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天壌命の人間倶楽部  作者: 水無亘里
第一話“復讐自殺”
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第一話"復讐自殺"序文

・このお話はフィクションです。

・実在する、または特定の組織、国家、宗教、団体、企業、個人とは一切関係ありません。

・自殺や犯罪といった表現が含まれていますが、それらを賛美するものではありません。

また、それらを真似すると法律により罰せられる場合がありますのでご注意ください。

 ※このお話はフィクションです。


 突然ですが、私は自殺をしたいと思っています。


 さて、どうしてでしょう?


 クスクス。

 さすがにノーヒントじゃ難しいかな?


 それじゃあヒント。特別スペシャル大ヒント。

 

 私は都内の学校に通う普通の女子高生です。

 家庭はそこそこ裕福。父は外資系企業?(よく分かんないけど)に務めるエリート。母はパートで働いています。

 お姉ちゃんは大学生で、そろそろ就職活動とかで忙しくなりそうな感じ。


 なになに、いじめだって?


 こういう文章見ると皆そう思うんでしょ?


 学校には友達はいなくて、話す人もいなくて、家でも家族とは上手くいってないの。

 それで何処にいても辛くて苦しくて、死ぬしかなくなっちゃう。


 よくいるよね~。そういうの。


 バッカみたいじゃない?


 人の意見に合わせられないから浮くんじゃん? ハブられんじゃん?

 で、最後はみっともなく死に逃げんの。


 ありえなくない?


 私ならそんな事しないよ。合わせるのは当たり前の事だもん。

 皆に馴染めなきゃ、それは集団における異物と同じだよ。

 人間の体だって異物は吐き出すように出来てるんだから、社会だってそれと一緒だって、どうして分からないのかなぁ。


 人と仲良くなるコツは、笑顔と同意だよね~。そんなの当然のことじゃん。


 意味分かんなくてもとりあえず頷いとけば簡単に話は転がるのにね~。

 それも出来ないとか馬鹿丸出しじゃん。


 死んだほうがいいよ。


 私はそういう自殺を逃避自殺って呼んでる。

 そのまんまだよね。読んで字のごとく、逃げるために自殺する。


 私だったらそんなことしない。というかそんな事態には陥らない。決まってんじゃん。


 上手く相手に合わせてやれば居場所なんてどうとでもなる。

 特に女の子だったら、笑顔だよね。コレ、最強の武器。あ、ちなみに涙は奥の手ね。

 笑顔が得意な私は、人付き合いで困ったりなんかしない。

 愛想笑い一つで、相手のゴキゲンなんかどうとでもなるんだから。

 だけど、涙はキケン。諸刃の剣だね。

 男の子なら簡単に騙せるんだけど、女の子は鋭いからすぐ見破られちゃう。

 そのあとが物凄くメンドーだから程々にしとかないといけないよ。

 

 馬鹿な娘はすぐに泣き真似して男子を釣ろうとするんだけど、そういうの後で呼び出しくらったりするからね。

 気をつけなよ。


 おっと、話が逸れちゃった。自殺の話だったよね。


 もう答え言っちゃっていいかなぁ。いいよね?


 え~ッ!?


 鬱病とかいじめとかそんなんばっかじゃん!


 ありえないし!


 私ってそんな無様に見られてるのかな~?

 文面だけだと分かりづらいのかもね。


 ホントの私はすごく可愛いし、明るいし、協調性もあるし、優しいし、面倒見もいいし、人気だってあるし、可愛いし(大事なことなので2回言いました)。

 だから本来ならこんな文章書いてるってバレたら、反響すごいと思うんだよね~。


 でも死にま~す! あー、自殺してぇー!


 分からないかなぁ。自殺っていうのはさ、いわゆる一つの自己アピールなんだよ。

 死っていう結末を知らしめるアピールなの。


 それってさ、一つの復讐なんだよね、私にとって。


 そ。まぁつまり表題の通り、私がしたいのは復讐自殺。

 私が死んだ、自殺したって聞いたら皆はどう思うのかな。


 私にしちゃった些細な出来事を思い出して、「もしかしてあの時傷つけちゃったのかな……」なんて思うのかな。

 「もっと優しくしてあげれば良かったかな」、「もっと気にかけてあげれば良かったかな」なんて思うのかな。

 でも残念。そのとき私はとっくに死んでいるのでした!

