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Dロード  作者: jUDo
6/12

襲来

『コギク』の頭目。いや、強盗のリーダーの眼帯男は、未だに目の前で起こった出来事を把握しきれていなかった。

だが、たった5人の子供に自分の仲間が倒された事はもちろん結果を見れば明らかにだった。信じようとはしなかったが。

「く…くそっ!!………!!」

何かに気づいた眼帯男は自分の服をまさぐって、服の胸ポケットからハンドサイズの手帳を取り出した。そしてページをめくりだす。

「た、確か………これだ!!」

開いたページには、こう記されていた。


『第四条

   討伐隊は竜以外の人間に対し武器を使用することを禁ず。これに反した場合、厳罰に処す。』


「あははははははははっ!!ザマーみやがれ!!てめえらは俺たちの武器を使ったぁ!!この事を城に報告すれば貴様ら全員厳罰だあ!!今からじゃもう遅いぜバカ共が!!てめえら全員死んじまえばいいのさ!あはははははははははははっ!!!」

勝ち誇ったように笑いだす。そしてここから逃げ出す方法を考え始める。


(待て………ただ報告するんじゃ意味がない。使うだけ使ってから捨ててやろう!)

「お前らが俺の部下になるってんなら報告しないでおいてやってもいいぜ!!」

まるで弱味を握った悪人のように大声で叫ぶ。

眼帯男はこれで、ここから逃げ出す事が出来るとほぼ確信した。


しかし、返ってきた言葉は意外な返事。


「―――へぇ…。何を言い出すかと思えばそんなことか。」

ディノが不敵に笑う。

「そんなこと、百も承知なんだよこっちは。」

横からずいっとケンが前に出る。


「…ケン。それ、俺の言いたかった言葉なんだけど………。」

「言ったもん勝ちだろ、こーゆーの。」

「聞いたことねえよ…。」

「今しがた言ったからね。」

「なんだそりゃ…。」

「文句があるなら俺より先に言うんだな。」

「じゃあ、俺より先に喋るな。」

「あ、満月だ〜。」

「てめえ人の話を聞きやがれ!!」

「うるせぇ!!耳元で怒鳴るな!!」

「人の話を聞かない奴が悪い!!」

「あんだと!?」

「やんのか!?」

ディノとケンがにらみ合い、一触即発な状況になっていた。

と、そこに、


「…なにやってんだお前ら………。」

路地から声。


「「あ?」」


ディノとケンが同時に声のした方を見る。


そこに居たのは『ノースキア・ヤマト』と『マルクス・タオ』。この二人は、仲が良くほとんど一緒に居ることが多い。

ヤマトは背丈や体つきがディノと同じぐらいで、綺麗なブロンドの長い髪を後ろでまとめていた。それが彼のチャームポイントでもある。

タオはケンと身長が全く一緒で、体つきもほぼ同じである。髪の毛も赤く、ケンと髪形も被っていた。さすがに顔つきは違う。人にもよるが、ケンの方がカッコいい。


「全く………いつまでたっても寄宿舎に戻らねえと思ったら、こんなとこで油うってやがったのか。」

ヤマトがヤレヤレと肩を竦める。

「全くだ。ケンみたいな奴がいるからこうなるんだ。」

タオが嫌味たっぷりに言う。

すると、負けじとケンも返す。

「はんっ!お前だってさっさと帰ればいいだろ。俺なんかに構ってないで剣でも振ってな!!」

「ハッ!!貴様に言われなくても毎日5百回も振っている。そう言うお前は何回かな?」


「千回しか振ってない。」

「なっ………!!?し、しかし、それを誰が証明してくれるんだ?俺はヤマトと言う証人が…」

「はんっ!こっちにゃマックス隊長が見張ってるんだよ!!」

胸を張って言い切る。

「ああ。振ってる振ってる。よく訓練の座学中に居眠りを繰り返していたから、いつも2倍は振らされているな。」

ディノが腕組みをして一人頷く。


「ばっ!?い、言うなっ!!」

「?言ったもん勝ちつったのはどこのケン君だ?」

白い目でケンを見る。

「はははっ!!なんだ!座学中に居眠りか!!僕はそんなことしたことなど一度も無いぞ!!」

「あん!?俺より素振りの回数が少ない奴がでしゃばるな!!」

「なんだと!?」

「やんのか!?」


………何故だろうか。いや必然だろう。

ケンとタオ。

この二人は眼があったら必ず口喧嘩に発展するほど仲が悪い。ひどいときには殴りあいになるほど仲が悪い。

それはもう異常なまでに。


ヤマトは嘆息しながら二人の罵りあいを眺めた。

ディノはニヤニヤと笑いながら仲裁に入る訳でもなく逆に油を注いでいた。



リーア達はというと―――――

「………こう?」

「ううん、もっとこう………『ビシッ!』って感じ。」

「リーア!こうか?」

「そうそうそんな感じで、一気に降り下ろす。サラ、上手!」

「おお!こんな感じか!!フンッ!!セイッ!!ヤアッ!!」

「………リーアちゃん。こんな感じでいいの??」

「あ、エリー飲み込み早いね!そうそう。マックスさんから教わった『手刀』はそんな感じだった!」

どうやら手刀の練習をしているようだ。


「………お前ら無視すんなコラァッ!!」

眼帯男がキレて怒鳴りだす。

「お前らが刑罰にかけられるかどうか、俺がその命運を握っているんだぞ!?どういう事かわかって…」


「あーはいはい。うるさいから黙ってて。それと転がってる人全員連れてどっかいけ。」

ケンが気だるそうに眼帯男の言葉を遮って命令口調で指示を出した。

と、言うより、そんなこと言っていないでさっさと帰れバカ。とまで言わんばかりの表情なのは誰からも見たら分かるくらい顔に出ていた。いや、出過ぎ。


