憂いと自画自賛
マークとあの子が部屋から出ていく。
「よろしいのですか?」
部下のレルドが二人と入れ替わりに入ってきた。
「大丈夫だろう。監視はしばらくつける。リーナの遊び相手も見つかり、彼の人となりも知ることが出来る。一石二鳥じゃないか。」
「それはそうですが。」
「彼にはこの屋敷にいてもらわなければならない。あの都市の生き残りであり、そのうえルーンと魔眼を身に宿している子供。トラブルの種にしかならん。」
それに子供にしては、妙に精神年齢が高い気がする。
「とにかく、あの子を監視し、鍛えろ。わかったか?」
レルドは、はぁとため息をつき、わかりましたという。
「シルエスカは…逆に喜ぶだろう。彼には教えがいがありそうだしな。」
ルーン2個持ちに魔眼持ちだ。これ以上の素材はない。
「しかし、だとすると、帝国騎士団長レベルまで強くなるかもですね。」
「それはいいことではないか。リーナの護衛が強くなるのだからな。」
そうリーナの安全にも繋がる。あの子をこの屋敷に留め、愛娘の願いもかなえる。私はなんていい父親なんだろう。
レルドがこの先のことを憂い、ガイルが脳内で自画自賛している中。
「……あの子と話、出来なかったじゃない。」と少女は1人拗ねていた。