強く、なるためだ
「おらああああああああぁぁぁ!!!ぶひもずっ!?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! ぬぐうぅぅううう!?」
「アータタタタタタタタタタタタ!!! お前はもう死んでいる。 ひでぶっ!?」
「何言ってんだこいつ?」
半ば呆れながら、ギルド前の広場で迫る冒険者達を魔法で(土属性)殴りまくる俺。
先程Cランクの男を瞬殺した(一応生きてる)ことで晴れてDランクになったロイだが、あまりにもCランクが弱すぎるので、ここにいる奴全員倒したらどうなるとギルド嬢に聞いた。そしたら特例措置として、Bランクまで上げてやると突然出てきたギルド支部長に言われたのだ。
その為、Bランクまで上がるために全員に喧嘩を売った。
決して、お前なんかに出来るわけないだろ的な目を支部長から向けられたから、やっているわけでは無い。Bランクに上がるためだ。
なので土魔法で地面に干渉している。迫ってきた敵の顎にアッパーのように片っ端から地面から岩の拳を伸ばしてぶん殴っているのだ。
股間を抑えて死んだ魚のような目をしている冒険者は、制御をミスって当てちゃっただけ。キモかったり、ウザかったからわざと当てたわけじゃない。ちょ、涎垂らすな。
そう、勝った奴にはこの剣をくれてやると言って、俺がひたすら魔法で強化した剣を見せたら全員興奮した顔で襲って来たからって驚いて制御をミスったわけじゃない。
因みに女性にはちゃんと手加減している。後で恨まれたくないからだ。傷物にされたとか言われたくないからだ。
「これで最後だな。」
「ウゲッ!!!!!」
最後の一人、なかなか素早い動きをしていた小男をぶん殴って集団いじめ(逆)も終わりだ。
「終わったぞ。これでBランクにしてくれるんだよな?」
「嘘でしょ…………!」
「フムフム………これはこれは………ちょっと来てもらっても言いかなあ?」
「まぁ構わないが」
ただ支部長の笑顔が気持ち悪い。
驚いているギルド嬢とニタニタと気持ちの悪いギルド支部長に連れられ、ギルド支部長室に案内された。倒した冒険者達?知らん。
案内された部屋は、この気持ち悪い顔にあわずなかなか整っていて綺麗な部屋だった。
案内された部屋でギルド支部長に唐突に言われる。その目はニヤニヤした顔の割にかなり真剣だった。
「君は何者なんだねぇ?」
「何者………………。俺は何者でもないな。なんだいきなり」
「いやいやぁ別にぃ、ただ君は強すぎだよぉ。帝都で仕事を探せばいくらでもあるだろうに、なんでここにいるのか、気になるじゃあないかぁ。」
何故ここにいるのか、か。そんなの決まっている。2ヶ月前のバースで、そして2週間前までの帝都で、誓った。
ロイはずっと深くかぶっていたフードを外した。
ロイは白い髪を押さえる。
右眼の金眼に強い光が灯る。
反対に、赤黒く光る左眼は、光を貪欲に喰らわんというかのように、底が見えない。
そして、伝えるためではなく、自分に言い聞かせるように強く、それでいて不確かな物を改めて確認するかのように、どこか弱々しく言った。
「強く、なるためだ。」
やっと書くのに慣れてきた。