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グローリ・ワーカ  作者: 川柳えむ
第5章:ペンダント
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目的は達成した

「で? アルト、今までどうしてたの?」


 宿に戻ってきた5人。さらに、アルトも加え、アリスは話を始めた――と言うよりも、アルトに問い質した。


「それは――」


   ***


 以下、アルトの話。


 ルクスの町で冒険者が放った水の魔法。そして起こってしまった洪水――。

 アルトは水に流され、そのまま気を失ってしまった。

 暫くして気付けば見慣れない景色……見知らぬ家のベッドの上。


「おや、お目覚めかい?」


 その横には知らないおばさんが座っていた。


「ここは……ここはどこっ!? 私はだーれっ!?」

「き、記憶喪失かい!?」

「いや、名前覚えてるよ。アルトです」


 アルトはあっさりと答えた。


「なんだい……びっくりさせるんじゃないよ」

「へへ……すいませーん! ……で、ここは?」

「ここはペリクルムの町。私は『フェル・クリーム』だ。ところで……どうして、あんな所で倒れていたんだい?」


 どうやら、アルトは町の外れで倒れている所をフェルに発見されたらしい。

 フェルの言葉に、アルトは急に泣き出してしまった。


「ぼ、冒険者っていうのが……来て……ヒック、水が……出て……ヒック……それに、流され……ちゃっ……て……」


 フェルは慌てて、


「わ、わかったよ。……そうかい。そりゃ可哀そうに……」

「お家……わかん……ない……」


 泣きながら訴えるアルト。

 フェルは困ったようにアルトを見て、ぽんぽんと頭を撫でると、


「そうか……。そりゃそうだろうね……。それなら――そうだ! とりあえず、おばさんの所で一緒に暮らせばいい! いつか家がわかる時までね」

「いい……の……?」


 真ん丸の目でフェルを見つめるアルト。


「あぁ、もちろんいいさ。こんなかわいい子! おばさんも丁度子供が欲しかったしね!」


 フェルは問題ナシとばかりに笑う。

 アルトは尋ねる。


「なら……お母さんって、呼んでも良いですか?」

「あぁ、いいとも!」

「うん!! お母さん!」


   ***


 ――というわけで、彼女は目覚めたこの町で暮らしていたのだ。


 そんなアルトを見て、マニュアは言った。


「……ていうか、私はアルトさんの神経の太さにびっくりですよ……」

「ど、どういう意味ですか!?」

「いや、まんまですよ……見知らぬ町で目覚めてもボケれる余裕がすげぇ……」

「そっか……今は『アルト・クリーム』って言うんだ」


 アリスが少しだけ寂しそうに微笑んで言う。


「あ、うん。そうなんだ。前は『アルト・シトラス』だったかなぁ……?」

「ていうか自己紹介してないじゃん! 私は『マニュア・ホワイト』」


 慌てて名乗る。それに続いて、


「私は『ティル・オレンジ』……」

「俺は『ストーム・カーキー』!!」


 ストームを見ながらマニュアは思った。


(ストーム……また内心喜んでいそうだな……)

「俺は『ニール・クラベット』!」

「私は……わかってるよね?」


 アリスの言葉にアルトは頷いて、


「うん!『アリス・ヘイズル』だよね」

「よしっ!!」

「ピュ~~……」


 そこへ、ひょっこりと黒い毛玉みたいなものが現れた。……そう、ピュウである。最近、完全に忘れられている。


「あ……」

「『ピュウ』ピュウ!」

「その生き物は一体……」

(反応がアリスちゃんに似てるな……)


 不思議そうに見つめるアルトに、マニュアはピュウを手の平に乗せると説明した。


「ピュウだよん! 毛玉族っていう種族なの!」


 そうして、自己紹介が終わった次の瞬間。

 アリスから重大な報告が始まった。


「では、私達、ルクスの町に帰ります」

「え……えぇぇ――――――っっ!?」


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