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3話 クズ三人組、地雷を踏み抜かないように情報収集する 

 

 危機的状況が一体何かって?そんなのは簡単にわかる事だ、──俺達はこの世界についてなんも知らん。


「よく考えたら音声言語が一致してるってやべぇな」

「そういうのあんまり考えない方がいいわよ、私もそれ考え始めたら頭痛くなってきたわ」


 まるで既存の世界ではないと言わんばかりの異常すぎる状態。俺もこの摂理については深く考えるのはやめておこうと思う、どうせそのうち情報収集していれば何かしら出てくるだろうし。ラノベの展開並み。


「んで、これからどうするの?まさか本当に協力するってわけじゃないでしょう?」

「もちろんだ。世界を救うってのは名目的に面白そうだが、内面的に俺がそんな事する人間だと思うか?」

「思わないわね、もっとも世界を救ってハーレム目指すのは一考してたけど」

「それは俺も悩んだ」


 正直ハーレムは悪くない、俺に世界を救う力があるのなら厨二心満載でカッコいい技名とか叫びながら黒歴史に新たなページを記していただろうな。実際それも客観的に笑えて悪くないと思っていたりする、彩華や黒崎君がいるのだから。


「取り合えず今は知識だ、俺達が今どういった立場にるのか本当に何もわかっちゃいない。下手したらこの国に閉じ込められている可能性だってあるわけだ。身を滅ぼさない程度で情報を集めよう」


 とにかく情報、情報が欲しい。言語が一致しているなら文字、文字が一致しているなら漢字、英語は?数字は?食べ物は?俺達は今本当に危機的状況だ、これらが噛み合わないとその場でバッドエンドまっしぐらを迎えるハメになる。


「……一旦戻るか」

「だなー」


 黒崎君も何やら考えていたようで……後から色々聞かないといけないな。

 何かしなければ何も始まらないわけで、ひとまず俺達はあの貴族連中のいる王室?へ戻ることにした。


「じゃまするぜー」

「おお、勇者殿!何かいい案は思いつきましたかな?」


 ノック無しで王室に入ると貴族連中達はいなくなっており、王様だけが座っていた。


「ああ、いい案思いついたぞ。……と言いたいが、色々準備をしなければならなくなってな。協力してくれるか?」


 さっきの会話で案なんてそもそも話してない。と言うかこの現状でどうやって魔国と対抗するんだ、マジで意味わかんねぇ。そんなツッコミ満載の状況だが、彩華と黒崎君は何も言わない。若干彩華が怪しいが……。二人とも俺が何をするかある程度予想はついているのだろう。

 王様は「そうか!」と嬉々を現す表情をし、訪ねてきた。


「我に協力出来るものであればなんなりと言って構わぬぞ、何が不足しておる?」

「話が早くて助かる。まずはこの世界と魔国に関する情報、本でもいい、用意してくれるか?」

「なんだそんな事か、当然用意するつもりだ。まだ魔国について何も語っていないわけだしな。今日はひとまず休んで明日から詳細を話そうと思っていたのだが……」


 召喚されたその日にこんなアクティブな動きするとは王様も思っていなかったのか予想外の表情だ。もっとも俺だってこんな訳の分からない状況じゃなきゃゲームしながら寝てたい気分だわ。とにかく今は情報が欲しい。

 俺は困った顔つきで今欲しいと訴える。


「あぁ、実は急ぎなんだ。悪いが今用意してくれるか?」

「そうか……さすが勇者殿だ、その行動力に感服せざるおえない。わかった、下の者にいくつか用意させておこう」

「助かる」


 疑われるどころか謎の好感度アップをものにして配下の兵士からいくつか本を貰う事に成功した。

 ついでに今日の宿も借りることが出来た、この国の勇者なのにこの国で宿が無いって常識的に考えられないわけなのだが。

 っていうかこの国なんて名前なんだ……?ほんとなんもわかんねぇな、見た感じ中世ヨーロッパ風だがレトロな雰囲気はなくどちらかと言うと現代に近い。

 王室から出た俺らは当然今王城に居ると言う事になるのだが、宿は城下町の方に取ってくれているらしい。しかも貸し切りだ、勇者の待遇って凄いな。


「黒崎君」

「……安心しろ、誰もいない」


 貴族たちが余計な企みをするなら俺達が行動をする前に着けてきている可能性がわずかながらある。なので黒崎君にはいつも通り後ろを見張ってるように頼んでいる。

 なぜ異世界に来たばかりなのにそんなことに手慣れているのかって?──現世でもそういう経験があったんだよ、あの時はマジで死ぬかと思ったわ。ほんと渋谷の地下はシャレにならないって……。黒崎君いなかったら絶対死んでた。

 まぁそんな恐怖のヤクザに絡まれた経験もあってか、こういう時の対処法は慣れているつもりだ。


「ここか?割とぼろいな」


 ようやく目的の宿に到着する、教えてもらった看板と一致するのであってると思うのだがこれが何というか、思ったよりぼろい。そして中に入ってみると狭い、俺の住んでるアパートと大差ない広さだぞこれ。

 ──だが俺よりもっとやばい反応を見せている者がいる、いやほんとやばい。今にもキレかけてる。


「突然呼んでおいて国を救えとか言った挙句こんなボロいところに住まわせるとか何なの?殺してやろうかしら」


 彩華が物凄い形相で握りこぶしを作っている。確かに大富豪のお嬢様から見たらこんなぼろくて狭い部屋は信じられないだろうな……。

 俺は近くにあった椅子に腰掛けると両手を重ねて謎の強者感を編み出す。


「よし。各々言いたいことを我慢してきただろう、取り合えずここで意見開示だ。言いたいこと好きなだけぶちまけろ」


 ──ついに現状整理の時間だ。


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