町へ繰り出した理由って何だっけ
「はぁっ!? 俺が魔王退治ぃっ!?」
「そうそう」
マニュアはヤンに向かって説明を終えていた。
ティルとピュウは2人から一足遅れて宿へと戻ってきた。
ヤンの驚きようなど相変わらず無視で、マニュアは続けた。
「よし! とにかく、みんな、自己紹介!」
マニュアのテンションに次いで、他のメンバーは自己紹介を始めた。
「俺は『ストーム・カーキー』! 13歳の盗賊だぁっ!」
「俺は『ニール・クラベット』。13歳だ。一応、武闘家」
「盗賊団のメンバーだったはずなのにね~」
「うっせぇ」
「私は『アリス・ヘイズル』。同じく13でーす。踊り子です!」
「踊りは綺麗だよ~」
「えへへ」
「私は『アルト・クリーム』。こっちも13。狩人です」
「そんな職業だったんだ……」
「うん。まぁ、弓矢とか使うのです。ちなみに、矢に魔法を付加することもできるんですよ」
「ほほー」
「あ、ちなみに、私――ティルは13歳の魔物使い!」
「おっと。私、マニュアも13歳で吟遊詩人だよ、一応な!!」
「自分でもおかしいという自覚はあったのか。一応て」
「うわああああん!」
「ピュゥ~」
「……で。俺は『ヤン・サンド』。13……で、魔法使いだ」
こうして、一通り自己紹介を終えた。
「……そういえば。新しいメンバーを連れてきたのはいいけど、マニュちゃん、買い物は?」
話を切り替え、アルトがマニュアに向かって尋ねる。
一瞬の沈黙。
「…………しまった。忘れてた――――!」
「やっぱりかよ!」
「やっぱりってなんだよ、ニールぅ!!」
思わず文句を言うが、忘れてしまっていた事実に、仲間達が責める。
「ホワイト!」
「わ、私だけが悪いわけじゃ……ティルちゃんだって……」
責任転嫁しようとするが、
「マーがこいつ連れて走ってっちゃったからじゃん!」
「こいつ呼ばわりかよ……」
「そもそもなんというか、散歩のついでだったし、その……」
更に言い訳を重ねようとするが、
「「「「マニュア!」」」」
一喝。
皆に責められたマニュアは、こうなったら平謝りで、
「す、すんませ~ん! 今行きま――す!」
「もうマーはいいよ! もうアテにならないもん! 今度は猫でも連れてっちゃいそうだし!」
ティルが言う。
「すいませーん! 許してくださいっ!!」
マニュアは慌ててそう言うと、さっさと買い物へと言ってしまった。
――最初からちゃんとそうすれば良かったのだが。




