攻防の結果
「な、何で……?」
マニュアが思わず訊く。
「私の冒険の目的はアルトを探す事だったし……見つかったから、もう……」
「そ、そっか……そういえばそうだった……」
「えぇー……」
不満そうなストームの声。
「折角自己紹介もしたのに……。寂しくなるなぁ……」
「うん……」
マニュアは呟いた。ティルも頷く。
し~~~~ん……。
みんな静まり返ってしまった。
「じゃ、そういう事で……さようなら。また……」
「手紙書くからね!」
「俺達の事、忘れんなよ!」
「うん……」
しんみりした中、アリスは少し泣きそうな顔で頷いた。
「それじゃあ……アルト、帰るよ!」
アリスがアルトを振り返る。
アルトは話を聞いていなかったのか、
「え?」
「って、アルト……!?」
全く自分には関係ないと思っていたらしい。
「アルト、あんたを連れ帰るために探しに来たんだよ!?」
アリスが言う。
アルトは驚いた顔をしてから反発した。
「え、えぇー!? みんな冒険してるのでしょ!? 何だか楽しそうなのに! 一緒に行きたいです!」
「な、何を言ってるの!?」
「いやー! 私も一緒に旅をするぅーっ!!」
「アルトっ!! おじさんやおばさんがどれだけ心配しているか……!」
「まだ帰らないーっ!!」
「……あの……」
アリスとアルトの攻防は続く……。
――しばらくお待ちください――
……そして10分後。
「はぁはぁ……。……というわけで、あともう少しお世話になります……」
「わーい! I'm WINNER~♪」
アルトは嬉しそうに踊っている。
アリスはそれを横目で見ながら土下座状態。
「あ、いえいえ……こっちはいてくれれば、それだけで嬉しいですよ」
マニュアもアリスの向かいに正座をして座り、頭を下げた。
結局、アリスもアルトも残り、一緒に魔王を倒す旅を続ける事となった。
「まぁ人も増えて楽しくなりそうだし! アルトちゃん、旅の許可貰ったら、一緒に買い物行こうか!」
マニュアは立ち上がり、アルトに向かって言った。
すぐ向かいで、アリスは「仕方ない」といった風に笑っていた。
その様子に、アルトは笑顔で頷いた。
「はい! よろしくお願いします!」




