お勉強の時間、魔法編。
激動の午前が過ぎ、お昼ご飯を食べ終えまったりとしたティータイムへ。
今日のお昼は僕が作った。
といっても簡単な蕎麦だけどね。
四次元麻袋から出て来たのは蕎麦の袋と鳥の胸肉、ネギ、七味、めんつゆ、それと便座カバー……じゃなくて、ぴったりサイズのYシャツ。
なんであのタイミングで出て来たのかさっぱりだけど、取り敢えず着替えてレッツクッキング。
みんな蕎麦を見るのが初めてみたいで興味津々だったけど、温かい蕎麦を気に入ってくれたようであれよあれよという間に5人分茹でた蕎麦がつゆ諸共綺麗さっぱり無くなった。
ミナは初めての蕎麦に舌鼓を打って大満足、エアリィさんは猫舌なのかふーふー冷まして食べていた。
蕎麦を食べるエルフ……なんだろう、すごい光景だ。
一番蕎麦が気に入ったのはシーナで、僕よりも食べていたのにはちょっとびっくりした。
七味もたっぷり振り掛けてたし、案外辛党なのかな?
機嫌も直ったようでなによりだね。
食後のティータイムには蕎麦茶をご馳走。
これも気に入ったみたいで、珍しくシーナのにへらって顔が見れた。
うん、普段見れないだけあってすごくかわいい。
ミナは村の子供達と村長さんの所で勉強会、エアリィさんは狩りをしに森へ入って行った。
僕はというと、シーナとマンツーマンで魔法についての特別授業。
今の所知ってるのファイヤーとライブだけだしね。
「では授業を始めます」
「シーナ先生、よろしくお願いします」
「解らない所があったらどんどん質問して下さいね」
蕎麦茶片手にご機嫌なシーナ。
いつもより若干ノリノリだ。
「まず、魔法には大きく分けて3つの種類があります。ユーリさん、なんだと思いますか?」
おぉう、いきなり当てられた!?
何だろうね、魔法の3つの種類って。
パッと思い付くのは攻撃、回復、補助辺りかな?
元気良く手を挙げてシーナに答える。
「はい、シーナ先生!」
「はい、ユーリさん」
「攻撃、回復、補助の3つだと思います!」
「なるほど……そうきましたか。確かに役割で考えるとそうなりますね」
ありゃ、って事はハズレか。
ん~、シーナが考える別の答えで種類が3つあるやつ~……。
何だろ、解んないや。
あ、もしかしてこの世界では3つだけど僕にしてみたら3つじゃないとか?
例えば……そう、魔法の属性とか。
「はい、シーナ先生」
「はい、ユーリさん」
「魔法の持つ属性……かな?」
「大正解です、どんどんぱふぱふ~」
拍手してくれるシーナ。
前に教えたどんどんぱふぱふ~がこんなに破壊力あるとは思わなかった。
余りのかわいさに鼻血が出そうになる。
というかここまでテンション高いのは蕎麦茶のおかげか。
恐るべし、蕎麦の力。
「では更に問題です、その3つの属性とは何でしょう?」
そう言って僕の顔を上目遣いに覗き込むシーナ。
あぁもう、なんでこの姉妹はこう色々とクリティカルなんだ!
邪念混ざりまくりな煩悩ヘッドで答えを考えてみる。
多分だけど、魔法の名前がFEちっくだから理、光、闇なんじゃないかなぁ。
「理、光、闇の3つ?」
「すごい、正解です!ひょっとしてユーリさん知ってました?」
「合ってたんだ。たまたまだよ、僕の世界にある物語に確かそんな表現があったなぁって思い出してさ」
「へぇ、今度その物語教えて下さいね?こほん、ユーリさんが正解した通りこの世界の魔法は理、光、闇の3つで構成されています。内訳は解りますか?」
「うん、なんとなく。ファイヤーが理魔法、光魔法にはライブも含まれるのかな?」
「その通りです。光魔法には変則的ながら治癒や解毒、精神への干渉も含まれています。理魔法は解りやすいですね、火や水、雷に風なんかが該当します。闇魔法はちょっと難しいんですけど……」
言いにくそうに言葉を区切る。
イメージからして禍々しそうだし、聖職者のシーナにはちょっと苦手意識もあるのかな?
