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ヒーローの名のもとに。  作者: ぼうすけ
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第一話『俺はヒーロー!!』

『俺はお前を倒すために、この力を得たんだ!!』


男は静かに力強く目の前の存在に言い放った。


【グガガガガグアア】

異形のそいつは男に応えるかのように醜悪な身体を震わせた。


『変、身!!!!』


男の左腕についていたブレスレッドから光が溢れ男の体を包む。

光が拡散し終わるころ男の姿は変わり

ビルよりも大きく、山の様に大きな正義の戦士【ライトゾーン】に変身した。


『お前を倒すための力だ!』


【ライトゾーン】となった男の身体能力はもはや人間のそれでは無い!

跳躍力、瞬発力はもちろん…


『はああああああ!!!!』


ライトゾーンの拳がガルゴノスの角を一撃で砕く!


【ガガガガグウウガアア!!!!】


その拳に砕けぬものは無いのだ!


ライトゾーンの攻撃の前にガルゴノスの戦意は失われていく!


『とどめだ!!!!』


ライトゾーンの左腕のブレスレットから光伸び刀剣が現れる

腕にまとうその剣の名は!!


『レイズブレイド!!とどめだ!!』


一閃。


ガルゴノスを背にライトゾーンは振り切った左腕に付いた汚れを振り払うかのように振り下ろした。


【ガガッガガッガグアアアアア】


ガルゴノスは爆散。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

《次回予告!!》


ラストカットから次回予告へと場面が変わり


テレビにはにやにやした顔が写り込む


「はあああああああ。1話やっぱりいいな!!!!マジで近年のヒーロー物の中では群を抜くカッコよさ!」


テレビを見ていた少年、円加 光一(まどか こういち)のテンションは朝7時にもかかわらず

一人分のテンションで島根県の人口分くらいの生活を補えるくらいの熱をぶちかましていた。


「なんっかい見てもやっぱりかっこいいわぁ。惚れるわこんなん!!」


部屋にある姿見の前でおもむろに変身ポーズをとる光一。


「シュッ!シュッ!」


己の口からほとばしる腕を構えクロスさせる効果音―


「バババッ!!フッ!!」


腕に現れたブレスレットを敵に見せつけるかのように左腕を垂直に構え―


「変、身っ!!」


鏡に映る自分のキメ顔に光一は笑いだす。


「はははっ!!…ヒーローっていいよね。」


時計の針は進み今は7時半


「やっべ!遅刻する!」


自分のリュックを手に取り慌てて階段を駆け下りる。


「おっと!!いけね!!」


1階、階段横の和室の仏壇へ向かう


「母さん。今日も行ってくる。」


チーン。


仏壇に手を合わせる。


おりんの音が部屋に響くのだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


どこかの時間、どこかの場所、時間も空間の概念もここには存在しない


虚数宇宙|≪イマジナリースペース≫


この生か無かわからない空間の中で”彼ら”は戦い続けていた。


彼らは例えるなら、

ゲームのバグの様にただ真っ黒なシルエットのヒトだった


『ゼロン。この世界を崩壊させ、仲間も死んでいった。お前はこれ以上何を望む!!』


〖…ナニモ。〗


『ふざけるな!!』


激しい攻防が行われる。


『…ソロソロカ』


ゼロンと呼ばれたシルエットはもう片方の存在に向き直り深々とお辞儀をした。


『!?…なんの真似だ!!』


〖ゼクス。アナタハホントウニヨクヤッテクレマシタ〗


ゼロンが指を鳴らすと後ろにワームホールが現れた。


『多次元世界へ逃げ込む気か!?』


〖デハ、ゴキゲンヨウ〗

ゆっくりとゼロンの体はワームホールへ飲み込まれていく。


『貴様!!逃がさんぞ!!』


ゼクスはゼロンに飛び掛かる。


〖…フッ〗


ゼロンと共にゼクスはワームホールへと飲み込まれていった。


そこにはただ静寂が拡がっていた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「はよー」「うーっす」「おはー」


私立光響学園校門前では生徒たちのあいさつが飛び交っている。

その中をヘッドフォンをした光一は一人で歩いていく。


「…い。」


(あー、今日は帰ったらライトゾーン一気に見ちゃうか)


「こう…は。」


(いや、待て1週間前から『聖獣星ガルガン』をリマインドしていたはず!!)


