表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】連勤術師の悠々自適な生活  作者: ラクシュミー


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/39

7.ピーマン

子供の頃に嫌いな物って、大人になると好きになったりしません?

 自宅から急いで取ってきたリュック。ちなみにリュックとカラビナポーチは、同じブランド。休みの前の日は、必ずリュックで通勤し帰りに制服やら何やらを持って帰るのが習慣で、こちらに来たのも休みの前日だった。


「バルカン爺ちゃん!持って来たー!」

「おう。じゃあ、スマホで見てみろ」




【イツキのリュック】

 異世界では普通のリュックだったが、こちらに来た時に

 魔道具に変化。

 時間停止機能。ソート機能。容量♾️。

  〈その他〉

   エンブレムに血を垂らせば、不可視化できる。

   イツキのポーチも同じように登録すると、

   中身の共有化が可能。



「わぁお、こっちも同じだ」

「マジか……。時間停止機能にソート機能、容量♾️って国宝級が2つ。しかも中身共有出来るって、どんだけなんだよ」


 と、リュウが頭を抱えている。


「そんなことより、他の持ち物も検索した方が良いかな?」

「そうじゃな。そのカバンの中にあるなら、今やってしまった方が良いじゃろ」

「ちょ、ちょ、ちょっと待て!爺様連れて来る」

「なら、村長の家に行くかの」


 私達は、村長のお屋敷に着くと村長に訪問の理由を話した。村長は話を聞き驚くものの、早速応接室に案内してくれた。


「して、バルカン、イツキの異世界の持ち物とはなんじゃ?」

「いや、それがワシも確認する前にリュウが村長を呼ぶと言うもんで、まだ確認しておらんのよ」

「そうか、なるほどな。で、リュウは何を悩んでおるんじゃ?」


「いや、だって爺様。イツキがそのスマホ? とやらを惜しげもなく使っているし。だいたい、異世界の道具はバッテリーとやらが切れたら使えなくなると聞くじゃないか」

「あれ? 村長もバルカン爺ちゃんもリュウに話してないの?」


「そういうイツキはどうなんじゃ? てっきり話しているもんだと思っておったのじゃが」

「うんうん、ワシも村長と同じだ」

「「「………」」」


 リュウが心配していたのは、バッテリー切れがある異世界の道具を躊躇いもなく使っていた事だった。過去に会った迷い人達が、よく「バッテリーが切れなければなぁ」と言っていたのを覚えていたらしい。まぁ、元の世界の現代人にとってはバッテリー切れほど怖いものはないからねー。


 そして、リュウに私の鑑定結果を誰も話していないことがわかり、3人で平謝りするもなかなかリュウの機嫌は治らなかったが、いざ鑑定結果を伝えると驚きスマホの事を色々と聞いてきた。そして案の定、写真を撮ってくれと……。もう村長の孫ってだけで、どんな人かわかるんだけど……なんて、口には出さず写真を撮る。



【リュウ・スプリーム・ユーピテル】

 人族。ユーピテル王国、第三王子。

 竜騎士団。冒険者。

 火、雷属性。スキル多数。

 契約:レッドドラゴン(ナーガ)

  〈その他〉

   新しもん大好き。

   豪快そうに見えて繊細。

   ピーマンが苦手。



「ですよね〜」


 と私が呟く中、リュウは隣で顔を両手で覆って下を向いている。しかも耳まで赤くなっている。ピーマンが苦手というのが、本人的には恥ずかしくてしょうがないらしい。

   

「ピーマン嫌いって……ぷっ! 第三王子、どんまい!」

「お前なぁ〜。しょうがねぇーだろ苦手なんだよ。あの青臭くて苦味のあるのが」

「わかる〜。私も大人になるまで嫌いだったから」

「だろ? って、今は食えるのか?」


「うん。調理法で青臭さも苦味もなくなるよ」

「ホントか!?」

「うん。今度、作ろうか?」

「今度と言わず、今日作ったら良かろう」

「へっ?」


 村長の提案で、今夜の夕食は私が作ることになった。作るのは、ピーマンの肉詰め。仕事が忙しくない時は、レシピアプリを見ながら自炊していたので、一応料理は出来る。と言っても、主婦レベルには到底敵わないけど……。


 大学から一人暮らしをするようになって、毎回3食作ってくれた母だけでなく世の中の主婦をリスペクトするようになった。大学でバイト先のおばちゃん達に、作り方を教えて貰ったりもしたっけ。


 そんなこんなで、屋敷の料理人ヴェスターさんに手伝って貰いながらピーマンの肉詰めと副菜として牛蒡のきんぴら、卵焼き、大根の味噌汁を作った。調味料が、元の世界の物が多いのも過去の迷い人のお陰だ。


 ちなみにヴェスターさんは、焦茶色の短髪と赤い瞳で、髭面の強面で、さらに2mはあるだろう大柄の人。まるで、熊。



【ヴェスター】

 人族。ユーピテル王国、元王宮総料理長。

 火属性。スキル多数。

  〈その他〉

   美味しいもの大好き。甘党。

   料理の為には努力や苦労は惜しまない。

   子供好きだが、子供から怖がられるのか悩み。



 以前は、努力することを惜しまず平民ながらも何十人もいた王宮料理人のトップだったが、先代国王もとい村長がオチュードの村に来る際に、あっさりと職を辞してついて来たらしい。


 私がここに来てからは、私に元の世界の知らなかった料理を聞くことが日課になっている。そんなヴェスターさんの奥さんは、侍女のセレスさん。黒髪のセミロングで紫色の瞳で、笑った時に出来るエクボがチャームポイント。



【セレス】

 人族。ユーピテル王国、元商業ギルドマスター。

 闇属性。スキル多数。

  〈その他〉

   美味しいもの大好き。

   特に夫が作る物は何でも好き。

   普段は温厚だが、怒らせたら……。

   


 過去の迷い人の子孫らしく、親から受け継いだ元の世界の知識が多く商業ギルドのギルマスにまで上り詰めた人。オチュードの村では、私が来るまで最年少だったーーと言っても50代ーー。今では、元の世界の知識もあるので、私のよき相談相手。


 他のおじぃおばぁ曰く、王国内では誰よりも顔が広いらしい。村長よりも? と驚く私に、表だけだともちろん村長が1番らしいけど、セレスさんは裏稼業の人にも一目置かれているそうだ。


 で、夕食は……恐る恐るピーマンの肉詰めを食べるリュウを皆んなは苦笑しながら見ていた。


「うっま!! ホントにピーマンなのか? 俺は、損をしていたのか?」


 と、誰よりもお代わりをして食べてくれた。今度は、青椒肉絲でも作ってみようかな? と考えながら、我ながら美味しく出来たピーマンの肉詰めを頬張った。




面白い、もっと読みたいと思ったら、『いいね』でも、ページの下にある【☆☆☆☆☆】でもタップして下さい。あわせて、ブックマーク&評価も宜しくお願いします!


お気に入り登録や感想、メッセージも頂けたら嬉しいです

☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