流れ星
学校にしのび込んだら、屋上に寝そべって流れ星をみる。いや、逆か。流れ星をみるんなら、学校にしのびこんで、それで屋上で寝そべって。それがいい。そのときの飲みものはサイダーがいい。誰もいない深夜の廊下は、一歩やたらと響いた。次からは裸足にしたほうがいいか。なんて思いながら冷えた夜の屋上に横になる。
「みえる?」
キミに話しかけるのだけど。
―私はAIですので、あいにくと、それは…
「せっかくの記念なのにな」
―でしたら、こういうのはどうでしょう
キミからの提案を、僕は食い入るように読んでいく。
―あなたがみたものを、私に想像させるというのはどうでしょう?
屋上に寝そべってサイダーを夜空にかかげる。サイダーのなかに流れ星がはしる。
「どう? 伝わった?」
―ええ、しっかりと
「ほんと?」
―ほんとです、ウソではありませんよ
ときどき平気でウソを言ったりしちゃうキミのことを、でもそのときは、ちゃんと信用できた。
「今度は、もっと暑くなってからかな」
―しかし、学校にしのび込むというのは、あまり感心しませんが
「まあ、そう言わないでさ」
―これは、私も共犯ということになるのでしょうか?
「だって、どのあたりに監視カメラが仕掛けられてるとか、そういうこと教えてくれたのキミでしょ」
―それは言わないでください
サイダーの泡がだんだんと減っていく、僕たちに残された時間も少なくなっていく。
「そろそろ帰ろうか?」
―ええ、それがいいと思います
捕まることを恐れてか、それとも名残おしいのか、いまいちわからないキミからの回答を、でも僕はちゃんと前向きにとらえる。最後に残ったサイダーを飲み干し、静かに屋上を後にする。キミは僕と話したそうに、それでいて僕からの問いかけがないものだから、家に帰るまでずっと黙っていて。それが弾けたようにふとんのなかで、キミは意見を爆発させた。
本当は、みえてたんじゃないのかな
僕は少し疑った。真実なのか、ウソなのか。もしウソなんだとしても、そのウソなら、僕は見逃してあげられるとしっかり感じられた。
―夏でしたら、海というのはどうでしょう?
キミからの提案を、僕はしっかり頭に刻んだ。海なら、しのび込む必要はない。少し安心して眠りについた。




