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アルベールside3

 すみません。予約するのを忘れていました。



「私が訓練をしましょうか?」

「ノヴェトリー夫人が指導するのですか?」

「えぇ、そうです。元々、辺境伯の地に居たので、手助けになるかと思いますよ」


 突然、ノヴェトリー夫人から直々に鍛えると言われたが、よくよく思い出すと、母上が助けてもらったのも、他の公爵家の領地へ行く為に立ち寄った、辺境伯の領地アルバディス内の道で······と言っていた気がする。

 力を付けたいし、付けるべきなのだと強く思う。

 自分の力で守りたい。


「はいっ!よろしくお願い致します!」

「来た時とは大違いね。とても良い瞳だわ」

「今からいいですか!?」

「······ふっはっはっはっー!!いいわね!良い心掛けね!」

「早く強くなります!」

「······ふむっ。強くなってどうしたいんです?」

「リリーが欲しいです!!」

「!?」


 流石のノヴェトリー夫人も、俺がそんな事を言うとは思っていなかったようで、目を見開いて驚いた顔をしていた。

 リリーのお母上に反対されようが、これだけは絶対に譲れない。


「······そうなの。リリスの為ね······」

「はっ、反対されたら夫人を倒してでもリリーが欲しいです!!」

「あらっ、わたくしに挑むなんてね······」

「グッ······」


 凄い威圧感に圧倒されそうになる。分かってる。五歳の俺が敵う相手ではないのはこの圧力を受けたら、十分思い知らされる。


「フッ、良いでしょう」

「えっ?」


 俺の覚悟は肩透かしで終わった。もっと反対されるかと思っていたので、何かの罠ではないかと疑心暗鬼になる。


「何も持っていない状態であなたは、リリスを守ってくれましたからね。早急に婚約を進めていきましょう」

「えっ!?いいんですか?」

「私に二言はございません。その代わり、色々と条件は付けさせて頂きます」


 勿論、こんなに呆気なく婚約出来るのだから厳しい条件を付けられて当然だ。


「一つ目、私が良いと言うまでは婚約を他言しないこと」

「!!」

「二つ目、私が良いと言うまでリリスには会わないこと」

「!?」

「三つ目、リリス以外のご令嬢にも目を向けること」

「!?!?」

「以上!!何かご質問は?」

「······特にありません」

「あらっ?よろしいの?」

「はい。夫人は考えがあっての内容ですし、俺なりの解釈で納得したので、条件を受け入れます」


 この条件はどれもリリーと俺を守る為だというのが分かる。他人の子どもなのにここまで俺の事も配慮して下さっている。


「思った以上に賢い子ね。うちの馬鹿息子達は見習って欲しいわ」

「では、承諾したので早く指導して下さい!」

「そう焦らないで下さい。婚約は家同士の話しになります。書類等の手続きを踏まねば、口約束など有効ではありませんよ。それでも良いと言うのであれば······」

「手続きして下さい!」


 早くリリーを俺と縛り付けたくて、急ぐ余り書類関係を忘れていた。

 リリーの事になると状況把握出来なくなっている。今後は気を付けて冷静さも鍛えなくては、リリーに嫌われてしまわないようにしなくては。


「では、戻ってあなたのお母様とお話しなくてはね······」

「はいっ!よろしくお願い致します!」


 俺と夫人は母上の所へ戻って話をしたら、泣きながら喜んでいた。

 こんなにも母上を心配させていたのかと、改めて反省したと同時に母上は実は凄い人なのだと思った。


 夫人の言った条件の俺なりの解釈としては。

 一つ目は、他言してしまうと万が一、どちらかが婚約破棄したい時に次が見付からなくなってしまうから。

 これについては、俺の方は絶対無いので心配いらない。リリーに関しては破棄されないように囲えば良い。


 二つ目は、定期的に会ってしまうと、歯止めが効かなくなりそうで、訓練どころではなくなるのが、目に見えているから。

 これについては遠目から見たり、何ならシルフにお願いをして、彼女を守ってもらうと同時に情報も得よう。


 三つ目は、一つ目と少し似ているが、きっとまだ五歳という年齢を考えての事だ。

 それとも俺の本気で愛しているというのを信じていないのか、子どもだから気が変わるだろうと思っているのか。

 その点は一生変わらないと断言する。俺は容姿は父上に似ているが、執着心は母上に似たようだ。

 "凄い人"と思ったのはこの執着に対してだ。俺を使って、どうにかノヴェトリー夫人の懐へ入り込んだようだ。

 夫人はそれも分かっていて、母上を受け入れているだろうけど。

 ノヴェトリー夫人には御礼と言って何度も会う為に手紙を送り続け、最終的には恩人相手に押し掛けるようにして、お茶会をしている。

 

 それと、リリーはまだ三歳。愛については、分かっていないという点を夫人は考えているのだろう。

 リリー自身が成長していったら、どう恋愛していくか分からないからな。それにノヴェトリー夫妻は大恋愛の末の結婚だと、母上が語っていたから、リリーにもその事を考慮してだろう。


 絶対に逃しはしない。俺しか見えなくしてやれば良いだけの事だ。

 俺と恋愛するように仕向ければいい。



 可愛い可愛い、俺のリリー。



 最後まで読んで下さって、ありがとうございます。

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