ゾンビとの初交戦
身体の不調もなくなり。歩いているうちに気が付けば朝となっていた。
もう町は目の前だ。
おはよう。アンデットになった私です。
そこは背の低い城壁のある、比較的小さな町。
薄灰色の家がいくつも並んでいる。
町の入り口の前で、このまま入っても良いものか?と悩んでいると。
「見かけない顔だな」
城壁に寄りかかり欠伸をしている男に声をかけられた。
「えぇ、どうも。この町の人ですか?」
「そうさ。といっても雇われの身だがな」
よく見ると頬にキズがある。冒険者か傭兵なのだろうか。
「実は少し聞きたいことが……」
あるんですが。と言いかけて。
突然、町の中から「キャーーッ!!」という複数の悲鳴が聞こえ、続けることができなかった。
「……またかよ」
男はぼそりという。
「あの、何かあったんですか?」
しかし、それを聞いた男は「悪いが俺はこれから仕事だ。じゃあな。名も知らぬ人」と言い、町の中へと消えて行く。
とにかく、悲鳴のあったところに行ってみようかと、町のなかに入ってみると、道が血で汚れている。そして騒がしい。
沢山の人があっちに行ったりこっちに行ったり。
怪我をし、叫んでいる人もいる。
「何これ」
呆然としていると
「あっちにもう一体いるぞ!」
と声がする。
私は声のした方へ走る。そして、建物の一角を曲がる。
「……!!」
そこには男女が数名、血まみれになって倒れている。
「……ひどい」
倒れた男女から目線を少しずらすと、この現場を作ったであろう犯人が、また一人血塗れにしてやろうか!と襲い掛かっている。
私にはその姿に見覚えがあった。
人間の形をしてはいるが、肌は紫がかった赤褐色。全身の肉はただれ、腕や足の骨はむき出し。
足取りは重く、フラフラと歩く。
日本にいたとき、ゲームのモンスターとしてよく相手にしてきた「ゾンビ」だ。
「危ない!!」
私は咄嗟に、ホルスターから銃を抜き、パァン!という音を立て発砲する。
それはゾンビの腕に当たり、男性への攻撃を中断させることが出来た。
「頭を狙え!!」
背後から男の声が聞こえる。
そうか、弱点は頭!
私は再度狙いを定め、撃つ。
パァン!!
派手な音を上げ、その朽ちた頭が破裂する。
「……よし!倒した!」
そう思い気が緩む。しかし。
先ほどまでいなかったはずの場所に、ゾンビがまた3体ほどいる。
「……ウゥゥウ"ウ"……」
何故なのかは分からないが、倒さなくてはいけない。
私は、そのゾンビ達の頭を銃で打ち抜いた。