ルアー壊滅
「一体何が起こったんだ…?」
そう呟きながら、レルドは比較的整った顔に疑問符を浮かべていた。
エルドニア帝国の2等騎士であるレルドは、2人の部下と共に壊滅したプラーク王国第二の都市ルアーにいた。2日前の謎の閃光と爆発音の原因を調査するためだ。ルアーは普段、海洋貿易の中心地として賑わっている都市である。
だが目の前の光景は文化とはかけ離れた物だった。衛士が居るはずの大門は半ば崩壊し、人魚をかたどったプラーク王国軍旗は焼け落ちている。街には人影が見当たらない。
いや、人だった物はそこら中にある。それらは苦悶に満ちた表情を浮かべ、絶命していた。だが、どのように死んだのか外傷は一切見当たらない。
そして都市の中央部は…。
「なっ…………‼」
『ない』
文字どうりだ。都市庁舎などがあるはずの場所には代わりに大きな『穴』が空いていた。
「これは………っ、急いで侯爵に報告しなければ。」
レルドは帝国に帰るため、部活に帰還の合図を送ろうとした時、ガサッという物音が聞こえた。
「!?誰だ!」
この死人しかいない街には物音1つ警戒すべきだ。そう考えレルドは愛剣を構える。
その愛剣の構えた先には…………男の子。
一見死体に見えるが、よく見れば胸が上下している。
生きてる
そう分かった時、その子を保護することを決めた。この不可解な状況について何か知っているかもしれないと思ったからだ。
「おい。大丈夫か。」
そう声をかけるが返事がない。どうやら衰弱しているようだ。レルドは回復ポーションを取り出しその子の口に近づける。
「ぅ…………ぁ…。」
ポーションを幾らか飲ませたら少し目を開けたがすぐに閉じてしまう。
「くっ、」
この男の子にはもっとちゃんとした物が必要だ。せめてLv2以上の『医師』か『治癒師』に診てもらわなければ。
この子供は、この状況について何か知っているだろう。
レルドは馬に跨り、男の子を自分の前に乗せる。
そして部下と共にルアーを出て帝国東端の都市 バースに向かった。




