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プロローグ: 絶望の大地

夕暮れの光が赤く染める荒れ果てた大地。そこには、魔物が徘徊し、村を襲撃していた。村人たちは恐怖に包まれ、逃げ場を求めて必死に走っていた。絶望の叫び声が空気を震わせ、魔物の咆哮がそれに重なる。村の中心にある広場では、巨大なドラゴンが炎を吐き出し、逃げ遅れた人々を次々と焼き尽くしていた。


その混乱の中、一人の少女が震えながら身を隠していた。姫乃あゆは、必死に恐怖をこらえ、涙をこぼしながらもドラゴンの姿を見つめていた。生き延びるために隠れるしかなかった彼女は、全身を恐怖で凍らせていた。


「誰か…助けて…」と、あゆは小さな声で呟いた。


その時、空気が裂ける音が響いた。目の前に突然現れたのは、黒髪の美少年だった。彼の冷たい瞳がドラゴンを鋭く見据え、口元には薄く笑みが浮かんでいた。彼がゆっくりと手を前に差し出すと、次の瞬間、ドラゴンが一瞬にして粉砕された。まるでその存在が最初からなかったかのように、ドラゴンの身体は風に散った。


「…な、何が…?」と、あゆは驚愕しながら呟いた。


少年は何も言わずに歩き始めた。彼が通るたびに、周囲の魔物たちが一瞬で消えていく。何の抵抗もできないまま、その存在が消されていくのだった。村人たちは、その光景を目にし、さらに恐怖に震えた。少年の力はまさに神のようであり、その無感情な目が彼らに対する無関心を物語っていた。


一人の勇敢な村人が震えながらも少年に近づき、助けを乞うように叫んだ。「あ、あなたは…一体何者なんですか!?助けてください!村を守ってください!」


少年は一瞬、村人に目を向けたが、その目には一切の感情がなかった。まるで彼の存在自体が無意味であるかのように、無視し、再び歩き出す。次元を切り裂くように空中に手を振りかざすと、そこに黒い裂け目が生じた。


「俺には関係ない」と、少年は低く呟いた。


彼が裂け目に足を踏み入れると同時に、次元の裂け目は音もなく閉じ、少年の姿は消え去った。その場にはただ、絶望の残り香と、静まり返った村が残された。


あゆは震えながらも、その光景を見ていた。彼女の目には恐怖と同時に、何か別の感情が浮かんでいた。それは、圧倒的な力を持つその少年への、強烈な興味と憧れ。


「すごい…あの人、誰…?」


彼女はその場に立ち尽くし、少年が去った方向を見つめていた。心の中に芽生えたその感情が、彼女を次なる運命へと導いていくのだった。

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