とある情報屋の日常
遥か昔から人間は妖やヒトならざるものと共存をしていた。しかし、時代が過ぎていくうちに、共存をして居る事実を大抵のヒトが忘れてしまった。
否、忘れているわけではない、何時の間にか自分たちが偉いと錯覚していた。
そんな社会が数百年続いたある日から妖達は可怪しくなった。可怪しくはなっていない。人間達に分からせようとしたのだろう。
「お前達ヒトは妖に護られている」と
ヒトと妖の争いは100日続いた。
そして、協定を結んだ二度と争わないと…
ヒトはその時知ったのだった概念を操る化身がいることを。
人々は神よりも位が高い化身を敬うようになった。加護を願い化身たちが設立した社に入りたいと願うようになった。
鉄塔の上で少女が街を見下ろす。
「……桜屋ね、あの子が設立した情報屋…大した事は無いでしょうけどね…」
少女は懐から小瓶を出すと中の液体をばら撒いた。
鉄塔の上から撒かれた液体は町中へ広がっていった。
「この街もおしまいかしら?」
意味深な言葉を残して少女は飛び降りる。
地面に着くはずの彼女は空中で姿を消した。
少女が消えた後にはキラリと水色の光が残る。
「………姉さん、貴方は…」
数秒してから鉄塔の上に黒い影が現れ光が消えるまでそこに立っていた。