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【連載版】連勤術師の悠々自適な生活  作者: ラクシュミー
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4.鑑定

 しばらくすると、ハデス爺ちゃんに連れられて来た2人のおばぁ。


「悪いな、2人共」

「良いんですよ〜。そろそろだとは思ってましたからねぇ」

「そうそう。村長が言わなければこちらから言うところだったんだよ?忘れてるのかと思ってねぇ、あははは」


 やって来たのは、ディーテ婆ちゃんとアポロ婆ちゃん。ディーテ婆ちゃんは、ホワイトブロンドの髪を緩く片三つ編みにしたピンクの瞳のおばぁ。アポロ婆ちゃんは、肩までの黒髪にブロンドの瞳の変わった杖をついた小柄なおばぁ。


「イツキ、この2人が【鑑定】をしてくれる。良いか?」

「ディーテ婆ちゃん、アポロ婆ちゃん、宜しくお願いします!」

「はい。本当にイツキちゃんは、礼儀正しいねぇ〜。前にも迷い人を【鑑定】したことがあるけど、あの時の迷い人はクソだったわ」


「あぁ、あの自称勇者だろ? あれは、どうしようもないクズだったね。しまいには、娼館で莫大な借金こしらえて鉱山送りだろ? 下衆の極みを具現化した奴だったねぇ〜」

「「「………」」」


 この2人のおばぁは、この村の中でも1、2を争う程のはっきりとモノを言う。つまり口が悪いのだが、当の本人達は「正直な性格で嘘が言えない」と良いように言っている。


「この【鑑定】では、今の状態と魔法属性、スキルが調べられるのよ」


 この世界には、主に7つの魔法属性が存在するらしい。基本の、火、水、風、土、雷に加えて光、闇。この世界の人の色とりどりな瞳はその属性を表しているので、瞳を見ればだいたい何属性かわかる。ただ迷い人に関しては、この法則に当てはまらないそうだ。ちなみに、魔法を使えない人も中にはいる。平民は特に使えない人の方が多いそうだ。


「では、始めるよ。この鑑定球に手をのせておくれ」


 ディーテ婆ちゃんがどこからか出したのは、よく占い師が使うような水晶球のようなもの。言われるままに手をのせると、一瞬鑑定球が淡く光り、手のひらを包む。そして、鑑定球の上に薄らとゲームのステータス画面が出た。



〈状態〉

   健康


〈属性〉

   火

   水

   風

   土

   雷

 

〈スキル〉

   充電



「「「「えっ?」」」」

「充電?」


 村長達曰く、属性が5個以上で『賢者』と呼ばれフルコンプだと『大賢者』と呼ばれるらしい。そして、迷い人には稀に賢者以上が現れると。やはり異世界人はチートらしい。そんなことよりも、村長達が驚いているのはスキルの方。『充電』なんてスキルは、今まで見たことがなくどのようなスキルかわからないと言う。


「充電って言ったら、スマホとか?」

「ん? なんじゃ? スマホとは」

「あー、私の世界での通信出来る機械です。その他にも写真が撮れたり検索したり色々出来るんですけど。蓄電池が入っていて、それを充電することで使えるんですよ。……ちょっと待ってて下さい。取って来ます」


 私は皆んなに断り、与えられた客室からリュックに入ったままのスマホを持ってくる。スマホは、こちらに来てからしばらくは電源が入り、写真を見たり保存していた携帯小説を読んだりしていたけど、とうとう電池がなくなった。


「お待たせしました。コレなんですけど、この前電池が切れたんですよ。だから電源は入らなくて使えないと思うんですけど……」

「ガラッケとは違うのか?」

「ガラッケ? あ、ガラケー? あれの後継機種です」

「イツキちゃん、試しにそのスマホに手を翳して【充電】って言ってごらんよ」


 アポロ婆ちゃんに言われた通りに、スマホに手を翳し【充電】と言ってみると、先程の【鑑定】の時のように手が淡く光った。ただ一瞬の光だったので、見間違いかも知れないけど。


「なんか変わったのかしら?」

「見た感じ変わらんがのぉ」


 確かに村長夫妻の言葉通り、スマホの見た目に変化はない。もしかしてと、電源ボタンを長押しすると今まで全く反応がなかったスマホの画面にリンゴのイラストが出てきた。


「あっ、ついた。えっ? なんで?」


 いつもの齧りかけのリンゴではなく、金色の齧られていないリンゴ。その後、ホーム画面を見ると、今まで使っていたアプリが消え、あるのはカメラとアルバム、バーチャルアシスタント機能。そして電池は100%に充電されていた。


 まずは、アルバムを確認すると今まで撮った写真は変わらずに残っていた。写真の中では、友人も家族も変わらず笑顔でいた。それが残っていてまた見れるだけでも、私としては嬉しかった。次にカメラを起動すると、いつもと同じ画面で何の変化もない。試しに目の前の紅茶を撮り、確認してみると紅茶の上にハテナマークが付いてみる。それを押すと……



【紅茶】

  飲料品。ユーピテル王国産茶葉使用。

  ティーカップは陶器で出来ている。

 

〈その他〉

  ルピナが淹れることで、茶葉の美味しさが引き出されている。ミルクを入れても美味しい。

 


「えっ? 何これ?」


 写真を撮ったものを検索出来るようになっていた。確かにここに来る前は、そういうアプリも入れていたけどそれはアプリを通して撮影した時だけ。なのに、通常のカメラで検索出来るようなっていた。それを村長達に見せると全員が驚いていた。


「イツキちゃんの話が本当ならそのスマホで鑑定が出来るってことかね〜」

「そういうことじゃろうな。どれ、試しにワシを撮ってみておくれ」


 と言われて、村長を写真に撮る。写真を撮ることは初めてなはずなのに、ピースをし満面の笑み。なんてお茶目な村長。後で聞くと、迷い人が肖像画を描く時にピースをした人がいるらしい。いや、それはダメだろ……。

 写真を撮ると、やはり村長の頭の上にハテナマークが付いた。それを押してみる。




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[良い点] >タイトルが連勤術師(察し) で女性主人公、コレはほのぼの系だ…! と期待どおりにまったりしそうなヒロインに好感&共感です。 や、セカンドライフでまでヘイトやストレス溜まりそうな暮らしって…
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