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【連載版】連勤術師の悠々自適な生活  作者: ラクシュミー
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11.忍者修行

「あっ、いた。ナーガー!」

『グルルルゥ〜』


 私が泉の側にいるナーガに声を掛けると、ナーガはキョロキョロと辺りを見回し、私とリュウを見つけると嬉しそうに鳴いた。そして、身体を小さくすると一目散にこちらへと飛んで来た。それに合わせて両手を広げると、ナーガはスポッと私の腕に収まった。


「うふふふ。ナーガ、くすぐったいって」

「これじゃ、どっちが契約者かわからねーな。ってか、イツキぐらいだぞ。そんなにナーガが懐くのは」


 ナーガが私の頬に鼻をつけているのを見て、リュウが言う。


「えっ? 他の人には違うの?」

「違うっていうか、他のドラゴンは契約者以外には懐かないんだよ」

「マジか……。そうなの? ナーガ」

『グルゥー』


 ナーガもそうだと言わんばかりの鳴き声を出し、私をジッと見ている。


「そういえば、ナーガの友達のドラゴンはいないの?」

「友達?」

『グルゥ?』


 私の質問に、リュウとナーガが同じように首を傾げて聞き返してきた。うん、仲良しだね。


「うん、友達。あれ? 他のドラゴンとはそういう関係じゃないの?」

「あー、まぁ、共闘はするが友達……いや同僚って感じの方が強いな。仕事だけの関係みたいな?」

「へぇ〜。そうなんだ」


 ナーガに、斜め掛けタイプにしたカラビナポーチからバナナを取り出し食べさせてあげながら、普段ナーガがどんな感じで過ごしているかなどリュウから聞いた。


「そういや、ナーガのことスマホで撮って見せてくれよ」

「うん。ナーガ、写真撮ってもいい?」

『グルルゥ〜ン』


 バナナを食べたからか、機嫌よさそうに頷くナーガ。それを微笑ましいなと思いながらスマホで撮り、いつものハテナマークを押してみる。



【ナーガ】

 レッドドラゴン。雄。

 火属性。

 スキル:威圧。咆哮。

 契約:リュウ・スプリーム・ユーピテル

  〈その他〉

   バナーナが大好物。

   神経質なところあり。

   綺麗好き。

   最近はリュウよりイツキが好きかも?



「ナーガ、やっぱりバナナ大好きなんだね」

『グルゥ〜』

「ナーガ……俺よりイツキなのか……」

『グ、グルルルル』


 落ち込んだリュウにナーガが慌てて私の元から飛んでいき、必死に「違う」と言っているようだ。私はその様子を苦笑しながら見ていた。



*****



 国王陛下に謁見してから、1ヶ月。

 私はいつものように、おじぃおばぁの手伝いをしながらも勉強や魔術の訓練などをして生活していた。


「そろそろ、イツキも冒険者登録するか?」


 そう言い出したのは、今日の先生、オウル爺ちゃん。ちなみに、今日の訓練は気配の察知と逆に気配を消すこと。気配を消すことが出来ると、魔獣に気づかれることもなく討伐出来るという。


 気配察知の訓練方法は、目をつぶって立った状態でオウル爺ちゃんが投げる小石を避けること。最初は、何度も身体に当たり、その度に悔しい思いをしたが今では目を閉じていても、半径3mぐらいの気配ならわかるようになった。でも、オウル爺ちゃんは半径10m。今でも、私が攻撃は当てたことがない。


 気配を消す訓練は、察知するよりも苦労した。イメージ的に呼吸を止めたら良いかと思い試してみても、結局苦しくてハァハァ言ってしまえば丸わかり。その度に、オウル爺ちゃんとその奥さんのミネ婆ちゃんには笑われた。



【オウル・ハンゾウ・ハットリ】

 元王宮諜報機関長。先代ハットリ子爵。

 風属性。

  〈その他〉

   迷い人の忍者の子孫。

   諜報活動、破壊活動が得意。

   夫婦喧嘩のルールは武器等を使わないこと。

   


【ミネルヴァ・フウマ・ハットリ】

 元闇ギルドトップクラスのスパイ。

 先代ハットリ子爵夫人。

 闇属性。

  〈その他〉

   迷い人の忍者の子孫。

   諜報活動、破壊活動、暗殺が得意。

   夫婦喧嘩のルールは武器等を使わないこと。

   


「うぐっ……。っぷはぁー。はぁ、はぁ、はぁ」

「うふふふ。イッちゃん、息止めてもダメよ〜」

「あっははは。まあ、そうしたくなる気持ちもわからんではないがな」


 2人共、忍者の迷い人を先祖に持つが元々敵対する関係だったらしい。お互いに好敵手と認めていたが、一度手を組んだ事で自分の背中を任せられるのはコイツしかいないと思い結婚したらしい。


 名前の「ハンゾウ」「フウマ」のミドルネームは世襲制で、未だに自分達を超える後継者がいないのが2人の悩み。ちなみに、先祖の迷い人は、あの有名忍者ではなくその弟子が勝手に名乗っていたらしい。

   

 そんな2人に直々に鍛えられている私は、ようやく気配を消せるようになった。とはいっても、他の人に通用するだけで、この2人には全くもって通用しないのだけど。


「オウル爺ちゃん、冒険者登録したい!」

「おう、そうかそうか。じゃあ、どっちにする?」

「どっちとは?」

「そりゃあ、ヘルメスの方かダイアナの方じゃよ。まずは、その2人に話しをしてみてじゃな。早速行ってみるか?おっと、その前にちゃんとイツキの水をやるんじゃぞ」

「はーい。サクちゃーん、ご飯ですよー」

「毎回聞くたびに思うが、サクラの木にサクとは安易な名前じゃな……」


 オウル爺ちゃんの訓練では、 その中にサクラの苗木を毎朝飛び越える。だから毎朝、皆んなと広場でラジオ体操をした後に飛び越えている。前世の忍者修行は成長が早い麻の苗木を飛んだらしいけど、私は山歩きで見つけたサクラの木を選んだ。 


 通常、サクラの木は2mぐらいになるには3年ぐらいかかるそうだけど、2日毎のオウル爺ちゃんの訓練後に、試しに私の水つまり聖水をあげたら成長が早いことがわかり、それから必ずあげることにした。ちなみに聖水をあげ始めて、2ヶ月でサクラちゃんはもう50cmぐらいになった。恐るべし聖水効果。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 楽しく読ませていただいてます! [気になる点] オウル爺ちゃん 本名はハウルなんですか? [一言] ラクシュミーさんの作品は登場人物がとても多くて新しい名前がどんどん出て来るので、覚える…
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