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【連載版】連勤術師の悠々自適な生活  作者: ラクシュミー


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34.ワイバーンの佃煮

 ステラちゃんがお手伝い兼護衛をし始めて3日。カサドル男爵家の依頼を受けたであろう、オチュードの冒険者ギルドでは見ない顔の冒険者達がいちゃもんをつけてきた。


「おいおい、俺の連れがここの携帯食を食べて腹壊したぞ! どうしてくれんだよ!!」

「俺が買ったやつは、腐っていたぞ! 金返せ!!」

「ここの〜携帯食屋は〜客に〜質の悪い〜具材を入れて〜ぼったくってま〜す! 皆さ〜ん、騙されてますよ〜」


 そう言いながら、携帯食屋を囲みながら騒ぎ出す冒険者達。それを大きく囲む様に、顔見知りの冒険者達が囲んでいる。その後ろには、食堂スタッフやギルドスタッフが心配そうな顔をしながら見ている。


 そして、最後にギルマスがカウンターに座りアイスコーヒーを飲みながらニヤニヤしながら見ていた。完全にこの茶番の観客になるらしい。


「あの〜お連れさんがお腹を壊したのはいつですか? その時、どんな携帯食を買いました? そちらは、腐っていたのはどんな携帯食で具材は何ですか? で、そちらは、質の悪い具材ってどの携帯食を言ってます?」


「ああん? 連れが腹壊したのはお前のとこの携帯食だよ!」

「だから、いつ、どんなか聞いているんです。もしかしたら、他のお客さんも具合悪くなっているかも知れないでしょう? であれば、他のお客さんにも確認取らなければいけないですから。で、いつ? どんな?」


「……連れからは聞いてない」

「じゃあ、聞いて来て下さい。で、次、腐った携帯食はどんなので、具材は何ですか?」

「どんな……そ、その、に、肉だった」

「肉? 肉だけの具材ですか? 他に具材はないんですね?」


「あ、ああ。肉だけだった! だから、金返せよ。5個分だ!」

「ウチの携帯食で一つの具材だけっていうのはないんですよ。だから他で買った物と間違えてますよ?」

「……」


 二人の冒険者が黙ったことで、最後に対峙するのはさっきから誹謗中傷を叫んでいる男性だけ。ステラちゃんは、この冒険者達が来てからずっと警戒し、私の後ろで小さくブツブツ呟いていたが今は黙って冒険者達の動向を見ている。どうやら詠唱が終わり、あとは起動するだけになったようだ。


「最後に、質の悪い具材ってどれを指してます?」

「はぁ? 全部に決まってんだろ? コレもだろ?」


 そう言って、ニヤニヤしながら簡易テーブルに並べてあった携帯食を一つ取るとそのまま床に落として踏みつけた。落としただけでも形を崩したおにぎりが無惨にも潰されていく。飛び出した具材も例に漏れず潰された。


 あーあ、よりによって注文のおにぎりを潰すとはなぁ〜。しかも、その具材って一般的にはレア度高いんだけど……。


 そんな事を考えながら、潰れたおにぎりをボーッと見ていると、おにぎりの注文した人達が食堂へやって来た。


「おう、イツキ。買いに来たぞ」

「おっはよー、イツキちゃん」

「おにぎり、取り来たよ〜」


 食堂へ入って来た三人の青年は、全員ガタイが良いが冒険者ではない。ここ最近オチュードの冒険者ギルドにたまに顔を出しては携帯食を買っていく青年達。


 以前は注文販売は行っていなかったが、材料を提供してくれた場合のみ注文を受け付けるようにしたので、今日はその注文の品を取りに来た。でも、その一部は今潰されたばかりで……。


「……お客様、大変申し訳ありません! ご注文頂いた商品なのですが、受け付けた数量を準備出来ませんでした。代わりと言ってはなんですが、他の具材でも宜しければ今すぐに準備致します!」


「ん? あぁそういう事……。んん、注文した際に材料も前金も払ったのに、準備出来なかったとはどういう事だ!! 今すぐ、数を揃えて貰おうか!」

「お、おい、どうしたんだ!?」


「そうだぞ。それに何だよその話し方ーー」

「うるさい! 俺は注文通りにしろと言っているんだ! 出来ないのであれば、理由を聞こう」


 私が、急にビジネス口調になったことと視線で潰されたおにぎりを見たことで、相手は察してくれて私の茶番に付き合ってくれた。


「実は、準備してしていたのですが……こちらのお客様方が……」

「何? もしかして、その潰れたものが俺達の注文したものだと?」

「はい……。せっかくお客様より提供いただきました “ワイバーン” で作った佃煮でしたのに……」


「「「ワ、ワイバーン!?」」」

「おい! お前らどうしてくれんだ!! どう落とし前付けてくれんだ!?」

「「「うわぁー! っ!?」」」


 注文者に、落とし前と言われて逃げ出そうとした冒険者はステラちゃんの【水】属性の魔術で捕えられた。水で出来た球体の牢に拘束された冒険者達は、状況が分からず困惑している。


「ありがとう! ステラちゃん」

「イツキ、ステラ嬢、怪我はないか?」

「危害は加えられる前だったから大丈夫。リュウもありがとね」

「分かるように説明してくれるか?」

「ねぇ、どういう事?」


 私と茶番を演じてくれたのは、リュウ。そして、リュウと共に注文した商品を取りに来たのは、竜騎部隊のリークさんとホクルトさん。貴族だったから姓があったはずだけど忘れた……。


 注文はもちろん竜騎部隊からで、先日ワイバーン討伐に行き材料を提供してくれた。




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