難しい話
「ん、んー、ん?」
目を覚ました僕の視界に映るのは、綺麗な装飾のされた壁だった。
いや、壁じゃない。僕は今寝ているからあれは天井か。綺麗な天井だなー。なんて、寝ぼけた頭でそんな事を考えていたが、だんだん意識が覚醒してきた。そして1つの疑問が生まれる。
「ここどこ?」
記憶を呼び起こす。ええっとー?なんか暑かったような苦しかったような気がして、誰かに話しかけられたような気がする。
それより前の記憶は出てこない。困った。
そんな事を考えていたら誰かの声が聞こえた。
「例の子供は?」
「こちらの部屋で寝かしています。」
「うむ。」
誰かが部屋に入ってこようとしているらしい。
どうしよ?
混乱していく僕だか、そんな僕を待たずに扉は開く。
ガチャ
入ってきたのは、20代後半ぐらいの男の人と40代ぐらいの男の人だった。
「む、目を覚ましているようだが。」
「そのようですね。折角ですし、軽く話を聞きますか?。」
「そうだな。」
どうやら僕と『お話』をするらしい。
怖い
そりゃそうだろう。混乱している子供に見知らぬ大人が話をすると言っているのだ。
そんな怖がっている僕に40代の人は僕に話しかけてくる。
「さて、君と話がしたいんだ。いいかな?」
「えっ、いや、え?」
「あぁ済まない。私はエルドニア帝国侯爵東方担当兼バース領主、ガイル・イーストだ。」
なんか凄そうな名前がきたがよく分からない。
「まあなんだ。君にいくつかの質問をしたいだけなんだ。いいかな?」
反射的にコクコクと頷いてしまう。
「じゃあそうだな、まず君の名前は?」
僕の名前?なんだっけ?
思い出せない僕の様子をみてガイルさん?が怪訝な顔をする。
「まさか、『名無し』なのか?」
「いえ、彼の身体には『ネームレスの焼印』はありませんでした。」
ガイルさんの疑問に後ろの人が答える。最下級奴隷?なにそれ?
「そうか。なら、、、まさか、、、なぁ君、君はなにか覚えているか?例えばルアーについて。」
「ルアー?え、えっと、、、だ、誰かに寝ててもいいみたいなことを言われたような。」
それしか覚えていない。
「それは私です。ガイル様。」
あっ、あの時の人はこの人だったんだ。
「じゃあ、どういう事だ?」
ガイルさんの質問に20代の人が答える。
「ええ…人は辛い目にあうと記憶がなくなることが、稀にあるそうです。もしかしたらその類かも知れません。」
あぁ、あと、と20代の人は続ける。
「呪いの類はかけられていません。シルエスカ殿に確認済みです。」
「む、まぁ『蒼炎の魔女』を騙せる者は中々いないからな。」
蒼炎の魔女?もう話についていけない。
「記憶を呼び覚ます魔法などはないのか?」
「はい、あります。ですがそれは精神干渉Lv80以上でない
と。」
2人は何か難しい話をしている。
僕はどうすればいいのか。
そんな事を考えていたらまた話しかけられた。
「しょうがない。とりあえず、食事を取りなさい。後でまた改めて話をしよう。」
「えっ、はっはい。」
「む、では、また後で。」
そうして2人のは部屋を出ていく。その時、左目に鋭い痛みが走る。
「っ…………!」
ガチャ、
扉が閉まる。と、同時に痛みもひいていった。
今の痛みは一体?
目をゴシゴシとこする。
別になんでもない。
そして僕は大変な事に気づいた。
「食事って………ないじゃん。」
誤字脱字があったら教えて下さい。訂正します。