この世界でいう闇魔法に、先日僕が使ったノスフェラートも分類されるかな。
だけど闇魔法って分類がそもそも間違ってるよね。
その辺りをシーナに提言してみた。
「闇魔法の位置付け、ですか?」
「うん。そうだなぁ、例えばさ、シーナは闇ってなんだと思う?こんな感じ、って程度で良いから言ってみて」
「そうですね、暗くて冷たくて……怖いですね」
ちょっと首を傾げて考えるシーナ。
その仕草も姉妹揃ってとってもかわいらしい。
癒やされながら、僕はシーナの答えにちょっぴり肩を落とす。
――やっぱり、そんなイメージかぁ。仕方ないって言えばそうなんだろうけど。
魔法を使うにはイメージが大切だ。効果は個人の力量に左右されるだろうけど、発揮される効果の方向性は術者が思い描く必要がある。
解りやすく言えば、ファイヤーで出す火の勢いは魔力が関係するけど、ファイヤーで出た火が『どんな風に燃えるか』は自分のイメージに左右される。
使う魔法をどう捉えるかで、魔法の効果は変わってくる。
まぁ何が言いたいのかハッキリ言うと、あの時僕が使ったノスフェラート、あれを僕は闇魔法として使ってない。
つまり、僕はこの世界の法則を無視した魔法を使った事になる。
どうやって、何を、どのように、使ったのか。
多分、僕とシーナの捉え方の違い――闇に対するイメージだけに止まらない相違――に、ヒントがあるんじゃないかって思う。
そんな漠然としたモヤモヤを抱えて、僕は口を開いた。
「僕の闇に対するイメージ……考え方は、シーナとだいぶ違うね」
「ユーリさんはどんな風に考えてるんですか?」
「僕の思う闇は……暖かいよ」
「暖かい?」
ぽかんと呆けたような顔をするシーナ。
そりゃそうだろう、自分が思っていたイメージとほぼ180度違う答えが返ってきたんだから。
「シーナは闇を考えた時、光の対極にあるものって想像したんじゃない?」
「ええ、だって光と闇は相反するものなんじゃ」
「そこから変えてみよっか」
「ふぇ?」
「まず光の対極にあるのは闇じゃない。光の反対側にあるのは、影なんだ」
「影……ですか?」
「そうそう、光があるから影が出来るし、影があるって事はどこからか光が差してるって事だよね?」
「なるほど、言われてみればそうですね。でも光と相反するものが影なら、闇って何なんですか?」
よしっ、食い付いた。
知識や発想を教えるのに一番の近道は、疑問と興味を持ってもらう事。
それが出来たら、後は互いの気が済むまで持論や疑問をぶつけ合えば良い。
「それなんだけど、僕は『闇』っていうのは万物の祖……全ての母親なんじゃないかな、って考えてるんだ」
「母親?」
「そう、例えば人間はどうやって生まれてきたのか、考えた事はある?」
「え、それは神様が人間をお作りになったんじゃないんですか?」
「修道女のシーナらしい答えだね。それも答えの1つだと思うよ」
「答えの1つ、ってユーリさんの考えは違うんですか?」
「僕の世界では神様を持たない人達も多くてね」
僕の言葉に驚いた顔をするシーナ。
一神教が世界に広く布教されているこの世界じゃ確かに信じられない事だろうなぁ。
「そうだなぁ、花を咲させようと考えた時に、種を植えるよね。僕の世界の研究者は、全ての生物は種で殖えるって考えたんだ」
「種、ですか。私達人間も種で?」
「うん、肉眼では見えないけどね。詳しく説明すると混乱しちゃうから、概念的に種のようなものって思ってくれればいいよ。その小さな種で人間が殖えるとして、生まれてくる種は誰が作ったんだろうね?」
「それは神様じゃないんですか?」
「う~ん、難しいかもしれないけど一旦神様の事は忘れよう。神様以外で、何だと思う?」
「神様以外ですか……やっぱり親でしょうか」
「よくできました、その考え方が出発点だよ。じゃあその親は誰が生んだんだろう」
「そのまた親ですね」
「そうだね。じゃあそのまた親、更にその親……辿っていったら、一番最初の親は誰になるんだろう?」
そこまで喋って、僕はカラカラの喉にすっかり冷たくなった蕎麦茶を流し込んだ。
神様というジョーカーを使えなくて、シーナはうんうん悩んでいる。
僕自身も、この先を上手く説明出来るか解らない。
