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14話



 地獄の訓練に連れて行かれると思っていたので、拍子抜けしてしまう。

 あまりにも予想だにしていない発言だったので、どういうリアクションをしていいのか······。

 とは言え、恐ろしい地獄の訓練ではなかった事への喜びが表情に出ないようにしないと、訂正されて地獄の訓練へ一緒に連れていかれるのだけは避けなければ。

 それよりも、私が残される場所がおかしい!!


「こっ······ここって······ここです······か??」


 親戚でも何でもない私をシルフィード公爵家が預かるなんて有り得ない。

 お母様は自分の家かのように振る舞っているけれど、ここは伯爵家ではなくて公爵家なのに間違えないで!!

 まぁ······家と同じ居心地だったから私は間違えたけど······。

 

「そうです"ここ"ですよ」

「ここって······シルフィード公爵家にご迷惑をお掛けするなんて······私は王都のタウンハウスにて謹慎でもしておきますから!!」

「何故、リリスが謹慎せねばならないの?まさか······何か母の知らぬ事でもあるのかしら?」


 あわわわ~。余計な事言ったかもしれない!このままだと連れていかれる!!


「ノベトリー伯爵夫人、ご報告の通りリリーは被害者です。目が覚めたばかりできっと混乱しているのでしょう」

「······ふむ、アルベールがそう言うのならば、そうなのでしょうね」


 えぇ~?何その信頼感。いつの間にそんな関係性になってるの??しかもお母様、アル様の事を呼び捨てですけど!?

 何気に違和感なく会話が進んでいるけど、私だけ置いてけぼりですか?


「リリーは責任を持って、大切にお預かりさせていただきます」

「任せましたよ」

「はい」


 お母様があっさりと許可してしまった。

 でも、いいのかしら?年頃の男女が一つの家で生活するなんて、変な噂を立てられてしまうのではないのかしら?

 流石に周りも公爵家には喧嘩は売らないのか、それともユース殿下が何とかしてくれるのか······。


「っ母上!異議あり!!」

「何です?セドリック」

「アルに預ける方が危ないだろ!!俺らがいなかったら何をするかわからないだろ!?だから一緒に連れていこう!!」

「!?」

「「······」」


 セドリックお兄様は何を言い出すの!?  

 私まで巻き込むのは止めてよ!!回避出来ると思ったのに!

 どう考えても、辺境伯での地獄の訓練(お母様付き)の方が何百倍も危ないに決まってるじゃないの!!

 アル様と過ごすのと比べないでよ!!まぁーある意味、キラキラ眩しくて私の心臓が持つかという点では、危険な方かもしれないけども······。

 お母様もアル様も無言でセドリックお兄様を見詰めて、お母様は大きな溜め息をついた。


「はぁ。アルベールとお前たち兄弟を一緒しないで頂戴」

「······っ、おっ、俺だって妹を守るくらい出来る!」

「出来なかった結果がこれではないの?」

「そっそれは、アルだって!」

「お前達が邪魔をしなければ良かったのではないのかしら?」

「······っ」


 お母様に意見してまで、私の事を思っていてくれていたなんて知らなかった。

 でも、辺境伯での地獄の訓練(お母様付き)は行きたくないわ。それとこれは別です。


「セドリックが言うように、俺もリリーを守りきれなかった責任はあります。事の発端は俺の従兄弟ですから」

「······アル様」

「今回の件は、母である私が許可した事でもありますから、アルベールが気にする必要はないのです」


 んっ?お母様が許可って何の事?ガーデンパーティーに参加するようにと言った事?

 それよりも、お母様と親しげな雰囲気とたくさん話をしているのを見るのがモヤモヤする。

 アル様は無口なのだと思っていたのに、そうでもないのかしら?それとも、お母様とは前から会っていて気を許している······?


「しかし······」

「それに、前々からリリスをシルフィード家に預ける予定だったのが、少し早まっただけてすよ」

「えっ!?そうなの!?」

「えぇ、そうですよ。本当はデビュタント後に勉強の為にと、お願いするつもりでした。これを機に学園もこちらから通えばいいのではないかしら?」

「えー!?」


 そんな事、勝手に決めて良いものではないくらい、いくら何でも私でさえ分かっているわ。いくらアル様が許可しても、親であるシルフィード公爵様とシルフィード公爵夫人の許可がなくては駄目に決まっている。


「お母様!流石にご迷惑の範囲を越えてますよ!!」

「心配しなくていいわよ。シルフィード公爵夫妻には話が通っているのだから」

「??」


 やっぱり私だけ話が付いていけないようで、悶々と考え込んでしまう。

 そんな私をアル様は手を取って、擦りながら落ち着けさせてくれた。


「アル様······」

「リリー、大丈夫」


 分からない事を、考えすぎてパンクしてしまう所だった。アル様は私の安定剤なのかもしれない。自然と安らぐのを感じる。


「アッハッハッハー!」


 すると突然、お母様が私達の方を向いて笑いだした。


「仲が良いとは素晴らしいわ!!このままもっと、深めていきなさいね」

「えっ?いいの??」

「当たり前じゃない。婚約者同士なのだから」

「んっ?」


 今、聞き逃してはいけない事を言った。




 最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 いつも楽しみにして下さいっている方、今日の更新が遅くなってすみません。

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