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27話


 何を見てそう思ったか、ジン様は私が風を吹かせていると言ったのだ。

 私はしがない伯爵令嬢なのだから、そんな力が備わっている訳がない。


「えっ!?」

『リリスの感情に左右されてるように感じるんだ······』

「······ジンそれは本当か?」

『そうとしか······』


 いや、そんな事あります!?

 アル様もジン様も何か考えているようだけど、抱きしめられたままは、近くて恥ずかしいです。


「······無意識に精霊の力を使ってるのか?」

『······おそらく』

「えっ······」


 無意識に?勝手に風が吹いているから自然に吹いているのかと思ってた。

 ジン様に会ってからは、ジン様の力なんだろうと。


「何で?私!?」

『知らな~い』

「ジン様の力かと思ってました······」


 シルフの血筋でもないのに、そんな事が出来る?


「幼い頃からジンは、リリーが気になると言っていたから、その気になるという点を追及したらいいのではないか?」

「幼い頃から??」

『追及かぁ~······』

「幼い頃って?」

『······気になる点······追及······』

「幼い頃っていつから?」

『······~だぁぁぁーー!!』


 あっ、おかしくなった?私がしつこく聞いてしまったから?


『ぁぁぁーー······。あっ!』

「どうした?」

『生まれた時かぁ~!!』

「「は?」」


 アル様も私もジン様が何を言ってるのか、全く分からなかった。

 一応、私の質問の答えを返してくれた?


「分かるように話してくれ」

『はいは~い。あのな~リリスが生まれた時に生まれた~って分かったんたよ』

「「??」」


 説明になっていないと言った方がいいのかしら?


「それで?」

『だから~。あっ!ってなったんだよ~』

「感覚で説明されても分からない」


 アル様、的確な突っ込みをありがとうございます。言いたいこと言ってもらえました。

 何だろう、精霊は感覚で話すのが通常なのかしら。


『ん~······。うわ~って、なったって言うの?······光?······そう!光がが入ってきた!!』

「······光?」

『あぁ~、スッキリした~。何か引っ掛かってたのはそれだった~』


 いや、こちらは余計に分からなくなって、悶々としていますが。


「······もしかして、光の精霊?」

『かもね~。会ったことないから、わかんないけどな~』


 これ、誰の話?本当に私の事を話してるの?


「四大精霊以外が見付かったとなると······」

『あぁ~ヤバイよな~』


 ヤバイって何!?私がヤバイということ??

 四大精霊以外にも、他に精霊がいることを今日、初めて知りましたが······。


「······ジンが気付いてるって事は、他の精霊も気付いているな」

『だろ~な~。でも、家の者に言ってたら、リリスに接触があるだろうからな~』

「······ないという事は、精霊達だけ知っている」


 他の精霊も気付いてるの!?

 確かに、今まで他の四大公爵家の接触はありませんでした。


「ジン。光の精霊は何故、風が使えるんだ?」

『あぁ~。光は色々集めるんだよな~』

「なる程······交流する事で、他の精霊の力が使えるということか?」

『そうなるね~』


 なる程って、この短時間でアル様は理解出来てしまうのね!?

 話がどんどん進んでいくけど、私は、私は······。


「私にそんな力はありません!!」


ビュンッ!!


『あるな~』

「······」


 この説得力の無さ。言った側から突風が吹くだなんて、力がありますって言っているようなものだ。


 それでも私は今まで、伯爵家の令嬢として育てられてきた。

 まぁ、ちょっと変わった家族だけれども、精霊とは無縁だったから知らない事ばかり。


 婚約の件や自分の恋愛、公爵家で過ごす事などが一気に来て、情報処理が追い付いていない。

 加えて"光の精霊"の話まで出てきてしまった。

 もうこれで学園に入学したら友人も出来ずに、騒がれてしまうのだろうか。


 光の精霊なんていきなり言われても······。


 これからどうしていけばいいのか······。自分が自分では無くなっていくみたい。


「無かったことにしよう」

『はぁ~?』

「!!」

『何言ってんだ~?無かったことには出来ないだろ~?』

「いや、するんだ。俺達は何も知らなかった事にする」


 突然の"ゼロ発言"。知ってしまった以上、無かったことには出来ないのではないか?

 発表されるよりも、私からしたら有り難い事だけど、それは成立するのか。


「ジンが言うように、他の精霊達も気付いていて、今まで何も接触が無かったという事は、無かったことにすべきなんだ」


 確かにアル様の言う事は、強ち間違ってはいない考え方よね······。


『······でもな~。いつまでも隠せないんじゃないか~?』

「いつかは知られますかね······?」


 ジン様の言うように、学園に入学すると様々な事が起こるだろうから何かしらの形で知られてしまうかもしれない。


「それまでは、無かったことにするんだ。リリーが今まで通り過ごせるように······」

「アル様······」

『······~っだぁ~わかったよ~。オレは何もしらねぇ~』

「······ジン様」


 二人共、私の事を考えてくれて、穏やかに過ごせるよう、無かったことにしてくれた。


「大丈夫だ、リリー。何があっても守るから」

「······アル様」


 一番に私の事を思ってくれたアル様。この方を好きになって良かった。





 最後まで読んで下さって、ありがとうございます。

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