妹は感覚で理解してくれたけど、論理で納得しようとした両親は最期まで理解出来なかった。何せ説明する側の僕も曖昧な感覚で、こうなんじゃないかって勝手に解釈してるだけだし。
なかなか難しいな、って思ってたらシーナが不意にぱっと顔を上げた。
「ユーリさん、ひょっとして……その最初の親が生まれる前は、何も無かったんじゃないですか」
「おぉう、よくそこまで辿り着けたね!?」
正直、神様を信じてる人に、僕の世界の知識無しにその発想が出来るとは思って無かった。
中学で習うレベルの地学を知らない人に説明するのは難しいしね。
「僕達の世界では、最初には何も無かったっていうのが常識というか定説なんだ。ある時、何らかの理由で何も無かった所から、生命が、世界が誕生した。その何らかの理由の1つが」
「ユーリさんの世界の神様、ですか?」
僕の言葉を継いでしてやったり顔のシーナ。
先に言われちゃったなぁって悔しい反面、僕はシーナの柔軟な発想力や頭の回転の早さに驚いていた。
実はシーナって天才なのかも。
もしかしたら僕の考えを解ってもらえるかな?なんて考えてちょっとワクワクドキドキしながら、僕はわざとらしく咳をした。
ここまでは色んな学者や本から得た知識を披露してただけ。
ここからは僕自身の、僕だけの言葉で説明しなきゃ。
「ここからは僕の想像っていうか妄想なんだけど、何も無かった所に『得体の知れない何か』が世界を作ったんじゃなく、そもそも何も無かったっていうのが間違いなんじゃないかなって、僕は考えてるんだ」
「えっと、どういう事ですか?」
「物質的な意味では、本当に何も無かったんだと思う。光や熱、その他思い付くもの全て。ただ、精神的な意味では、何かが存在していたんだと思う」
「精神的な何か……幽霊みたいなものですか?」
「うん。何も無かった場所に神様みたいな存在が世界を作り出したんじゃなく、『何も無い』っていう存在が自らの意志で世界を生み出したんだ、って僕は思うんだ」
そこまで聞いて、シーナはあっと声を漏らした。
どうやら僕が言いたい事に気が付いたみたい。
本当に賢いなぁ、と嫉妬する所か感心しちゃったよ。
「つまりユーリさんは、その何も無い存在を『闇』って考えているんですね」
「大正解。正解した優秀なシーナには後で豪華商品をプレゼントしちゃおう」
「わ、ありがとうございます」
正解した事に喜ぶシーナ。
でも突然怪訝そうな顔をして僕に言った。
「ユーリさんの闇に対する捉え方は解りましたけど、なんで突然そんな事を?」
いやぁ、流石シーナ。そこまで解っちゃうかぁ。
……いや、多分誰でも気付いたよね。
本当はエアリィさんもいる時に言った方が良いんだろうけど、先に一般人代表のシーナの反応を見ておきたい。
今のエアリィさんだったらミナみたいに何でも受け入れてくれそうだし。
いや、受け入れてくれるのは大変ありがたいんだけど、シーナみたいに僕に対してフラットな感情を持ってる人の意見を聞いて置かないと後々危ない事が起きそうな気がする。
また波紋を呼ぶ事になるんだろうなぁ、ってどこか他人事のように感じながら僕は爆弾を投下する覚悟を決めた。
「こないだの山賊騒動の時にさ、僕ファイヤー以外の魔法使ったんだ」
「そうなんですか!?2人共話してくれないから、何かあったのかなとは思ってましたけど、よく即興で出来ましたね?」
「まだ驚くのは早いと思うよ……」
「え、何ですか?」
「いやいや、なんでも。それで山賊相手に多分この世界の闇魔法を使ったんだけど」
「や、闇魔法を使ったんですか!?難易度も高く扱うのに初歩のものでも数年かかるのに!」
「シーナ、落ち着いて。ここからが一番大切な事だから」
逸るシーナをどうにかなだめて、この日一番の爆弾をポイッチョした。
「……実はそれを使う時、僕は闇魔法として考えてないのにそれが使えたんだ」
「……はい?」
「この世界ではファイヤーを使うにしても、『理魔法のファイヤー』って理解してないと使えないでしょ?」
「ええ、そうですね。……え?」
「って事はさ、僕がいくら頑張っても闇魔法のライブや光魔法のファイヤーは使えないハズだよね?」
「その通りですね。え、え?」
「ゴメン、この世界に存在しない魔法使っちゃった♪てへぺろ」
舌をちょっと出しておでこに手をぺちんと当てる。
こらそこ、面と向かってかわいくないとか言わない!
