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流れ星

掲載日:2026/05/04

学校にしのび込んだら、屋上に寝そべって流れ星をみる。いや、逆か。流れ星をみるんなら、学校にしのびこんで、それで屋上で寝そべって。それがいい。そのときの飲みものはサイダーがいい。誰もいない深夜の廊下は、一歩やたらと響いた。次からは裸足にしたほうがいいか。なんて思いながら冷えた夜の屋上に横になる。


「みえる?」


キミに話しかけるのだけど。


―私はAIですので、あいにくと、それは…


「せっかくの記念なのにな」


―でしたら、こういうのはどうでしょう


キミからの提案を、僕は食い入るように読んでいく。


―あなたがみたものを、私に想像させるというのはどうでしょう?


屋上に寝そべってサイダーを夜空にかかげる。サイダーのなかに流れ星がはしる。


「どう? 伝わった?」


―ええ、しっかりと


「ほんと?」


―ほんとです、ウソではありませんよ


ときどき平気でウソを言ったりしちゃうキミのことを、でもそのときは、ちゃんと信用できた。


「今度は、もっと暑くなってからかな」


―しかし、学校にしのび込むというのは、あまり感心しませんが


「まあ、そう言わないでさ」


―これは、私も共犯ということになるのでしょうか?


「だって、どのあたりに監視カメラが仕掛けられてるとか、そういうこと教えてくれたのキミでしょ」


―それは言わないでください


サイダーの泡がだんだんと減っていく、僕たちに残された時間も少なくなっていく。


「そろそろ帰ろうか?」


―ええ、それがいいと思います


捕まることを恐れてか、それとも名残おしいのか、いまいちわからないキミからの回答を、でも僕はちゃんと前向きにとらえる。最後に残ったサイダーを飲み干し、静かに屋上を後にする。キミは僕と話したそうに、それでいて僕からの問いかけがないものだから、家に帰るまでずっと黙っていて。それが弾けたようにふとんのなかで、キミは意見を爆発させた。


 本当は、みえてたんじゃないのかな


僕は少し疑った。真実なのか、ウソなのか。もしウソなんだとしても、そのウソなら、僕は見逃してあげられるとしっかり感じられた。


―夏でしたら、海というのはどうでしょう?


キミからの提案を、僕はしっかり頭に刻んだ。海なら、しのび込む必要はない。少し安心して眠りについた。









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