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【連載版】連勤術師の悠々自適な生活  作者: ラクシュミー
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8.桁外れ

ーー夕食後。


「じゃあ、イツキ。持ち物の鑑定じゃ」


 村長の言われて、私はリュックからこの世界に持って来た荷物をテーブルの上に取り出した。


「結構、色々入っておるな」

「あぁ、確かに。普段からこんなに持ち歩いておるのか?」

「いやいや、ここに来たのが休日前だったから。普段はもっと少ないですよ」

「そんなことより、早速スマホで検索してみろよ」

「あっ、そうだね」


 リュウに急かされて、私は何個かずつに分けて写真を撮っていった。そして検索した結果、誰もが驚く事実がわかった。



虫除けスプレー……イツキのスプレー。

         悪意のあるものを防ぐ結界を張れる。

         イツキか許可を得た者にしか使用不可。

         決してなくならない。


除菌アルコール……イツキのアルコール。

         あらゆる魔除け。飲用不可。

         イツキか許可を得た者にしか使用不可。

         決してなくならない。

         

財布……イツキの財布。

    自動的に両替可能。

    イツキか許可を得た者にしか使用不可。

    

文房具類

イツキの多機能ペン……何にでも書ける。

イツキか許可を得た者にしか使用不可。

         決して折れない、なくならない。


イツキの消ゴム……どんなインクでも消せる。

         イツキか許可を得た者にしか使用不可。

         決してなくならない。


イツキのメモ帳…防水、防火。切り離すと普通の紙になる。

        イツキか許可を得た者にしか使用不可。

        決してなくならない。

     

イツキのカッター…何でも切れる。

         イツキか許可を得た者にしか使用不可。

         決して刃こぼれすることは無い。

     

イツキのストール…サイズ変更可能。

       纏えばあらゆるものから防ぐことができる。

       イツキか許可を得た者にしか使用不可。

       決して損傷しない。


「ちょ、ちょっと待ていっ! どれだけ桁外れなんだよ!」

「ねぇ? 便利だよねぇ〜?」

「いやいや、便利とかそういう次元じゃなかろう」

「これまで色々な迷い人の持ち物を見てきたが、イツキのように魔道具になるものなどなかったぞ」


 バルカン爺ちゃんは、“王国一”や“伝説”と言われるほどの凄腕錬金術師として有名。そのバルカン爺ちゃんがこれまで迷い人の持ち物を色々と見てきたそうだ。それでも、今までの持ち物は魔道具になることはなかったと。私の持ち物だけが、こんなにチートになるなんて、もちろん誰もわかるはずもなく……。他の物も検索した結果……簡単に説明すると消耗品は無限に出てくることに、道具類は魔道具に変貌を遂げていた。


「ふぅ〜。ヤニが身体に染み渡るぅ〜」


 タバコケースからタバコが無限に出てくることがわかったので、心置きなくテラスに出てタバコに火をつける。こっちの葉巻きのようなタバコもおじぃからもらって吸ったこともあったけど、私の口には合わなかった。


 まぁ、おばぁ達からは淑女は吸わないと言われた事もあったけど、10年以上私の精神安定剤となっているものは簡単に止めれない。


「イツキ、俺にもくれ」

「あれ? リュウも吸うの? ……はい」

「時々な。……ふぅ〜。こっちのと違って、上品な味だな」

「後で何本かあげるよ」

「サンキュ」



*****



 私の持ち物検索からしばらくたった頃、村長に呼ばれた。案内された、村長宅の応接室には村長だけではなくディーテ婆ちゃんとアポロ婆ちゃんもいた。


「イツキに頼みがある。イツキの薬を少し、分けて欲しいのじゃが……」

「私の薬? あー、あの“エリクサー“」

「そうじゃ。あの、エリクサーじゃ」

「もちろん、良いですよ」

 


パファリン……イツキの薬。

       エリクサー。

       どんな症状でも治療可能。

       決してなくならない。



 多くの女の子が月一でお世話になっている鎮痛剤。偏頭痛持ちの私がバッグの中に必ず入れていた薬も、この世界に来たらエリクサーに変化していた。

          

「はい、どうぞ」

「……イツキや。願ったワシが言うのもなんじゃが、やたらと人に渡してはならんぞ。もちろん教えることも控えるようにな」


「はい、もちろんです。オチュードのおじぃおばぁだからですよ。絶対に、悪用しないのわかってますもん」

「うふふ、ありがとうね」

「こうもハッキリと口に出されると、恥ずかしいものがあるわね」


 いとも簡単に薬を渡した私に注意をする村長に、村の皆んなを信用していることを告げるとディーテ婆ちゃんとアポロ婆ちゃんが嬉しそうにしていた。それを見て、私も嬉しい。


「ちなみに誰か具合悪いの?」

「いや、村の人間じゃないんじゃがな……」

「あー、聞いちゃダメなら言わなくて良いですからね」

「イツキちゃんは、いい子ねぇ〜」

「私の弟子だからよ〜」


 この年で、いい子と言われるのはちょっと恥ずかしいけど、大賢者のアポロ婆ちゃんに弟子として認められるようになったのは嬉しい。


「……ワシの息子なんじゃ」

「村長の息子さん? ……って、国王陛下!?」

「あぁ、そうじゃ。現国王じゃよ。先日から、具合が悪いとは聞いてあったんじゃが、いつまでたっても良くならんのじゃ。王宮の魔術師でもどうにもならんらしくてな」

「それでね、今から私達が王都に行くことになったのよ」


 引退したアポロ婆ちゃんまで行くとなるとよっぽどのことに聞こえる。しかも、元聖女のディーテ婆ちゃんも一緒に行くのは? と考えていたのが顔に出ていたらしい。


「私が行くのは、念の為ね」

「念の為? ……あっ、呪いの場合の可能性があるってこと?」

「正解よ。神殿の話だけじゃ埒が明かなくてね」

「なるほど……。あっ!」

「どうしたんじゃ?」

「ちょっと待ってて下さいね」


 そう言って、私は自宅に急いで戻り目当ての物を取り、再び村長宅に走った。

          


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