……や、かわいいって言われてもそれはそれでショックだけどさ。
シーナは頭に?を4つくらい浮かべてたけど、徐々に顔から表情が消えていく。
そしてゆっくりと目が大きく開かれて、もうこれ以上はって所で突然立ち上がって悲鳴のような声を上げた。
「え、あ、それ、えっ、な、ああぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁっ!?」
うん、とっても素敵にパニクってるね。
こういう時は下手に刺激しないで本人が落ち着くまで放っておくに限る。
……決してヘタレてる訳じゃない、うん。だってカップやお皿割れちゃったら危ないし。
まったり蕎麦茶をすすって、シーナが落ち着くまでしばらくティータイムを満喫した。
「うぅ、恥ずかしい所をお見せしました」
「いやいや、見た事無いシーナの一面を見れて楽しかったよ」
はぅっ、と小さくなるシーナ。
顔を真っ赤にしつつも、持ってる蕎麦茶は手放さない所がちょっぴりおかしい。
ただまぁ、シーナとも話し合ったけど新しい魔法を使えるようになったのは極力ナイショにしておく事にした。
エアリィさんは僕が魔法使った時に一緒にいたから話すつもりだけど、ミナには黙っていようと思う。
もしかしたら、それを知ってるせいでミナが危険に晒されるかもしれないしね。
「それにしても、シーナがあんなにびっくりするとは思わなかった」
「驚いて当然じゃないですか!あんな事突然言われたら誰だってびっくりしますよ!」
「あはは、そうかもね。でもあわあわしてるシーナもかわいかったよ」
「……ゎ、忘れて下さいっ、思い出しちゃダメですぅ!」
空になったカップを置いてぶんぶん腕を振り回すシーナ。
ゴメンゴメン、と頭を撫でたら真っ赤になって動きが止まる。
「そっ、そんな事してもごまかされませんからね!?」
「困ったなぁ、どうしたら許してくれる?」
「……もうちょっと、撫でてくれたら、その……いい、です」
ダメだ、なんかもうかわいすぎる。
慣れない真面目モードで話したせいか、反動でものすごい甘えたくなってきた。
耐えきれなくなった僕はシーナをお姫様抱っこしてソファーに座った。
「え、あ、あのっ、ユーリさん!?」
「あぁ、気にしないで。かわいいシーナに触れたくなっただけだから」
「かっ、かわ……!?やっ、ダメです、恥ずかしいっ」
わたわたと暴れるシーナを膝の上に座らせて、優しく後ろから抱き締めた。
あ、髪の毛から良い匂いがするなぁ。
くんかくんかすーはーすーはー。
……うん、堪能した。
シーナったら耳たぶまで真っ赤にして、恥ずかしがり屋さんなのかな?
