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42 素敵な友達と青空の下で (1章完結)

 銀行を出る前に、ファルクは変姿の魔法で容姿を変えた。

 行員が気を利かせて裏口から出してくれたので、人につかまることもなくさっと抜けることができた。 


 アルメはファルクに手を取られて歩き出す。


 こうして二人並んで街を歩くのは二度目だ。なんとなくわかってきたけれど、ファルクは手を繋いだり肩を寄せたりするのが好きらしい。


 距離が近いことには少々照れがあるけれど、きっとアルメの氷魔法の涼しさを期待しているのだろう。


 期待に添えるよう強めに魔法の冷気を送ってみたら、ファルクは何だか変な顔をしていたけれど。



 そうして通りを少し歩いた先の公園で、ランチをとることにした。花と緑にあふれた美しい公園だ。



 公園には広場に面してレストランが並んでいる。色とりどりのパラソルとテーブルクロスが目に楽しい。


 人々で賑わう景色の中に、自分たちも入り込む。空腹に任せて早々と店を決めて、二人で食べたいものを自由に選んだ。


 花飾りが美しいレストランのテラス席で、アルメとファルクは目を輝かせる。


 白いクロスの敷かれたテーブルの上には、あっという間に美味しそうな料理たちがズラリと並んだ。


 トマトとチーズのサラダ、ジューシーな肉がゴロゴロと乗ったピザ、エビと野菜の衣揚げ、白身魚のハーブ蒸し――。


「頼み過ぎちゃいましたかね? なんだか気持ちがさっぱりしたので、浮かれてしまって」

「大丈夫ですよ、俺が食べますから。実は昨日の昼から今まで、ほとんど食べていなかったので。いくらでも食べられます」

「……お説教が喉まで出かかりましたが、後にしておきます」

「食べ終わる頃には忘れていることを願います……。さ、いただきましょう!」


 グラスを持って笑顔を交わす。グラスの中は爽やかなレモンのジュースだ。



『仲直り記念に乾杯!』



 軽やかな声を合わせて、グラスを空へと掲げた。




 ルオーリオの街の空は真っ青に輝いている。

 

 降り注ぐ日差しの下、音楽家たちは気持ちの良いメロディーを奏でる。曲目はもちろん、この街の定番、『人生は気楽に、愛は真心のままに』だ。



 心弾む音楽を聴きながら、素敵な友達と、素晴らしく楽しい食事の時間が始まった――。





(1章 おしまい)


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