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1話

 

 キラキラした日差しが降り注ぎ、まるで妖精が祝福しているかのような心地よい昼下がり。

 広大な敷地に季節の草花が咲き誇り、丁寧に管理されている庭でのガーデンパーティーの真っ最中。

 ここはパーティー会場の庭から少し離れたガゼボ。


 大の字に倒れる令息。仁王立ちの令嬢。


目撃者は

①皆の憧れ!煌めきが止まらない"王子殿下"

②美しさで全てを虜にする!眩しすぎる"公爵令息"

③顔立ちが可愛らしい!細マッチョ"伯爵令息"


 誰がどう見ても修羅場。


 そんな中、目撃者①の皆の憧れ!煌めきが止まらない"王子殿下"が、不安気な表情で声を掛けた。


「······リリス嬢?」


ー-ー-詰んだ


 はい。リリス嬢こと私、リリス・ノベトリー伯爵令嬢は、ここに大の字に倒れている令息を投げ飛ばした状況になっています。

 勘違いしないでもらいたいのは、私は男性を投げ飛ばす程のパワーはありません。

 というか、この状況に納得できてないです。自分でもわからず混乱中です。


 何故こうなったのだろう······。



ーー遡る事、数時間前


「わぁ······ビクトルお兄様。素敵なお庭ね。可愛くて、美味しそうなお菓子もたくさんあるわ」

「リリス、俺から離れるなよ。迷子になっては困る」


 ヴィクトルお兄様は少し過保護かしら?と思う所があるけど、今日は我がメヌール王国の四大公爵家の一つ、シルフィード公爵家のガーデンパーティー。

 お兄様はある程度、ご挨拶回りをしなくてはいけないと思う。

 十五歳から二十五歳を対象とした、若者の交流の為に開催された。私は二週間後に学園へ通うので、その前に顔見知りを作る為に参加した。

 だから、私は同年代の方との交流を自分からし、学園での生活を円滑にしていきたい。

 まだ、夜会のデビュタントはしていないので、このティーパーティーは初めての社交場なのだ。


「お兄様!私はもう、お子様ではないわ」


 私が少しむくれて言う。


「いや、十五歳はまだ子どもだ。それに、一昨日もこっそりとケーキをワンホール食べていたではないか」

「お兄様!?何で知っているの!?」


 私付きの侍女レティアを撒いて、隠れて食べていたのがバレていたなんて······


「昨日もディナー前にクッキーを十一枚ぐっ······」


 強制的に口を閉じてもらう為に、近くのテーブルに置いてあったマカロンをビクトルお兄様の口へ入れた。お兄様は素直にモグモグと咀嚼する。


 甘い物好きで良かったわ。


 ビクトルお兄様は私と同じ明るいシフォンベージュの髪色で、スカイブルーの瞳をしている。だから兄妹だとわかりやすいと思う······はずなのですが、ビクトルお兄様は髪を短く刈り込んでいて、百九十六センチの長身でゴリゴリのマッチョに対して私は百四十八センチと年齢的には小柄で、あまり兄妹と思われない節がある。

 お兄様と五つしか離れていないのに、幼く見られ勝ちなのだ。

 でも、お菓子好きは同じなので、先程のマカロンもきっと美味しかったのだろう。もう一つ摘まんでいる。

 ビクトルお兄様が摘まんでいるマカロンの隣にある、見るからに瑞々しさで輝く苺がふんだんに乗せて作られたタルトも美味しそう。


「リリス、これ食べるだろ?」

「はい!もちろんです!!」


 ビクトルお兄様は私が食べたそうにしていたのを察してくれて、苺のタルトをお皿に乗せてくれた。

 実を言うと、このパーティー会場に入った時から、目を付けていたのがこの苺のタルト。

 一口パクリと頬張ると、思っていた以上の苺自体の甘さと程よい酸味。今摘んだかのような新鮮さに、バランスの良いカスタードクリームとサクサクのタルト生地。

 これはホールで食べれます。


「ん~幸せ~ずっとこれを食べていたいわ~」

「そんなに気に入ったのか?」

「とても気に入りました!!流石!公爵家です!!他のお菓子も食べたいですが、この苺タルト以上のお菓子には出会えない気がします!」

 

 ビクトルお兄様も手に取り口にする。すると、プルプル震え出した。


「こ、これは美味い······」


 ビクトルお兄様なら気に入ると思ったわ!


 好きなものが似ているで、絶対に気に入ると思っていたが、予想以上のハマり具合のようで、もう食べてしまったビクトルお兄様。

 サッと素早い動きで五カットお皿に盛り付けた。本当だったらワンホールは乗せて食べたいが、如何せんここは、公爵家のガーデンパーティーなので、無茶な食べ方は御法度です。


「それにしても、こんなに美味しいお菓子に見向きもしないなんて······」


 周りを見てみると、ご令嬢方の気合いの入れ方が恐ろしい。ドレスも目もギラギラしていた。皆様、今日は夜会でも狩猟会でもないですよ。

 ご令息方はソワソワしていて、頼りなさそうな雰囲気です。このような方々と仲良くなれるのだろか······不安しかないわ。


「目が血走って見えるのは、獲物がいるからだろう」

「あれっ?今日は狩猟会だったの?」

「······比喩だ」

「·······わかってますよ。子ども扱いしないで下さい」

「まぁー、珍しく王子殿下もいらっしゃるし。パーティーのホスト役をなかなかやらない公爵家だから、シルフィード家の嫡男辺りが目当てなんだろうな」


 そんな話をしながら、ビクトルお兄様は苺のタルトを完食して、次に目を付けていたのかレモンケーキに向かって行った。

 どちらの方がお子様なのかしら?と思いつつ、私も苺のタルトを完食した。

 そう言えば、うちのメイド達も話していたわね。この3人は絶対に外せない。

①王子殿下は皆の憧れ!煌めきが止まらない"王子殿下"

②美しさで全てを虜にする!眩しすぎる"公爵令息"

③顔立ちが可愛らしい!細マッチョ"伯爵令息"


 拝めるわ。ときめきが止まらない。特に王子殿下のマリユス・メヌール殿下とアルベール・シルフィード公爵令息様はあまり人前にお出にならない方なのよね。

 見たことないけれど、殿下は王族特有の金色の瞳らしいよ。シルフィード公爵家は代々シルバーの髪色よね?とか何とか言っていた気がする。


 学園でもお二人は人が多い場所には行かないと有名だとか。何より女性に対して冷たい態度の公爵令息様とお兄様も言っていた。

 私には興味ないので聞き流していたわ。細マッチョの話が出てこなかったのが気になったが、"拝める"や"ときめきが止まらない"とかは、まだちょっとわからないわ。

 

 私はもう少し食べたいと思っていた、苺のタルト取りに行こう。




 連載始めました。

 ダラダラと続くかも知れませんが、お付き合いして頂けたらと思います。


追記:すません。名前が読みにくいので、ちょっと直しました。

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