アンデット確定
結局、私はブルー・ベルベット・ドラゴンを倒さなかった。
残りHPも少ないため、私たちは出来るだけ慎重に森の中を進んでいく。
途中、剣を持ったゴブリンや、イノシシのような獣・ボアと交戦した。
しかしそのどちらもブルー・ベルベット・ドラゴンのような強さではなく、私でも何とかギリギリ処理できるレベルだった。
「脇腹が痛い……」
ブルー・ベルベット・ドラゴン戦で受けた箇所が痛む。
立ち止まり少しはマシになるかと、手でさすってみるが、あまり効果はない。
「……やっぱ痛い。少し休む。」
私はドサっとその場にしゃがみ込む。
さっきまでとは少し雰囲気の違う。土とコケがまざったような地面だ。
まわりに生える草木の背も低く、あちらこちらにキノコのようなものが見える。
「無茶するから。」
スクリーンは呆れたように、そう言う。
「……」
自分でもそう思う。
なんで私はあんなことをしたのだろう。
そこでふと気が付く。
「あれ?私、最初に回復魔法とったよね?」
「そうね。でも……」
そこでスクリーンが言いよどむ。
「何?どうかした?」
「さっきまで戦闘中だったから言えなかったんだけど……」
「うん?」
「スキル効果「対毒・異常ウィルス耐性」……毒攻撃と、ウイルスによる感染を完全に防ぎます。<あなたはこの効果により属性「不死」となりました。>」
「……え!?」
「「デッド・ヒール」……不死属性のみ回復するスキル。それ以外の属性に使用した場合、その対象は一定確立で死亡します。ご注意ください。またこのスキルで敵を葬った場合、2時間のクールタイムが発生します」
「……!!!?!?」
驚きすぎて声も出ない。
ちょっと待って欲しい。
私って今……アンデット人間なの……?
手の平。腕。と見ていく。足も大丈夫だ。
「皮膚はただれてないし、肌色も紫じゃない。」
見た目は以前と変わらない。と思う。鏡がないので顔は分からないが。
それなのにアンデットなの??
「試してみたら……?」
スクリーンがこちらを伺うように言う。
「スキルを……?ウン。そう……だよね。」
このまま悩んでても仕方ない……。ちょっと怖いけど……。
「……よし、「デッド・ヒール」!!!」
詠唱する。すると……。
ピロリロリン♪と音がなり、緑の爽やかなエフェクトと共に、脇腹の痛みが和らぐ。
「……」
「……」
その日、私はアンデット確定となった。