5.褒められたら伸びる子
スミマセン、予約投稿の確認ボタンを押し忘れていました〜
【ゼウス・スプリーム・ユーピテル】
人族。ユーピテル王国、先代国王。
現オチュードの村、村長。
水、雷属性。スキル多数。
〈その他〉
新しもん大好き。
愛妻家の子煩悩。ヘラ>子供>国。
ヘラ大好き。ヘラの為なら、労力を惜しまない。
「はー!? こっ、こっ、こっ」
「イツキ、ニワトリの真似か?」
「いやいやいやいやいやいや、だって、国王って……」
「うん、そうじゃよ。昔の話じゃったがの。今は、村長じゃ」
この人、しれーっと自分の身分明かしたよ。しかも人が驚いてるの、絶対楽しんでる……。
「あら、嫌だ。村長ったら、話していなかったの?」
「イツキちゃん、私らも写真とやらを撮っておくれよ」
「はぁ……いきますよ」
アポロ婆ちゃんに言われて、早くもポージングを取る3婆を写真に撮るが、嫌な予感しかない。撮ったら撮ったで、確認を急かされ恐る恐るおばぁ達のハテナマークを押すと……
【ヘラ・スプリーム・ユーピテル】
人族。ユーピテル王国、先代王妃。
現オチュードの村、村長夫人。
火属性。スキル多数。
〈その他〉
可愛いものが大好き。
孫も大好きだが、最近構ってくれないのが不満。
【ディーテ・トラキア】
人族。先代聖女。
光属性。スキル多数。
〈その他〉
天然なところもあるが、やる時はやる。
押しかけ女房。
【アポロ・レムノス】
人族。大賢者。
全属性。スキル多数。
〈その他〉
現在、魔法に関しては右に出る者はいない。
ただ、夫バルカンには弱い。
「あぁ、やっぱり……」
予想通りの検索結果に呆気に取られいると、おばぁ達はしてやったりの顔でこちらを見て笑っている。
「そのスマホとやらは便利じゃのぉ。鑑定結果も間違っておらん」
「ねぇ?イツキちゃん。その【VA】ってのはなんだい?」
「あー、バーチャルアシスタントって言って質問や声がけの音声を認識し対応してくれる音声認識技術なんですよ」
「よくわからないねぇ〜。ちょっとやってみておくれよ」
アポロ婆ちゃんに言われて、VAを立ち上げる。でも、よく考えてみれば、ここは異世界でVAがこちらのことを質問しても対応出来ないのは明白だった。
「ハイ!VA。天気を教えて」
『ホンジツノ オチュードムラノ テンキハ ハレドキドキアメ』
「えーーっ!村の天気わかるの?」
『ハイ アルジノ ジュウデンスキルニヨリ アルジノ ショザイチノ ジョウホウヲ シュトク シマシタ』
「マジか。魔道具になったってこと?」
『ソウイウコト デス。アルジ ナマエ ツケテ クダサイ』
「えっ!?魔道具になると逆に話しかけられるの?」
『………』
「あっ、名前、名前……えーっと、ミクはどう?」
アニメ系が大好きな私としては、某有名音声合成技術ソフトから名前を付けた。
『ありがとうございます、ご主人様。名前を付けて頂きましたので、聞き辛さを解消できました』
名付けした事で、流暢に話すようになったVA。名前のせいなのか音声がアニメ声になったのはご愛嬌。
「ってか凄いな、魔道具って。ともかく、よろしくねミクちゃん」
『はい、ご主人様』
ミクちゃんと私の会話は、村長達にとって魔道具と会話という驚愕することでそれから色々と質問攻めにあった。特に大賢者のアポロ婆ちゃんは、今まで見たことないスキルからミクちゃんのことから色々と聞かれたがもちろん全てを答えてられない。だから、ミクちゃんを呼び出すとアポロ婆ちゃんは嬉々として質問していた。
*****
私の鑑定後から、ヘラ婆ちゃんを中心におじぃおばぁから、ユーピテル王国のことや礼儀作法、魔法の使い方について教えてもらい始めた。
王国のことは、もちろんヘラ婆ちゃんが歴史から地理から色々と教えてくれた。座学だけだとやる気も集中力も切れるが、食事の際にもこの料理に使われている材料はどこの名産だとか教えてくれるし、時にはクイズ形式で教えてくれるので私も楽しく学んでいる。
そして礼儀作法は、侍女長のルピナ婆ちゃんが教えてくれて、毎食事には食事の作法を教えてくれるので来た時に比べて、私の食事作法は格段に上手くなっている。ちなみに……
【ルピナ・オルクス】
元王妃様付き侍女。先代オルクス公爵夫人。
〈その他〉
自分に厳しく、他人にも厳しい。
ただし、自分の懐に入れた者が害された場合は、
どんな相手でも社会的に抹殺する。
似た者夫婦。
そうなると、ルピナさんの旦那さんである家令のハデス爺ちゃんは……
【ハデス・オルクス】
元宰相。先代オルクス公爵。
〈その他〉
自分に厳しく、他人にも厳しい。
ただし、自分の懐に入れた者が害された場合は、
どんな相手でも社会的に抹殺する。
似た者夫婦。
となるわけで……。
でも他人にも厳しい2人だけど、やる事をきっちりやればちゃんと褒めてくれる。以前褒められた時に嬉しくて涙ぐんだら、厳しくするのはその人に期待しているからだとハデス爺ちゃんが言っていた。こっちに来る前は、役職持ちは出来て当たり前と上から言われていたので、今とは大違いだ。
特に、私は自分でも褒められて伸びるタイプだと思っている。だから、おじぃおばぁに喜んでもらえたり、褒めてもらえればそれだけ頑張れる。それは、きっと幼い頃仕事をしている両親や祖父母の代わりに、私の側にいてくれたのは曽祖母だったから。
曽祖母は大正生まれの割に意外とアグレッシブだった。私の初めての北海道旅行も千葉の夢の国も、曽祖母と一緒だった。ハンバーガーが大好きでよく一緒に食べたし、回転寿司にもよく行った。
仕事をし始め気軽に実家に帰れなくなって、体調を崩した曽祖母のお見舞いにも中々行けず、亡くなったのがクリスマス。玩具店の社員の私に与えられたのは、お通夜の終電で実家に戻る事と葬式に出る事だけ。葬式後の食事会も出れず電車に乗った。
その事を今でも悔やんでいるせいか、おじぃおばぁを見ると曽祖母を思い出す。
魔法のことは、大賢者のアポロ婆ちゃんを中心に座学と実技を教えてくれる。最初のうちは、頭ではわかっているのに実技になるとどうしても上手くいかない事が多く、悔しくて何度も練習しているうちに何度も魔力切れて倒れ、近くを通りがかるおじぃに運ばれるという事を繰り返していた。
そのお陰なのか、いつのまにか最初よりも魔力量が増え、さらにアポロ婆ちゃんから魔法を使う時のイメージを大切にするように教えて貰ったことで、上手く発動することが出来るようになった。
例えば火属性初級の《火球》はエアガンのセミオート(単発式)、中級の《火球弾》はエアガンのフルオート(連発式)をイメージ。ちなみに、勤めていた玩具店でもエアガンを扱っていたし、休日には同僚や仕入れ先の人達とサバゲーをやっていた。魔法とイメージが合致するようになり、魔法を使い始めた時よりも発動スピードも上がった。