魔物使いの力
3人と1匹は、再び森の中へと戻ってきた。
暫くすると、そこへリナもやって来た。
「それじゃあ、こっそりと家の方に――」
リナが家まで誘導しようとしたその時。
森の奥をぼーっと眺めていたマニュアが叫んだ!
「……あの……また来てる――――!!」
「え?」
振り返ると、そこには――
「魔物――――――っ!!」
「何ィーっ!?」
さすが、魔物が多く生息する森なだけあって、奥からぞろぞろと現れた。
「うっそー! えーん!!」
半泣きのティルが魔物を呼び出した。
「まっ、魔物が――空中から……!?」
リナが驚いて宙を見つめる。そして、今度はティルの方を見た。
ティルは、リナに向かって微笑んだ。
「大丈夫です。この子は、仲間」
「な、仲間……!?」
宙から現れたその魔物は、静かに他の魔物の前まで行き、手に持っていた赤い杖翳すと、暫くしてこう言った。
「どうやら、自分達の領域に侵入された事に怒っているらしい。だが、こちらが何もせず戻ると言うなら、そちらも何もしないという事だよ」
「ひ、人の言葉を喋った……」
ほかの3人は呆然としている。
魔物達の目がこちらを見て訴えていた。「荒らすな。帰れ」と。
「――ま、まぁ、戦う必要もないよね? そっちが襲ってこなければ、私達も手なんか出さないし」
マニュアがティルに尋ねる。
ティルも頷いて、
「もう戦わないよ。安心して、森の奥へお帰り」
魔物達に向かって、そう言った。
ゆっくりと、魔物達は森の奥へと引き返していった……。
「魔物さん、通訳ありがとう! 森の魔物さん達も元気でねー」




