意外で斬新で適当過ぎる解決方法
「なんで私ばっか攻撃すんのっ!? むしろストームとニールはわざとやっている気がー!」
マニュアは1人、ストーム、ニール、アリスの攻撃を避けていた。
「魔物のブレスで操られている――というか、敵に見えているって……どうすればいいかなぁ?」
ティルがマニュアに尋ねる。
(――操られ…………魔……私……)
「マー?」
ティルの呼ぶ声にはっと我に返る。
「あっ! え、何だっけ?」
焦ってマニュアはティルを振り返った。
「もしかして、マーも操られそうになってた?」
「え、いや、どうだろ……?」
「もー。しっかりしてよぉ! 皆こんな事になっちゃって……どうすれば……」
ティルが不安そうに言う。
「あ。今、襲われてるの私だし。今のうちに、ティルちゃんが魔物を呼んで――」
皆からの攻撃を避けつつ、マニュアはティルにこの状況を打破する方法を提案しようとした。
――次の瞬間、ニールが振り返り、ティルに向かって拳を向ける。
「私だけ襲われてると思ったけど、そうでもなかったー!!」
ティルは慌ててマニュアのマイクでそれを防いだ。
「って、おい、ティルちゃあぁぁぁぁ~ん!! それ、私のマイク!」
「ごめんごめん」
「ていうか、いつの間に私のマイクを!?」
「いやー……マーなら、その身1つでも……」
その時、ティルはふっとある事を思い出して叫んだ。
「マー! あれやって、あれ!」
「あれ!?」
マニュアの頭の中に、変な物が色々と行き来をする。
「違う! ム・キ・ム・キ!!」
「ムッ……!!」
「ムー!」
「む、むちむち!?」
なんだか18禁になりそうな響きである。
「違う!! ムキムキ! 早く!」
「わ、わかった! はァ~~~~ッ……! ムキムキッ! ムキムキッ!!」
マニュアはポーズをキメている!
皆はそれを呆れて見ている……。
これが吟遊詩人とは、到底思えない状況である。
「……さぁ、早く仕事に戻るべ」
「さっさと用事済ませなきゃ」
「さ、帰ろ帰ろ」
「あ、お昼の時間じゃ」
「おい。あんたら冒険者だろ……キャラクターが変わってるぞ」
「よっし! みんな我に帰ったよー!」
そして、皆は町に帰ってしまった。魔物まで巣に帰ってしまったようだ……。
「私の華麗なるポーズに心を打たれ、正しい心を取り戻したんだね……! アリちゃんの踊りも目じゃないな……!」
マニュアは自分に感動している。
(何か違う! それに、私の考えが良かったんだ!)
ティルは心の中でツッコんでいた。
「というか、真面目な話、解決方法がコレって……。よく思い付いたね……?」
「さっき呆れて凄く力が抜けたからいけるかなって」
「…………」
解決したのは良いが、マニュアは何とも複雑な気持ちになった。
「……何があったんだ……?」
ともかく。他3人も無事、我に帰ったようだ。




