裁きを執行する少女
エルドリア帝国北方領土
ガードライド山脈 東端
「Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!」
別名 『竜の巣』
全身が真っ赤な竜麟覆われた竜が金髪の少女に迫っていた。
この場面だけを見たのならば、多くの人々は悲劇と、物語のバットエンドだと思うだろう。
だが、この場面を説明するには、2つほど説明が足りない。
1つ目は、少女の周りに大量の竜麟と血肉が散らばっていること。
2つ目は、少女の目には、悲しみと絶望ではなく、決意と闘志が宿っていたことだ。
少女はその目を閉じ、ゆっくりと両手を上げ、空を仰ぐ。
「我望むは天界の執行人。聖なる神の子に楯突くものに、慈悲と慈愛を持って永遠の滅びをもたらせ。」
少女の手から、光り輝く円盤____魔法陣が出現する。
半径5メルタ程の魔法陣を炎竜に向ける。そして少女は、自分に襲いかかる愚かな者に、滅びの引き金をひいた。
『天罰』
瞬間,魔法陣が眩いばかりの光を放つ。光は罪に罰を与えるため、形を変えた。
純白の斧へと変化した光は、眼前の大罪人に確実に裁きを執行した。
「Gyaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!?????」
斧は竜の背中に突き刺さり、鱗を砕き、肉を断ち、骨を粉砕し、竜に血と絶叫を上げさせた。
炎竜は、抵抗するために2、3度羽ばたくが、それすらも罪だと言わんばかりに光の斧が輝きを増し、そして内蔵を裂く。
それに炎竜は抵抗をやめ、地に伏せた。大地にまたひとつ赤い花が咲いた。
それを、竜の哀れな最期を見た少女はしかし、ここではないどこかを見るような目をして、小さく呟く。
「貴方を守るために、そのためだったら、頑張れるわ」
少女は目に自虐的な光を宿し、先程よりもはっきりと呟き続ける。
「貴方が今の私を見たら、どう思うのでしょうね。」
目を伏せ、名前を呼ぶ。万感の思いがこもった名前を。
「ロイ」
少女_____リーナの瞳から一滴の雫が落ちた。