ちょっぴりイタズラしてみたくなった僕は、その真っ赤な耳たぶを甘噛みしてみた。
「ひゃうっ!?あっ、やぁっ、あっあっ、んぅぅっ」
やわっこい耳たぶをはみはみする度に、シーナの体がぴくぴく跳ねる。
面白くなって、僕は耳たぶを甘噛みしつつ、頭を優しく撫でてあげる。
「んやぁっ、ユーリ、さんっ、あっ、それダメっ、ダメですぅ、ふゃぁ、あっ、あぁっ、やぁ、私っ、ばかになっちゃいますぅっ、ふぁぁっ」
小刻みに震えていた体が一際大きく震え、くてっと力無く僕へ凭れ掛かる。
潤んだ目は虚ろで、時折小さく体が跳ねる。
――あれ、これってかなりえっちくない?
意識した途端、下腹部に血液がすごい勢いで流れ込んだ。
ま、まずい、落ち着け息子、スタァァァァァップ!?
しかし願い虚しく、おあずけばっかりだった息子は僕の言う事なんか聞かずにすたんだっぷ。
ふりふりと揺れるシーナのお尻の間で少年の自己主張を始めた。
「ふわぁ……ユーリしゃん、なんだかカタイの当たってましゅ……。なんでしゅか、これぇ……?」
絶頂の余韻なのか、呂律が回らないシーナがお尻を振って何が当たっているのか確かめようとする。こっ、これはまずいっ!
柔らかなお尻の感触がとっても気持ち良い。
「ちょっ、待ってシーナっ!?」
「カタイのこしゅれて、きもちいいれしゅぅ♪」
なんて淫乱な。お兄ちゃんそんなえっちな娘は大好物ですよ!
違う、間違えた。
今のはナシでっ!
というかパニクってないで早くシーナをなんとかしないと、息子のHP的な意味でまずい。
ここはもう一度シーナを気持ち良くしてあげるしかない。
早速僕は耳たぶを口に含み、はむはむもにゅもにゅ甘噛みを始めた。
同時に頭を撫で回すのも忘れない。
「んゃぁ、ユーリしゃん、んぁっ、しょれ、らめれしゅぅ、ふぁぁっ♪」
腰をグラインドさせて妖しく身をくねらせるシーナ。
まるでゲームに出て来るサキュバスみたいに、綺麗でえっちな雰囲気を纏ってる。
実は3人の中で一番えっちなんじゃなかろうか。
一番えっちな娘が修道女……シチュエーションだけでもご飯3杯いけそうなアレだね!
なんて考えたりして、どうにか意識をラグビー部並みのタックルをシーナのお尻にかまそうとする息子から逸らす。
「ふぁっ、やらぁ、わらひ、らめになっひゃいましゅぅ、あっ、あぁっ♪」
扇情的な声を上げるシーナ。
多分もうそろそろ限界なハズ。
ダメ押しに耳たぶをちゅぅぅっ、って吸い上げる。
その瞬間、シーナは体を大きく跳ねさせて、ぐったりと脱力した。
余りの強い刺激に体が耐えられなくなって失神したみたい。
敏感で淫乱でかわいいなんて最高じゃないか。
シーナをソファーに寝かせて、風邪を引かないようにお腹に薄いタオルケットを掛けてあげる。
これでよし。
「……トイレ行ってこよっと」
さぁ、僕の強靭な精神力に惜しみない賞賛を浴びせて!
あ、やっぱりいいや。
先にトイレ行ってくるから。
ふぅ、ただいま。
あの後起きたシーナにジャンピング土下座をして、なんとか許してもらった。
「ユーリさんはえっちです、けだものです」って涙目で言われてちょっとゾクゾクした……いえ、なんでもありません。
帰ってきたミナは何があったのかなんとなく理解したみたいで、僕の耳に口を寄せて「私ならいつでもイイよ……?」って言ってきたのはびっくりしたよ。
えろえろ姉妹め、食べちゃうよ?
まぁ後でご機嫌取りに蕎麦殻の枕とペットボトルに入った蕎麦茶を贈っておこう。
――まぁ、なんだかんだでシーナとちょっぴり仲良くなれたかな?