27.試食会
急ですみません。タイトルにサブタイトルをつけましたm(_ _)m
今後も楽しんで頂けたら嬉しいです。
臨時パーティとの討伐依頼の時から、ずっと考えていた事がある。それは、おにぎらずを食べた皆んなに「販売したら売れるぞ」と言われたこと。
私は、こっちの世界に来て自分がやりたい事をやってきた。社畜だったからスローライフ希望してオチュード村でのんびり生活しはじめた。魔法も武術もおじぃおばぁに教えてもらった。でも、やっぱり働かないと落ち着かないのは元社畜だからなのかわからないけど、冒険者として活動しはじめた。
それでも私は、風馬さんみたいにこの国に貢献してはいない。確かに、この世界に来た時に保護されたからといっても知らない国の為に働きたくはないし、知らない人と政略結婚もしたくないとは思った。だからオチュード村での生活を選んだわけだけど……。
今は、オチュード村のおじぃおばぁに恩返しをしたい。だけど、何が出来るだろう? スキルの【充電】を使う事? こちらでは聖水と言われるペットボトルの水を提供すること? でも持って来た私物を提供するのは、この世界ではイレギュラーになってしまうはず。
だからホイホイと提供は出来ない。そうなると提供出来るのは、私の知識。前職の玩具店で働いていただけの私の知識なんて限られている。趣味だった手芸にしても、この世界でもプロは存在している。
残るは……料理の知識。もちろんヴェスターさんのようにプロは存在するけれど、日本の料理に関しては私の方が知識はある。それに、私のスマホには料理サイトからスクショしたレシピもたっぷりある。
そして、臨時パーティの時にミッキーさん達から熱く語られた携帯食の不味さ。もちろん私もアレの不味さは知っている。今から討伐なり採取なり動くのに、あの不味さではお腹が膨れてもやる気は削がれる。だから、私は携帯食を販売する店を出したいと思った。
「なるほどなぁ〜。だから、この量なのか。納得じゃわい」
そう言うのは、村長。そして、村長の目の前のテーブルには私の作った大量の携帯食候補が。おにぎり、おにぎらず、サンドウィッチ、ハンバーガー、惣菜パンに甘めのパンや焼き菓子。そして、サイドメニュー的な感じで焼き鳥、唐揚げ串、アメリカンドッグ、しゅうまい串。
この前のように移動中でも簡単に食べることの出来る、ワンハンドフードと言われるものを中心に作ってみた。そして、試食会として村のおじぃおばぁに料理を振る舞うことにした。
「イッちゃん、こっちのスープは?」
村長夫人のヘラ婆ちゃんの前にある鍋は、豚汁とミネストローネ。スープや飲み物は、この世界では持ち帰ることが出来ない。だから、私は某有名コーヒーショップの販売方法を取り入れようと思った。つまり、タンブラーを購入してもらってスープを持ち帰ってもらい、次回購入時にタンブラーを持参すれば割引するという販売方法だ。
ちなみに、タンブラーは伝説の錬金術師のバルカン爺にお願いして作ってもらった。タンブラーは木製で蓋付き、そしてノーマルタイプと保温タイプ。保温タイプは魔石をはめる所があり、火の魔石をはめることで保温できるようになっている。
「とりあえず、食おう! このお預け状態は辛すぎるぞ」
「確かにのぉ。良いか? イツキ」
「うん。食べて食べて。あっ、でも後で感想教えてね」
「おう。もちろんじゃ」
結果、試食会は大成功。味の感想や改善点をおじぃおばぁに聞き、それをメモしていく。特に、料理人であるヴェスターさんからのアドバイスは的確だった。
「で、イツキよ。どこで店をやるんじゃ?」
「んー、やるとしたらやっぱりアドベントゥーラの冒険者の多いギルドの近くかな?」
「まぁ、それが一番じゃろうな」
「しかし店を出すにも空いておる場所はあるのかのぉ?」
「あ……」
店をやるにしても空き店舗がなければ出来ない。それを調べるのをすっかり忘れていた私を、おじぃおばぁは呆れていたり苦笑をしている。
「あ、明日、ちょっと見てくる!」
「ふふふふ。普段のイッちゃんはしっかり者に見えるのにねぇ〜」
「本当に、時々うっかり屋さんよねぇ〜」
「まぁ、ちょっと抜けているところが可愛いけどねぇ〜」
「この前もーー」
その後も私の失敗談などを話しておばぁ達に言われ放題だけど、当たっているので言い返すことも出来ないし反論しても勝てる気がしない。だから、ここは笑っておくだけ。現におじぃ達も、それを聞いてニヤニヤしているだけ。
おばぁに混ざって私の事を言おうものなら「お前が言うな」とばかりに、標的が私からおじぃに変わるし、私に対してよりも遠慮なく口撃される。これが、社交界を渡り歩いてきたおばぁ達の対処法。
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