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重圧な石版の裏に隠れている鉄扉を開ける。


其処にはここが洞窟である事を忘れるかのような、質素で単調な円卓とホワイトボード、まごうことなき会議室、ザ・会議室。


湿気がすごいため除湿だけつけられたエアコン。各階層統括者達が気怠そうに丸椅子に座っている。

禍々しいオーラを放ちながら湯呑に入った御茶とお茶菓子を貪り食いながらダベる。


一言で言うならシュール、超シュール


「──っふ」。ゾラは鼻で笑った。


「おぉ、ゾラ君こっちゃこいこい」。



「あ、こんちわっす、グレムリン先輩」。


第二階層主グレムリン、真ん丸の大きな瞳に毛むくじゃらでもこもこ、背丈は俺の腰くらいしかない。しかしてその戦闘力は脅威であり飛行速度は竜のそれを超え、放たれる打撃は頭蓋をかち割る、腹が減れば人も喰う。



「おっ前、たった一ヶ月で階層主ってすごいナ、ボスも気に入ってたゼ」。



「まぁ便利っすからね〈デイウォーカー〉。人件費要らないですし、アンデッド従順だし、リストラも無いし」。

(ホントに……この中で一番働いてる気がする。


「ホントに偉いゼ、ウチの奴等と来たら、もうしょっちゅう愚痴云うんだぜ、それに毎回酒突き合わされるこっちの身にもなれってんだよ」。



「はっ、よく言うよ、ノリノリでいつも二次会参加してるじゃないか。」



第六階層グリゴラ、身体中を岩石で覆った貴婦人の様な姿形をしている。因みにグレムリン先輩の元嫁である。


「うるせぇな、気分良くなってんだから行くだろうがよォ!!話入ってくんじゃねぇよぉ、このゴツゴツババァ」。



「てめぇ、はっ倒すぞ、このチェブ○ーシカが!!」


「――あ?今なんて言った?」。


「この、チェ○ラーシカが!!」。


「ぶち殺すぞ、テメェ!!!」


「ちょ、二人共、ボス来ますって、皆さんも見てないで手伝ってくださいよ」。



「──コラコラ、喧嘩は駄目だよー」。


「フェクト様、アレは痴話喧嘩と言うやつです。喧嘩するほど仲が良い的なやつです」。


刹那、鉄扉の向こうから陽気な少女の声がする。暴皇フェクト、その姿は可愛らしく活力に溢れた少女である。秘書のヴェルザを連れ重役出勤だ。


「皆様、大変遅くなりました、フェクト様がおやつを食べたいと申されましたので」。


おやつで遅刻とか時間感覚フリーダムかよ


「おいおい、ヴェルザも美味しそうに食べてたではないか!」。



「私のは毒味で御座います、それでは皆様、月一の定例会議を始めます。」


月一の定例会議。伝説の剣のレプリカの値段上昇とゴブリンの装備豪華過ぎ問題が議題として上がった。


正直この会議は皆上の空、ここに居る全員が給料の事しか考えていなかった。


「それじゃあ、会議終了!!これからお給料を渡します!!」。


やっとだ、やっと今までの重労働が報われる。迷宮を掘っては投げ掘っては投げ、自作トラップや迷宮の拡張、指示だしから何でもやった。


皆に給料が支給されついにゾラの番へと回ってくる。



「はっはっはっ、グレムリン君次も頑張ってね……で最後、えーっと……君は?」。



「フェクト様、先月第三階層の階層主になったゾラさんです。」



「あぁ……あー、いたね、いたいた。」


微妙な反応、まるで忘れていたかの様に。なんだろうとても嫌な予感がする。


「あっは、君の分のお給金ないや!!はいっこれ」。


満面の笑みを浮かべてポケットの中から何かを取り出した。


面白パーティーセットと牛乳瓶の蓋……


「はいっそれでは皆さん来月も頑張って下さい、ありがとうございました」。


皆が額に汗を浮かべそそくさと部屋を出ていく。


「あの……グレムリン先輩……」。


「あーっとぉ、この後大事な用事があるんだっタぁ、ゾラ君ごめんね」。


バタンと鉄扉が閉まる音がする。会議室に一人牛乳瓶の蓋をニギニギする。



 ── おかしぃぃだろぉぉぉぉぉお!!!!


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