 ザマァ! マジザマァなんだけど!

 これこそ復讐の快感だよね。

 相手を地獄に叩き落すの。もっとああしておけば良かった、こうしておけば良かった、って何度も何度も後悔させるの。

 何度も何度も何度も何度も。

 絶望させてあげるの。


 マジでいい気味!


 笑いが止まらない!


 お腹痛いやめて! ヒィ!


 あれ? ひょっとして理解されてない?

 なんで私が復讐したいのかまるで理解されてない?


 そいつはちょっといけないなぁ。

 普段愛想良くて、人畜無害そうで優しくて可愛い私だけど、これでもストレスくらい抱えてるんだよ。

 だいたい、面倒見が良い私だけど、そもそも面倒とか見たくないに決まってんじゃん!

 勉強もしたくないし、つまらないヤツの話にいちいち頷いていたくないワケよ。

 マジこいつウゼーとか思いながら、うじうじしてる娘を励ましたりとかしたくないワケよ。

 お前一生塞ぎ込んでろよ! とか言いたいワケよ。

 でも、それは出来ない。


 だってそんなことしたらどうなるか、私には容易に想像できるから。

 「お前にはこの子の気持ちが分からないのか!」とか「どうしてそんな酷いこと出来るの」とか言われるのは明白だからだ。

 そんなことをすれば私は異物だ。邪魔な物でしかない。者ではなく物になる。

 私はそんなヘマはしない。

 人に合わせられる有能な人材だ。


 だけどそれは仮面でしかない。

 偽りの私。


 与えられた役割。決められた動き。いわば人形のようなもの。


 あれ? どっちにしたって物じゃん。おもしろーい!


 とにかく、そうして私は仮面を被り続ける。

 その仮面は誰にも外さない。

 友達にも家族にも誰にも。


 私はひとりぼっちだった。


 この世に住まう誰もが、私の本性を拒絶する。

 私は仮面を被るしかない。


 それが賢い生き方なのだと言い聞かせた。


 私はそれを胸の中で繰り返し続けた。

 本音を押し殺して生きることが最良。

 それが出来ないヤツは惨めにいじめられて醜い自殺をするんだ、と。


 だが、そこに、その生き方の中に、私はいるのか。


 自分の気持ちを押し殺して、笑っているフリをして、それは本当に私なのか。


 ここにいるのは私なのか。

 

 私は自問を続けた。

 答えのない問いに、私はやがてひとつの光明を見出したのだった。

 

 復讐自殺。


 死ねばいい。苦しくて死ぬのではない。居場所がなくて死ぬのではない。

 私の心を殺し続けた家族に、友人に、社会に、問いかける。


 お前らが私を殺したのだ。


 そう、私はとっくに死んでいたのだ。

 私という心はもうとっくに人のものではなくなっていた。

 もう私は人ですらなかった。

 人のフリをする何かだったのだ。


 だから復讐する。


 お前らだ。


 今まで私に役割を押し付けてきたお前らが殺した。

 一人の少女を殺した。

 私を殺した。


 ――この文章を机に忍ばせて、いなくなれば全てが完了する。

 私の復讐は果たされる。

 あとは勝手にお前らが苦しめ。足掻あがけ。そして絶望しろ。


 私を奪った代償を、その人生全てであがなえ。




 ――ここまでを書いて、私は手帳を閉じる。

 あとは実行すれば、これは遺書になる。


 だが、私はまだ死なない。


 だってこれが最良の復讐とは限らないもの。


 もっと皆を苦しめる術はないだろうか。

 もっと深い絶望はないだろうか。


 そう思うととても簡単に死は選べない。


 だからこうして、41回目の妄想を綴じる。


 楽しくて仕方がない、復讐自殺はまだ終わらない。

初っ端からアレな文章で申し訳ありません。

これは『自殺することで誰かを攻撃する』というお話を思いついたので速攻書いてみた走り書きそのままとなっております。

読みやすい文章とかもちょっと考慮しているような気もします。

とはいえ内容がアレすぎて読みやすいとかそういうレベルではないような気もします。

なんか本当にすみません。

ですが正直に申し上げまして、書いててすごく楽しかったです。本当に申し訳ありません。


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