「てめえ………ようし…なら今からこの事を城の奴に言いに行ってやる!!」

眼帯男はそうガキのようなことを言い放つと城に向かおうとした。


その時、その瞬間。


カァンカァンカァンカァン…………

城の方でけたたましく鐘が鳴らされる。


それは『予兆』。それは『知らせ』。それは『警告』。それは初めての戦いへの『合図』。


飛来する。

黒き竜が。


何頭も。


空から。


闇夜に紛れ。


全てを。


壊しに――――――――――。



――――――――――――――――――



ディノ達は今日、訓練生を卒業した新米の兵士。

まだ戦場には早すぎる筈だが―――、

『奇行竜討伐隊』のヤマトやタオ―――先輩―――ベテラン―――熟練者その誰よりも速く行動していた。

タオとヤマトは何が起こったのか解らず辺りをキョロキョロと見回していた。

が、ディノ達は鐘が鳴り終わらないうちに、一番近場の竜に向かって走り出していた。

「ヤマト!タオ!そいつら任せた!!」

ディノが振り向きながら大声で頼みつけて、前に向き直る。


「―――!?―――!?」

ヤマトが何か言った気がしたが今はそれどころではない。と、無視をした。


「ケンっ!!何頭見える!?」

「今のところ東2、西3、前方の南側から4、北1の、計10だ!!それ以上はわからない!!」


「充分だ!とりあえず全員別れて竜を見張る。危害があるようなら倒す!」

ディノが再び振り向きながら指示をだす。―――が、


「どうも見張る必要は無さそうよ。伏せてっ!!」

リーアが異常な速度で先頭のディノに追い付き、ディノの頭を上から押さえつけた。

そして、前方から。


赤い炎。いや、炎の玉。が飛んできた。


二人は間一髪、伏せるようにして避けた。

近くを異常に熱を持った物体が通った事を肌で感じ、本元が地面で当たって砕けたのを音で知った。どうやら誰にも当たらなかったらしい。伏せたまま振り向くと、当たったであろう場所には直径5四方の大きい穴がポッカリと空いていた。


だが、

「アッッッッツ!!」

ディノが急に起き上がると、着ていた防具を脱ぎ捨てた。防具の右袖から火が上がっており、ディノの右手首も火傷を負っていた。

「…嘘………服が燃えてる!?」

それを見てリーアは驚いた。


―――ディノ達の着ていた服は『奇行竜討伐隊』専用の軍服で、主に布地―――絹糸や木綿の長袖と長ズボンをベースに、上から溶かした鉄を薄く張り付けるように流しつけて、更にその上から『ラトルネ』という竜の鱗や革を張り合わせてある。

あまり動きや通気性は良くないが、それを補える程、燃えにくく、斬れにくい。


補足だが、この『ラトルネ』は、世界中に大量に生息しており、体長は最小0.2m〜最大5m。平均的に多いのは1m弱のもの。家畜、ペット、商売道具、友達。と、人との関わり方は様々。知性も高いものから低いものまで多種多様。注目すべきはその鱗と皮。火ではほとんど燃えないこと。


―――なので、火の中に放り込んだぐらいでは、簡単には燃えない。ので、処分するときは使えるところを剥ぎ、再利用し、残りを溶鉱炉のようなもので、半日近く掛けて処理するのだ。


しかし―――――――――――


その炎の玉が近くを通っただけで、その耐火燃性の防具が焼け焦げたのだ。


「逃げろおぉぉ!!」

ケンが叫び、応じるように全員が散り散りに走りだす。

ディノは後ろを向いて全力疾走した。


ズドオォォン!!


さっき自分達が居た場所に火球が落ちる。当たった所は黒く焦げ付いて地面が抉れていた。

「…こんなん………火傷なんかじゃ済まねえぞ!!」

火傷を負った右手を押さえて悪態をついた。


近くを通っただけで服が燃えるのだ。まともに当たったらひとたまりもない。

無論、ケンやリーア、サラ、エリーは当たることなく、掠めることなく、しっかりと避けきっていた。

全員の無事を確認してからディノは上空を見上げた。

竜が4匹。空中で旋回を繰り返し、何かを呼んでい…


異常な寒気が一気にディノの体を駆け巡る。

それは『あの日』味わった。

8年前の『あの日』と一緒の感覚。


「いやあああぁぁあああ!!」

誰かが悲鳴を上げる。視線を戻すとリーアが頭を抱え込んでうずくまっていた。

「リーア!?どうしたの??リーア!!」

一番近くにいたエリーが駆け寄る。


「…あ………ああ………が………あああっ!!」

今度はサラが自分の胸を鷲掴みにして前のめりになる。

「サラッ!?ディノ!!二人の様子がおかしい!!」

ケンが大声でディノを呼ぶ。

「見たらわかる!!ケン!!サラとリーアを安全な場所へ!!エリーも連れていけ!!」


「ディノ!!お前はどうするんだ!?」

「………時間を稼ぐ………。」

「なっ………!?無茶だ!!お前一人じゃ死ぬだけだ!!」

「そんなことわかってる!!」

一喝。

「けどなぁ、やらなきゃ………いけないだろ………皆を頼むぜケン!!」

ディノは言い切ると同時に走りだしていた。

火傷した右手に支給された剣を。左手に形見の刀を携えて。





読んでくださった方々。誠にありがとうございます。


相変わらずの駄文&駄作です。自分でも自覚してはいるんですが、なかなか良くならないです。

学習能力が無いんだからしょうがないだろうが!!

と、開き直る発言をさせていただいた所で引き上げます。

あ、ちなみにネタバレですが、






























ディノは死にません。

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