吟遊詩人ですけど?
「うぅー……し、死ぬ…………」
「うー……具合、悪ぃ……」
なんとか立ち上がったティルとストーム。
マニュアは心配そうに。
「まだ、そんなに具合悪い?」
「「悪い!」」
同時に怒鳴って、また頭を抱える2人。
――あの後、大分経ってから、復活の粉を使えばいい事に気付けたマニュアだった。
……といっても、本人が気絶させた事については全く気付いていない。
「それにしても、凄いなぁー! 魔物を呼び出すのも凄かったけど、魔物と仲良しになるのも凄かった! 本当になんであんな事できんの!?」
マニュアは興奮気味だ。
ティルは笑っている。
「俺はおまえが吟遊詩人だって事の方が不思議で堪らん」
ストームが横から言う。
「な、なんで……?」
「音痴じゃなれるわけねーだろ! それにキレーじゃねーとな!!」
「え!?」
「最初マニュアちゃんと出会った時、遠くから物凄い騒音が聞こえて……行ってみたらみんな倒れてて地獄絵図ってやつだったなぁ……」
ティルまでもがそんな事を言う。
「みんな失礼だぞっ! 全くもうっ!!」
マニュアが憤慨して訴えるが、それだけ言われても仕方のない程の歌なのだが……それに本人はやはり気付かない。
さて、そうこうしているうちに、次の町が見えてきた。




