかしくてもいい。俺が引き取る。)
その口で俺の名前を読んで欲しい、柔らかそうな肌に触りたいという欲求は深まるばかりで我慢などできそうもなかった。
後継人として引き取る手続きをして、彼女が産まれて来るのを指折り数えて待った。
そして、彼女の誕生日になった。
ふわりとオーブの中からでてきた彼女を俺は受け止める。
「…はじめまして、フロイデ。」
「はじめましゅて。ええと、ふろいででしゅ。」
俺のことを見て親なのかどうか図りかねて困りながら名乗る彼女はやはり愛らしい。
「俺はマテウス。君の保護者兼婚約者だよ。」
「こんやく…?」
「君の両親はどこかに行ってしまったようだから、俺が引き取ることになったのだけども、俺は君に一目惚れしたんだ。もちろん、破棄する権利を君は持っているから俺以外に…俺以上に好きな人ができたら破棄するといい。」
彼女の悲しむ顔は見たくない。もちろん、手放すことなんてしたくはないけれど、彼女の意思も尊重していなければ彼女は不幸だ。
「…まてうすしゃん、ふちゅちゅかものでしゅがよりょしくおねがいしましゅ。」
「うん、よろしく、フロイデ。」
これが、俺と彼女の始まりだった。