「お…こ…テ…」


(くっそぅ!!俺としたことが、自己管理がなってないぜ!!今日は『ガルガン』で決まり!!…っは!!『機電武人シャットル』の25、26話「対決! 最期のヒーロー!(前後編)」回を後回しにして…)


「おい、光一テメェいい加減にしろよ!!」

「ブフォン!!」


ヘッドフォンを奪い取られ思いっきり脳天に拳を振り下ろされた光一は1750年代にヨーロッパの知識人の間で起こった論争のような声を出して倒れた。


「巧か」


「「巧か」じゃねえよ!こっちは校門前からずっと声掛けてるのに無視してるんじゃねぇよ!!」


身長178cm、体重63kg、8等身ボディを誇る化物。飛鳥 昂平(あすか こうへい)は腕組をし、倒れた光一を見下ろした。


「ヘッドフォンするのはいいが、周りの音も聞こえなくぐらいの音量はどうなの?まだ高校生だよ?17だぞ、人生100年1/5段階で耳ぶっ壊してどうする!お前の数少ない友人からの貴重なお言葉をだね…」


昂平は光一が震えていることに気づいた。


「お、おい、何もなくことはねぇだろ!」


焦って回りを見渡す。すでに若干の人だかりができている。そのうち7割ぐらいが昂平目的の女子だ。


「だって、だってよぉ…」


光一の声は震えていた。


「光一、悪い。やりすぎt…」


昂平の謝罪の言葉を光一のクソでかヴォイスがかき消す。


「この構図はあれだよ!!『恐骸戦士ダイノゼロス』の第45話「うせやん!最後の親父!」の親父ことダイノブラウンが主役のダイノゼロスを庇うシーンとそっくりなんだぜ!」


「…はぁ。もう2、3発いった方がよいか?」


昂平の大きなため息と同時に予鈴が鳴り響く。


「ほら、急ぐぞ!!」


「このシーンで親父がやられるんだけどさ!まさかの敵がダイノゼロスの本当の親父で…」


「うるせぇ!バカ!遅刻するぞ!」


玄関に入る直前、光一の視界に不穏な動きをする生徒が入った。


「昂平!すまん!トイレ!」


「はあ!?急げよ!!」


「…っし。」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

見るからに柄が悪そうな男が見るからに弱そうな男児を捕まえている。


「おい、てめぇ今日までに持って来いって言ってたろ?」


「無理だよ、そんな毎週毎週…」


「あ?テメェ口ごたえすんのか?あぁ?」


男が拳を握りしめ、彼につかみかかろうとした瞬間。


「待て!藤宮 晴太(ふじみや せいた)!!」


藤宮と呼ばれた男の額に青筋が浮かぶ。


「おい、お前俺を下の名前で呼ぶとはいい度胸じゃねぇか」


「晴太。なんとすがすがしい名前か。それに対してお前のやっていることは真逆。曇りまくった曇天だ!!」


「ブチ殺す!!」


「こい!!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

キーンコーンカーンコーン♪


「なぁ、円加よぉ…」


「はぁ、はぁ、なんだ?」


「もう、辞めようぜ」


「今更、遅いぜ。もう、俺は止められないぞ!!」


「いや、止まってるどころか地面に倒れてるから!!」


光一は情けなく地面に倒れていた。うつ伏せで…。


「まだ勝負は一回の表だ!!」


「9回裏だバカ野郎!!このチャイムはゲームセットのサイレンなんだよ!!」


「くっ、曇天が何か言ってら」


すでに1限は始まっている。


「…なぁ、毎度お前がかばってる高山はいつも逃げ出すしよ。お前はいつもぼこぼこでよ。お前になんの得があるんだよ。」


「決まっている。」


光一はゆっくりと体を起こし真っすぐ藤宮を見据えて言い放った。


「ヒーローだからだ。」


「ないないないないないないないない…」


秒で否定される。


「お前いつも俺にボコボコにされて終わりじゃん?勝ってないじゃん?何言ってんべ?」


嘲笑する藤宮に立ち上がり近づく光一。


「あのなぁ、俺は守りたいものを守れた。」


ゆっくりと近づく


「お前の野望は潰えた。」


藤宮の額と光一の額が触れる距離


「俺は勝ってる。お前の負けだ」


「フッ、言ってろ!!」


藤宮が拳を振り上げた瞬間!!


どこからともなく突然の稲妻が街に降り注ぐ!!


「これは、いったい!?」


「おいおいおい、なんなんだよあれ!?」


ビルよりも大きく、山の様に大きな怪物が稲妻が落ちた場所に現れた。

その姿はまるで、テレビの世界からそっくりそのまま表れたかのような姿をしていた。


「鉄砕岩竜|≪てっさいがんりゅう≫ガルゴノス…!?」


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