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第5話 エルフ1の剣士

今日は1話投稿です。明日は2話あげれる‥かな?

 冒険者になると決意した時から少し時間が流れ‥‥


「で、これはいったいどういうことなのじゃ?」


 儂は今エリスというエルフとまるで闘技場のような場所で向かい合っていた。もちろん闘技場ということもあり、周りには先ほどサイレントで黙らせた男たちが詰めかけている。

 ちなみにあの後何の説明もされずにここに連れてこられたので、今から何をするのか全く分からない。まぁ、大方想像に難くないがのぉ。


「もちろん冒険者になるなら実力がどの程度あるのか確かめないとね。」


「‥‥あいわかった。」


 実力か‥‥実際のところ今の儂はどの程度なんじゃろうな?魔導書としては最高峰‥‥いや頂点と自負しておるが、人間としてはどの程度かわからんの。


「ちなみに、エリスお主はエルフでは強いほうなのかの?」


 その問いかけにエリスはニヤリと不敵に笑う。


「私の剣の腕前はエルフ一よ。」


「そうか、それは楽しみじゃな。」


 ピリピリとした空気の中、エリスは腰に差した剣に手をかけ少し大勢を低く構えた。堂に入ったか前とはこのような構えのことを言うのじゃろうな。エリスの構えに移るまでのとても自然な動作を見るだけで並みの剣士ではないと一目でわかる。

 これはなかなか楽しめそうじゃな。


「それじゃ行くわ。」


 そしてエリスがぐっと足に力を籠めた瞬間‥目の前からエリスの姿が掻き消え、儂の目の前にエリスの鋭く光るレイピアの先端が迫る。

 補助魔法でこの体の性能を強化してなかったら目でとらえることすらもかなわんかったじゃろうな。


「反撃 リフレクト」


 レイピアの先端がほんの少し体に触れると、儂ではなく突きを放ったエリスが壁に向かって吹き飛ばされる。


「~~~ッ!!かはっ‥」


 吹き飛ばされながらも体勢を整え、再び踏み込もうと足に力を入れる瞬間を儂は逃さない。またさっきみたいにとんでもない速さで接近されたらたまらんからのぉ。


「土魔 底なし沼」


「なっ!?何よこれっ!!」


 思い切り踏み込んだエリスは体の半分ほどが突然足元に現れた底なし沼にずっぽりとはまった。抜け出そうともがくたびにずぶずぶと沈んでいくエリスのもとに悠々と歩いて近寄る。


「くっふふ‥‥どうじゃ?抜けそうかの?」


「ちょっ!!見てないでどうにかしてくれない!?」


「もちろん助けてやってもよいが‥‥その前に宣言することがあるじゃろ?ん?」


 もう肩までどっぷりと沈んでいるエリスににこりと笑いながら問いかけると、彼女は涙目になりながら宣言する。


「私の負けっ!!私の負けだから早くここから出してよぉぉぉぉっ!!」


「う、うむ‥‥わかったのじゃ。」


 まるで子供のように泣き始めてしまったエリスに少々驚きながらも底なし沼からから引っこ抜き、泥まみれになった体を魔法できれいにしてやるとようやく泣き止んだ。


「ぐすっ‥ありがと」


「で‥‥これで儂の実力は量れたのか?」


「えぇ、もう十分わかったわ。まさかカールと同じ方法でやられるとは思わなかったけれどね。」


 瞳にたまった涙をグイっとぬぐいながらポツリとエリスは言う。


「カールと同じ‥‥とな?」


「えぇ、さっきのぬかるみを発生させる魔法はね私みたいに速さを売りにしてる剣士相手に現役時代のカールがよく使ってたのよ。数十年ぶりにあのつめたーい感覚思い出しちゃったわ。」


 エリスは両腕を抱え、プルプルと体を震わせながら教えてくれた。相当なトラウマになっているらしいの。

 

「そうか、カールと同じか‥‥くっふふ、なかなか良い気分じゃな。」


 まぁカールが現役時代に使っていた魔法よりも今のは(たち)が悪いじゃろうがの。なんせただのぬかるみではない、底無し沼じゃからな。エリスがあのまま暴れ続けていたらいずれは‥‥


「さてさて、じゃあ実力もわかったことだし。次は実際に低級冒険者が受けるような依頼を一つこなしてもらおうかしら?」


「む?まだ儂を試すのかの?」


「その依頼を完璧にこなして初めて冒険者として認めることができるのよ。まぁ、一種の通過儀礼みたいなものだから我慢して頂戴?」


 なかなか冒険者になるのも面倒なのじゃな。まぁ、それをこなせば終わりのようだし‥‥少し頑張るとするかのぉ~。

 エリスの言葉に仕方なく頷くと‥‥。


「それじゃ早速その依頼を発表するわね。」


 ごそごそとエリスはポケットから一枚の紙を取り出し、それを読み上げた。


「今から一時間以内に薬草を10本納品してもらうわ。」


「ふむ‥‥薬草の種類は?」


「体力回復のポーション精製に使う三月草だけをカウントするわ。」


 その程度なら簡単じゃな。ここに来るまでに森のなかで何度か見かけたしのぉ。


「承知したのじゃ。もう行ってもよいかの?」


「えぇ、気を付けて行ってらっしゃい。」


 エリスから言い渡された依頼をこなすために一人先ほど散々さ迷うはめになったあの森へと足を運ぶのだった。

少しずつリアルが追い詰められてます作者です。

まぁ追い込んだ方が必死にやれるからまだまだ自分のことを追い込みたいと思います。

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