グリーンスライムの群れ
ギルド会館に入り30分は経ったころ。
私は、会館の2Fの一室でお茶をすすっていた。現実世界でのウーロン茶に近い。
すっきりとする味だ。
クキ達と話した時飲んだのも、こんな味だった気がする。
こちらの世界の定番なのだろうか。
「あの人たち。スクリーンが見えないのかな?」
私はスクリーンにそう聞いてみる。
「断定は出来ないけど。……少なくとも、あれは演技には見えなかったわね」
たしかに私もその通りだと思う。
今となって思い返してみれば、クキ達もスクリーンのことに突っ込んでこなかった。
もしかしたら同じように見えていなかったのかもしれない。
「うんーー。そのあたりを聞ける人がいたらいいんだけどなーー。」
私は伸びをし、緊張をやわらげる。
スクリーンのことも気になるが、今私がここに座っているのは、冒険者登録のためのクエストがあるからだ。
やはり緊張する。
「どんなクエストなんだろう」
あまり難しくないものだといいな。
そう考えていると、一つしかない扉が開き、「準備が出来ました。こちらについてきて下さい」と男の人が、私を誘導してくれる。
そして、向かった先は……。
ある部屋の中なのだが……。
部屋の四方に柱のようなものがある以外、なにもない。白い正方形の部屋だった。
狭くはないが、広くもない。そんな場所だ。
「あの……」
私は振り返り、誘導をしてくれた男性に声をかける。
「そのまま、お待ち下さい」
男性はそう言い、扉を閉めてしまう。
「……」
心のどこかで、面接会場のような、テーブルがあったり、イスがあったりする場所を想像していたため驚いた。
しかし、すぐ頭を切り替える。これは試験なのだ。
何が起こるか分からない。
私は、危機にそなえ、ホルスターから銃を抜いておく。
「……」
シュィーン。シュィーン。
小さな音がする。
どこからだ!?
私は周りを見渡す。すると。私の足を中心に、魔方陣のようなものが。
「……!!」
咄嗟に、その中心から逃げるにように走る。
次の瞬間、足元が光ったかと思うと、目の前にモンスターが現れた。
ねっとりとしつつも、その場でぷるん・ぷるん。と揺れるその姿。
スライムだ。そしてそれは一匹や二匹ではない。
「……5、6、7、……8」
8匹だ。
「Lv4.グリーンスライム」
スクリーンはモンスター情報を教えてくれる。
私は、声を発する余裕もなく、ただ頷く。
これを倒せばいいのだろうか?
私は銃でスライムを撃ちぬく。
パァン!っと、当たるなり水風船のように破裂し、どろっとした緑色の体液がそこらに飛び散る。
そして間を開けずに、その真横にいた2匹目をねらう。
その刹那。
私の背中に衝撃が加わる。
「……っ!?」
焦り。振り返る。そこには一匹のスライム。
それは怒り狂ったかのように。
ブルブル!ブルブル!
身体を大きく動かし、私に体当たりをしてこようとする。
しかし、素早さはこちらの方が高いようだ。
私はその攻撃を簡単によけ、反撃の1発を入れる。
するとスライムは再度。緑色の体液をまき散らかし、破裂する。
「よし。次のを……」
そして、気が付く。
「……数が減っていない?」
スライムは、あいも変わらず8匹いる。しかも、その中で私を敵と認識しているのは1匹。
「オデット。これは何かあるわ。注意して!」
スクリーンが言う。
「うん」
私は頷き、さっき以上に注意深く観察をする。
スライム……。
撃つと、はじける……。
もしかして、射撃が効かないのか?
私は銃を一旦しまい。腰の後ろにベルトで固定してあるナイフを手に取った。
そして、怒りでブルブルと震えるスライムに向かって、斜めに走り込み、ナイフを突き刺す。
「……ッ!!」
スライムはその場でビクビクビクッと暫く痙攣したかと思うと、フシュウゥ……と音を立て、地面へと崩れ消えていく。
そして、数をかぞえる。私の予想は的中した。
スライムは再出現していない。
「よし、次だ!!」
私は次々に、スライムを突き刺さす。
最後の一匹。
「……っよし!!」
私は全てのスライムを倒した。勝ったのだ!
だがしかし。……何も起きない。さっきの男の人が来ることもないし、音がするわけでもない。なんだろう。
嫌な感じだ。
そう思っていると、スライムが出現したときのように足元に魔方陣が。
私は驚いて下を見る。
すると……。