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24話



 白い光の球についていくと、昨日とは違う温室の前に連れてこられた。

 扉の前に来ると、白い光の球はスーッと中に入っていった。

 いや、あなたはすり抜けれるかもしれないけど、私にも入れってこと?

 でも、勝手に入ったらお叱りを受けないか心配になるが、気になってしまったので、お邪魔することにした。


「失礼しまーす」


 ーーカチャ······。


 中に入ると苺の甘い香りが、室内に漂ってきて、匂いから美味しい。


「ん~美味しい香り~」


 思い切り深呼吸をして、体の中にもこの良い香りを巡らせる。

 あぁ······。ここに居るだけで幸せな気分になれる。いっその事、私の部屋をここにしたいくらいだわ。


「······何をしてる?」


 変な事を考えていると、ここに居るはずのない人に声を掛けられた。


「はっ!······アル様!?えっ??何でここに!?」

「リリーこそ、こんな所へ何しに?」


 アル様は外の苺畑に居ると聞いていたのに、白い光の球が案内してくれたこの温室に居るなんて。


「アル様にお会いしたくて、外の苺畑に行ったのですが······」

「あっ、あぁ。先程までは外に居たが、この温室に来いと言われて来たら、リリーがいた」


 "来いと言われて"······?誰に??

 ルクセルは私がここに居るのは知らないはず。じゃあ誰?公爵家の影っぽいクルトが何処かにいたのかしら?

 今もその辺りに隠れてる?でも、キョロキョロと周りを見てみたがいなかった。


「因みに、クルトではないからな」

「えっ!?私、声に出してました!?」

「いや、行動が······」


 さっき言い当てられたルクセルといいアル様といい。私は案外、思っている事が分かりやすいようだ。


「······私って、そんなに分かりやすいですかね?」

「今のは分かったが······他はそうでもないな」

「······他?」


 他とは?なんの事かしら??


「あっ、いや······。そ、それよりもどうやってここへ?」

「えっ!?私ですか!?」


 言っていいのかな······。適当に彷徨ってたら辿り着いたって言っても、私の態度で嘘だと分かるのではないかしら······。


 アル様は信じてくれるかな?


「······リリー?」


 距離を置かれたと思っていたのに、今は心配そうに優しく声を掛けてくれる。

 ルクセルがアル様は"人と関わるのが怖い"とか"男は繊細"って言ってたな······。


 本当の事を言って、信じてくれずに距離を置かれても、それは仕方がない。

 嘘を言って信じてしまったら、それこそ蟠り(わだかま)が出来てしまう。


 それは絶対に嫌。


「リリー······?」

「······あの······アル様。信じてもらえるかは分かりませんが······。ここまで白い光の球に導かれたんです!!昨日話をしたのと同じ球に!!」

「······あぁ」


 その"あぁ"とは、どういう意味の"あぁ"ですか!?

 "あぁ、何馬鹿な事を言っているんだ?"の"あぁ"ですか!?

 それとも"あぁ、幻覚でも見たんだね。少し休むかい?"の"あぁ"ですか!?


「······信じられませんよ「これか?」ね······えっ?」


 ふわぁっ······と、マカロン大の白い光の球が浮かび、プワプワと目の前を飛んでいる。


「えっ!?あっ、これ!!」

「お前がリリーをここまで連れてきたんだな。ジン」


 アル様がそう言うと、マカロン大の白い光の球はピタッと止まった。


「······ジ、ン?」

『そう!オレ、ジン』

「ひっ、光が喋った!?」


 えっ!?どういう事!?マカロン大の白い光の球は喋るし、そもそも、アル様はこの白い光の球とは知り合い!?


「驚かせてすまない。隠すつもりはなかったんだ······」

「か、隠す?」

「この白い光の球は"精霊"なんだ」

「······精霊!?」

「あぁ、ジンは風の精霊だ」

「はぁ······」


 精霊の存在は知っていたけれど、見たのは初めてだった。

 国を守る重要な存在に、こんなに簡単に会っていいものなの!?


「はっ、初めましてジン様。ノベトリー伯爵の娘、リリス・ノベトリーです」


 白い光の球に向かって礼をする。精霊の機嫌を損ねてしまうと、国を揺るがす大事件になる。

 慎重に行動しなくてはいけない。私程度の伯爵家の娘が、簡単に会って話をする機会なんてこれから先もうないだろうから。


「リリー、そんなに(へりくだ)らなくていい」

『そうだよ~いつも通りにしてくれ~』

「えっ!?······いつも通り?」


 四大公爵家には各家ごとに、火・水・風・地の精霊がいる。

 アル様のシルフィード公爵家は、このジンという風の精霊がいるようだ。


 気位が高くて、気を許した者にしか姿を見せてくれないとお母様から教えられてたので、こんなにも簡単にお目にかかれて良いものか······。


『いいも何も~······』


 ーーポン。


 精霊のジン様はマカロン大の白い球体の光のから十五センチくらいのエクレア大の男の子になった。

 アル様と同じ透き通るシルバーの髪。その長い髪は、キラキラ光ながら棚引いている。

 瞳もアル様と同じ吸い込まれるようなペリドット。


 これは言っていいのかな······。




 最後まで読んで下さって、ありがとうございます。

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