プロローグ(1)
目が覚めると何もないところにいた。
見渡す限りの白。白。白。
どこに壁があるのかも分からない。
私はとまどい、呆然と立ち尽くす。
「ここ……どこよ?」
もちろん返事はない。ふと、足下を見る。
「……影もない。変なの」
ここに来る前は何をしていただろう。
たしか、深夜番組を見て、布団に入ったところまでは思い出せる。
ということは。寝ている間に移動したか、ここは夢の中ってことになる。
「……あぁ、これ夢の中なんだぁ……」
誰に言うでもなく、つぶやく。夢の中なら何でもありだ。
「いやいやいや。夢ってことはないでしょう?あなたって、かな~り不思議な人ね」
突然声が聞こえ、顔を上げる。
すると。目の前方、数メートル先あたりだろうか。
なにもなかったところに、大きな板のようなものが現れる。
いや、むしろ不透明なスクリーンというべきか。
そして再び音声と共に、太めの字で書き出される。
「そうね。今考えてるので正解よ。私はスクリーンのようなもの」
「はぁ……」
声に出したわけでもないのに、それにそった返答をしてくる。
「う~ん。普通ならここでかなり動揺するはずなんだけど。あなたはそういうのないのね」
スクリーンはそう文字を綴る。
「まぁ、確かにどうなってるのかな?とは思いますけど。色々なことが起こると考えるのがめんどくさ……zz。あぁ、眠くなったので寝ても良いですか?……zz」
ズガーン!と大きな音がなる。どこからだ。
「いや、寝るタイミングじゃないでしょ!!」
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よくよく話をしてみると、所謂このスクリーンはゲームなどでいう「神の声」ってやつらしい。
私のことをどこかで見ている誰かが接触してきている。
話しかけてきている。
「神の声ってことは神様って認識でいいですかね。でも、あまり神様らしくないですね。ズガーン!とか言ったり」
「・・・。私はまだ新米なのよ」
「はぁ。神様って一人じゃないんですね」
「そうね。それなりにいるわ。まぁ、とにかく。話を進めるわ」
そういうと、スクリーンは不透明から赤い色に変わる。
「あなたは死にました」