表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グローリ・ワーカ  作者: 川柳えむ
第4章:人間と魔族
29/46

熱中! お城作り

「もし、お礼をしてくれると言うなら、ノアの遊び相手でもしてやってくれませんか?」


 そう言われ、ノアと5人は家の周りで遊んでいた。


「ノアくんは何歳なの?」

「……5歳」

「いつも何して遊んでるの?」

「……家の中で遊んだり、外で砂で山作ったり……」


 大人数で緊張しているのか、ノアの口数は少なかった。


「誰かお友達と遊ばないの?」


 誰かが思わず訊いた言葉に、ノアは呟くように言った。


「お友達……いない」

「あ……」


 魔族だと迫害されているのだ。当然遊んでくれる子供などいるはずもなく――

 失言だったと、後悔した。

 ノアは、どこか遠くを見ていた。それからしゃがみ込んで、バケツとスコップを持ち、1人で砂山を作り始めた。


「じゃあさ」


 マニュアがノアの前にしゃがみ、顔を覗き込んで言った。


「私がお友達第1号だ」

「え……?」


 ノアの目が見開かれ、瞳に太陽の光が反射して輝く。

 それにつられ、他の皆も――


「それじゃあ、私がお友達2号っ!」

「俺が3号!!」

「待て、俺だ!」

「じゃあ私が5号だね」


 ノアが、恐る恐る口を開く。


「……ホント?」


 その言葉に、皆にっこりと笑った。


「当たり前ジャン!」

「よろしくね♪」

「――うんっ!!」


 こうして、友達となったマニュア達5人とノアは、皆で砂山を作り始めた。いつしかそれは砂山を超え、1つのお城が出来始めていた。

 意外と皆集中している中、ノアはふと思いついた。


(川を作ろう)


 お城の形をし始めた砂の山の周りを囲うように長い窪みを作り、水を汲んでそこへ流そう。

 バケツを持ち、立ち上がる。


(すぐそこの川から水を汲んでこよう)


 少し離れた川へ向かって、ノアは駆け出した。

 集中していた他の皆は誰も気付いていなかった。


「ここ。もうちょっと削ろうよ」

「てっぺんに旗立ててぇなー」

「スコップ貸してよー」


 子供よりも熱中している5人であった。


   ***


 きらきらと輝く小川。

 少年は1人、川辺に座りバケツに水を流し込む。

 そんなノアの背後から、声がした。


「ねぇ。君は誰?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